・・その狂気は伝染する・・

第一章 狂気の根源

徳川忠長の秘密59

　将軍の上意によって、すぐさま駿府藩周辺の各藩は兵を駿府藩に向けて出兵をした。出兵した藩は沼津藩、松島藩、浜松藩である。中でも浜松藩の藩主高力忠房は豊富秀頼との戦いにおいて、現老中土井利勝の下で共に戦い戦功を成した人部として、土井利勝からも家光からも信頼厚い大名であった。

 駿府藩の周りの関所はすでに固められ、駿府藩は四方から他藩の兵士に包囲されてしまう。駿府藩の庶民達は右往左往に混乱する中、駿府藩のおよそ2000の藩兵が槍や火縄銃を取り、藩を防衛する準備に追われた。

すでに一部の家老や藩士は藩を抜け出している中、わずかに残った藩の重職らが独自の判断にて藩の防衛命令を藩士らに出していた。