最大の敵は作者でした

はぐれメタボ

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主人公、テンプレをこなす

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  取り敢えず俺はテンプレ通りに冒険者ギルドに向かう事にした。
  全財産100ゴルドはマジで絶望的だ。
  早急に金を稼ぐ必要がある。
  ぶっちゃけ冒険者以外にも仕事はあると思うが……でも俺は冒険者として命掛けの冒険がしたいんだぜ!
  ………………モノローグを乗っ取るならディテールにこだわって欲しい。
  作者の雑なモノローグをサラリと受け流した俺は、冒険者ギルドを目指してカレリアの街をゆっくりと歩く。
  「異世界と言えばコレ!」って感じの中世ヨーロッパ風の街並みだ。
  地球の中世ヨーロッパの街中は捨てられた生ゴミや糞尿でとんでもなく汚かったと言う話を着た事がある。
  しかし、カレリアの街は清潔で道端には街路樹が植えられ、商店の店先にはプランターに美しい花が咲いている。

「意外と綺麗なんだな……」

  当たり前だろ。
  折角の異世界が薄汚れた街だったら嫌だろ。

「確かに……納得だけど何だか裏側のご都合主義的なところを見てしまった気分だ」

  なんなら『リアル中世ヨーロッパ風』にしようか?
  敵も魔物とかじゃなくてエボラとかペストとかになるけど……

「殺すきか!余計な事しなくていい!」

  危うくとんでもなく危険な世界に放り込まれるところだった。
  ふらふらと移り変わりそうな作品の世界観を守った俺は、冒険者ギルドへ到着した。
  ドアを開けて中に入ると正面にカウンターがあり、右側には依頼書が貼り付けられた大きなボードが設置され、左側には冒険者ギルドが経営する酒場が併設されている。

「おい!」

  酒場から千鳥足で現れた冒険者が俺を見下しながら近ずいて来る。
  
「……………テンプレか」

  うん。
  コレはちゃんとやっとかないとダメだよ。
  伝統だし。
  読者だって期待しているからね。
 
「おい、聞いてんのか!」

  ああ、君は初めてだからイージーモードにしておいたよ。
  彼は28歳のEランク冒険者、ドムルさん。
  正直余り強く無いし、酔ってるから楽勝さ。
  あと蛇足かも知れないけど彼の恋愛対象は男性だよ。

「マジで蛇足だな」

「おいチビ、シカトしてんじゃねぇぞ!」

  酔っ払った冒険者は拳を振り上げた。
  俺は作者から貰った本【スキルブック】を握りしめる。

パシ

「なに⁉︎」

  冒険者は、小柄な俺が自分の拳を片手で受け止めた事に驚いて目を見開いた。
  その隙に冒険者の腹に拳を叩き込む。
  すると、大柄な冒険者が身体をくの字に折って崩れ落ちた。
  身体強化のスキルを使った俺の拳は油断していたとは言え、皮鎧を纏った筋骨隆々な冒険者を一撃で倒せる程度には強力らしい。
  ちなみに俺の全財産は90ゴルドになった。
  つまらぬ事に使ってしまった。
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