望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

連れていって

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「どう思う?」
「これで倒せるんなら、今までの苦労は?」
「だよねー」
「可能性としては、身動きが取れない。もしくは回復するのに時間がかかる程の傷を負った……だな」

 切る攻撃しかしてこなかったが、実は意味なく。打撃が有効である可能性が出てきた。

 今後もそういった【変異種】が出てたら面倒だな。

「私たち2人とも、切る武器しか持ってないもんね」
「頼んだ武器の1つがトンカチだったんだが……まあ、いいか」

 それよりも、触手をくらった東郷はどうなったのだろうか。
 確実に肋骨は持っていかれてるだろうが、死ぬようには見えなかった。

 しばらくは戦えないだろうけど、死んでここが崩壊するよりはマシなのだろう。

「……ねえ、おにーさん」

 もう建物の中に運び込まれたかなと、確認しようと思っていたが。
 呼ばれたので振り返れば、真面目な顔をした薫がいた。

「どうかした?」
「……ここを出るとき、私も連れていってもらえないかな?」
「あー…………」

 そう言われるのは、なんとなく想像がついていた。

 この短い間に『誘ってくれないかな?』といった雰囲気を何度か感じている。

 それを無視していたわけだが、俺が出て行くまで時間がないため。
 誘われるのを諦め、自分から頼んだのだろう。

 【異能】がなんなのかハッキリしていないし、相手に合わせるのが苦手……無理なため、断りたいところなのだが。

 悩んでいる理由として、薫が結構使えるということ。
 俺が合わせなくても薫が合わせてくれる。

 そして、どこか似ているから。

 会った時もそんな事を思った気がしたが、未だにハッキリとしていない。

「…………保留で」
「でも、すぐ出て行くよね?」
「…………出て行く時に言うから」
「なら、荷物準備して待ってるね」

 迷っているのは本当だが、今のセリフは遠回しに断っているようにも聞こえたはずだ。

 でも、薫は俺が連れて行くと信じてるように見えた。

「んー、もう建物の中に運ばれた後か」

 話も終わったし、東郷の確認をすれば誰も外にいなかった。

 【変異種】について話さなければいけないし、生死の確認は後にして中に戻るか。
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