不揃いの勇者たち

はぐれメタボ

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英雄譚の始まり

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「勇者様が魔弾を討ち取ったぞぉおお!!」

「「「「うおぉぉおおお!!!」」」」

  兵士達の雄叫びが戦場を揺るがせた。

「す、すごい、こんな遠くから敵将を討ち取るなんて……」

「弓と銃………射程が………違う」

  ヤイバは油断なくライフルを構えて敵陣の監視を続ける。

「いやいや、謙遜する事は有りませんヨ。
  素晴らしイ腕デスね」

「「「「⁉︎」」」」

  聞こえるはずのない声を聞き、その場の視線がフィリスの死体に注がれる。

  ズルッ

  顔の半分を吹き飛ばされたフィリスの身体が緩慢な動作で身を起こす。

「なんだ!何が起こっている⁉︎」

「死体が……動いてる……」

  周辺に飛び散った肉片や血液がフィリスの身体を這い上がり、まるで逆再生するかの様に戻って行く。

  その光景を目にして、不意にトウカの脳裏にかつて目にした雑学の本の内容が浮かびあがる。

「そうだわ、思い出した……フィリスの名前……フィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム……」

  ついの間にかフィリスは傷1つ無い姿で立っていた。
  彼はまさに、不死身の存在だった。

「……錬金術師パラケルスス」

  トウカの呟きにフィリスはいつもの笑顔で頷いた。

「トウカは博識だネ。
  そう、ボクはフィリス、又の名をパラケルスス。
  自ら作り上げた科学の結晶、賢者の石で不老不死になってしまった男サ」

  そう語るフィリスの笑みはどこか自嘲するかの様だった。

「フィリス、戦えるのか?」

「もちろんだヨ」

  フィリスはゴウに頷いて見せる。
  
「ヤイバ君とトウカ君は?」

「私は……いつでも……」

  ヤイバはいつのまにかライフルをアイテムボックスに戻し、大振りなククリ刀を両手に持っていた。

「君は……」

「………………私の……本当の名前……特殊作戦兵0246号……コードネームは……『シャドウエッジ』……です。
  私は……ずっと殺しの方法を……教えられて育った………………殺し屋なんです」 

  吐き捨てる様な自嘲に満ちたヤイバの言葉だった。

「そうか、トウカ君。
  行けるか?」

「分かってるわよ。
  やってやるわ!」

  トウカはアイテムボックスから手の平に収まる程のカードを取り出した。
  カードを手にトウカは叫ぶ。

「狩猟解禁!set up!」

  トウカの声にカードから虹色の光が溢れて出した。
  虹色の光は帯となり、トウカの周囲を旋回し始める。
  すると、トウカの服が突然光の粒子になって消え去った。
  しかし、光の帯によって最後の一線は守られる。
  光の帯がトウカの身体に巻きつくと新たな衣服に変わる。
  その服はひらひらのフリルで飾られたデザートピンクの迷彩服、もはや隠れる意思など皆無なその服は腰の後ろに大きなリボンが現れて完成した。

「乙女の心は禁猟区!
  星の光は密猟者を撃ち抜く魔法の力!
  魔法狩人マジカルハンターギャラクシーもも!」

「「………………」」

「あっはっはっはっは!  
  ジャパニーズ・マホウショウジョ!」

  フィリスは再びツボにはまった。

「…………取り敢えずトウカ君は一度俺に謝って貰いたい」

  ゴウは若干の恨みを込めて呟いた。

「……………ごめん」

「さぁ、戦いを始めよう」

  4人は敵陣に向けて歩き始めた。
  改造人間と不死者と殺し屋と魔法少女。
  コレは全く別のジャンルの勇者ヒーロー達による英雄譚である。
  
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