望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

橋の向こうへ

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 5体程度なら大丈夫な事も分かったし、屋根の上じゃなくても平気そうだ。

 情報が多く無かったし、慎重に慎重を重ねても足りないぐらいだったが。
 慢心、油断せずにいけばいい。

 これから、そこそこ通行量があった道へと出る。
 【ゾンビ】の数も増えるだろうが、まだ倒すことに固執しているわけでもない。

 引き際も見極めなければ。

 コンビニに不良たちがいたけど、俺みたいに探索している人は他にいないのだろうか。





 物陰から不意に襲われた時は驚いたが、たまたま避けることができた。
 こんな偶然が何回も続くわけない。
 もう少し気を引き締めなければ。

 ビルやマンションなどが増えてからだろうか。
 誰かに見られている感覚が何度かある。

 音を聞いて窓から様子を伺っているんだろう。
 周りを見回してもどこから見られているか分からなかったが。

 あれからさらに進んで広い道路へと出たが、車があちこちに突っ込んでいたり、見える限り二桁を超える【ゾンビ】が徘徊していた。

 そういえば、【ゾンビ】は目が見えるのか検証していなかった。

 目はずっと見えないままなのか、ずっと見えているのか。
 それとも音を聞く前と後で切り替わるのか。

 【ゾンビ】に個性があって見える見えないがあるのが一番面倒だ。

 それを検証するまでに時間がかかる。
 分かったとしても何か行動が変わるわけでもない。

 なら、初めからそうだと思っていてもデメリットがあるわけじゃない。
 この検証は取りやめだ。



 都心へ向かう途中に川があるため、橋を渡らなければいけないのだが。

「うわぁ……」

 橋の車道は車で埋まっていた。
 車道だけでなく、後ろから追突された車が歩道にまで乗り出してる。

 事故った時の音で【ゾンビ】も集まっており、簡単に通り抜けるのは無理そうだ。

 ただ、今度は車の上を通っていけばなんとかなりそうではあるが。

 それでもそこに向かうまでの【ゾンビ】が邪魔だ。
 そこらにコンクリート片が落ちているし、それを投げて音を出し。邪魔にならないよう移動させていく。

 音のせいで背後から【ゾンビ】が迫ってきたが、襲われる前に道ができた。

 作った通り道を抜けて車の上へと乗る。
 ゲームで似たシーンを見たことがあるけど、リアルだとやはり迫力が違うな。
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