KOWABANA

華岡光

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たっちゃん池6

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 「たすけてくれ~」

 俺は助手席に身をかがめそう叫び続けたんだ。だっておっかねーもん、すげー怖かったんだから、仕方ないだろ。あんただってその時、同じ経験をしたらきっとそう感じるはず。

 で、しばらくして、恐る恐る顔を上げてみたら、そのガキはいなかったんだよ。俺は慌てて車を走らせ山を降りた。で、山を降りてすぐ小さい国道に出るんだけど、駐在所てのがあったんだ、住居も兼ねた交番みたいなやつな。で、中にお巡りがいたから、車を止めて、慌てて中に入ったんだよ。そしたら、そのお巡りは何事かて顔して驚いてたんだ。こっちは、一刻も早く今体験した恐ろしい話を誰かに聞いてもらいたかっただけなんだけどな。
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