・・その狂気は伝染する・・

第一章 狂気の根源

徳川忠長の秘密27

　「もはや、あやつの処分は決めた。
たとえ弟でも、決して看過はできぬ。将軍家光として忠長は領地没収のうえ切腹申し付ける所存である。」

 家光の考えに老中土井利勝は

　「御意にござりまする。その処罰が妥当かと、幕府と将軍家を守るためにもやむ得ず。しかし、忠長様は江戸城に向かっておりまする。処分がすでに決まっていますが、登城後すぐそのまま謹慎させまするか？」

 「 まずは形としてあやつのこたびの数々の狼藉の真意を聞きだし、その後に処分申し付け、ただちに身柄は拘束し、高崎城の安藤重長に身柄を預けることとする。」

 「神社奉行も勤めた安藤重長どのに預けるのですな。それもよきお考えかと、ところで上様、病で重篤の身の大御所様に忠長様がかねてから見舞いたいとの旨の書状をもらっていたのですが、肝心の大御所様に見せたところ・・」