・・その狂気は伝染する・・

華岡光

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第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断11

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 「報告します!!イギリス艦隊が薩摩蒸気船3隻を襲い、乗組員は抵抗した者全て殺害されました。なお、薩摩蒸気船から略奪をし、火を放つ等して、薩摩を挑発してるとのこと。」

 知らせを聞いた黒田清隆はただちに艤装した商船を率いて鹿児島湾を出て、イギリス艦隊に先制攻撃を仕掛けに出撃した。

 鹿児島城からすでに避難している島津茂久と久光は西田村の千眼寺に本陣を構えていた。そこへ知らせにやってきた藩兵から事態の深刻さを悟った。大御所久光は湾内全てに設置されている砲台からただちに、船が近づいてくれば撃沈の命令を出すとともに、城下町全ての人々にイギリス艦隊からの攻撃と陸戦部隊からの攻撃に備えるよう命令を出した。


 「父上いよいよですな。こん戦は薩摩の勝利でごわすな。」

 楽観的な息子と違い久光は先を見通す力に長けていた。

 「この戦いで負ける事はないにせよ、犠牲は伴う。しかし、イギリスを落とせば、その犠牲に対する代償はかなりのもの。その時は幕府すら叩き潰せるであろうな。」
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