・・その狂気は伝染する・・

華岡光

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第二章 狂気に憑かれし者達との戦いが始まる

8代将軍吉宗の戦い54

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 「ところで輝義殿、徳川忠長の墓所に行ってみたいのだが。明日案内してもらえぬか?」

 酒井の口から出た徳川忠長という言葉を聞いた瞬間、輝義は箸を皿に置き、表情が険しくなった。

 「うん?どうしたのじゃ??輝義殿!徳川忠長の墓所は高崎藩が管理してると聞くが。」

 輝義は静かに口を開く。

 「確かに徳川忠長の墓所は高崎藩が管理し、その墓所は山の中の寺にある。しかし・・その寺には誰も住んでないのじゃ・・」

 輝義の言葉に不思議に思った酒井はさらに聞く。

 「誰もおらぬとは??普通は寺に住職や坊主がおるではないか?なぜにおらぬのじゃ??」

 輝義は重そうに口を開く。

 「実はのぅ・・今から話すことは幕府にも言ってない話しなのじゃが、酒井殿とは旧知の仲ゆえ、包み隠さず話しもうす。
 あの忠長の墓所が作られてからというもの、寺に住む住職が原因不明の死を迎えるようになったのじゃ、最初は偶然の事かと気にもしなかったらしいのじゃが、それが次の住職、さらにその次と立て続けに住職が不審な死を遂げるのじゃ、代々の高崎藩の藩主にその事が受け継がれ、今はあの寺には住職は住まないことにしてるのじゃ、一年に一度だけ、寺の掃除と忠長の墓の掃除をしに藩の人間が行くのじゃがな・・忠長の幽霊を見たとまで言う者も出てくるそうじゃ、その墓の案内など正直したくはないのだが・・致し方ないゆえ、明日は霊払いの者も連れて行き案内しようぞ。」
 
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