タクシー運転手の夜話

case11

　「うん、うちの会社の新型計測機器の営業だよ。営業といってもほぼ契約は前向きに決まってるみたいだけどね！あとは俺のワンプッシュをするだけなんだ。うちみたいな中小だと大手さんに先越されたらアウトだからね。新規開拓は極めて重要なんだよ！！だからこの契約を足掛かりとしてさらなる販路に繋がるのさ」

　見た目と言葉遣いの割には熱いなにかを感じた印象はあったね。このお客さん口は偉そうだけど、意外とやり手なのかなと直感的に思ったわけだよ。このお客さんと一泊2日の旅を同行するなら、そんな悪くないなて思ったよ。

　「へー、そうなんだ？新型の計測機器か・・なんかよく分からないけど凄いんだろうね。で、お客さんは結婚してるの？」

　「結婚はしてないのよ！！俺は一人が一番気楽で、他人と一つ屋根の下なんかとても耐えられない！！独身貴族てのが性に合うんだよ。運転手さんこそ結婚してるの？」