ミコのお役目

水木 森山

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第一章

攻略方法

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「カミュ?
 同じ部屋が無理ならば、私は隣の部屋で
 寝るが?」

考え込んでしまっていたらしく
シリルが首を傾げる

「ちがっ、シリルに負担がかかるんじゃないか
 心配なだけ!」

「ならば、気にしなくていい
 今は人手が足りない
 カミュには負担をかけるが
 一緒の方が人手がかからずにすむ」

「・・うん、わかった」

そっか…
人手を心配してなら、僕の考えてる事に
気づかれた訳じゃなさそう

下手に拒否するより、後で方法を探そうと
すぐに動けない焦りを腹の底にしまいこんだ

そうすると、次の不安が浮かんでくる

「・・シリルは、ロウと話した?」

「? 少しな」

この後は、なんて聞けばいいのかな…

ロウはいつ出て行ってしまうのか
できればその前に出て行きたい

けど、出て行く事をシリルには
悟らせたくない

気づかれたらきっと、止められてしまう

「・・カミュが倒れた後、ロウも意識を
 失っていた」

「え?」

「今朝、ロウが目覚めてからも身支度をさせ
 戻ってきてからは、私も仮眠をとった
 だから、ロウとはほとんど話せていない」

「そうなんだ…」

こちらをじっと見ながら話すシリルに
これ以外、どう返せばいいのかわからず俯く

なんだか、頭がぼんやりする

考えなきゃいけない事があるのに
何もする気になれなかった

「カミュ?
 すぐにロウと話したいのか?」

「・・ううん
 なんか、びっくりしちゃって…」

ヘラリと笑ってごまかした



「失礼します
 朝食をお持ちしました」

ロウが入ってきて、いい匂いが部屋に広がった

僕達の前に皿を並べるロウを
つい、じっと見てしまう

話せるようになって
何かが変わってしまうのではないかと
不安で仕方がない

ずっと伺っていたから当然、目が合ってしまう

どうしました?
と、目で問われたのに、すぐに逸らしてしまった

これでは、ロウを無視したようで
罪悪感に襲われる

意識し過ぎてしまい、もう顔を上げられない

気まずい思いのまま、目の前に置かれたスープを
ただじっと見つめていた

「お兄様っ」

女の子の声に、ピクリと体が反応する

ロウが声に振り返る気配がしたけど
顔を上げる事ができなかった

「ロウ殿、体大丈夫か?」

「私は平気です
 それより、お二人にご挨拶を」

「あぁ」

ー ステラレル ー

直感的に感じた恐怖に体を強張らせ
目をぎゅっとつぶってその時を待つ

「カミュ殿
 ・・・大丈夫か?」

「え?」

思っていた事と違う事を言われ
顔を上げれば、ハルが腰をかがめて
覗き込んでいた

あまりの近さに、体がのけぞる

「顔色、悪い
 休んだ方が良い」

「あ…、大丈夫…
 そうだ、昨日はベッド占領しちゃってごめん…」

「病人、休むのが仕事だ」

ハルの眉間にシワがよってしまった
この言い方はダメだったようだ

「あっ、そっか…
 そうだったね」

「ディーも、お二人にご挨拶を」

「・・はい」

渋々といった感じで抱きついていた
ロウから離れた

相変わらずフードを被ったままのディーが
こちらを向く
そして両手を胸に当てると、深々と腰を折る

「ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません」

おはようと挨拶されるだけだと思っていたのに
謝罪から入られて、ポカンとしてしまう

ロウも驚いた顔でディーを見ていた

「改めまして、ディーと申します
 ハルの姉でございます」

顔を上げ、名乗り終えても反応のない
僕達に首を傾げ、隣のロウを見上げた

「お兄様、わたくし間違えてしまいましたか?」

はっとしたロウが慌てて答える

「いいえ、その…とても、上手でしたよ」

どこか引きつった笑顔のロウと
見上げたままのディー

二人の間にはどこか緊張感が漂っていた

その雰囲気に困惑していると
落ち着きがないハルの姿が目に入る

どうしたんだろうと見上げたら、目が合った

ハルの眉間にぎゅっとシワがよる

何かやらかしたのかと心臓がドクリと跳ねる

「すまぬ!」

「へ⁉︎」

両手を胸に当て、ガバリと頭を下げられた

何⁉︎
何が起きたの⁉︎

「子供、侮られる
 歳、誤魔化した…」

ハルの言いたい事がわからなくて混乱する

「それで、ハルの年はいくつなんだ?」

シリルの言葉で、年齢の話だとようやくわかった

「・・十三だ」

「じゅうさん…」

まさかの、年下…

呆然とハルの言葉を繰り返してしまった

「怒ったか?」

しょんぼりと項垂れたハルの姿に
傷つけてしまったかと焦る

「ちがっ、ただびっくりしちゃって
 怒ってなんかないよ!」

「本当か!」

パッと顔を上げて、嬉しそうに笑う

「カミュ様が怒ってないからといって
 簡単に許されるとは思わないことだ」

「・・分かった」

シリルに釘をさされ、途端にしょんぼりする姿は
年相応に見えた

「わたくしからも謝罪致します
 ハルは成人を迎えておりません
 本来ならば姉であるわたくしが
 対応すべきでしたが、動く事が難しく
 ハルに全てを押し付けてしまいました
 まだ、子供であるハルの対応に
 御寛容な判断を頂ければ幸いでございます」

再度、両手を胸に当て深々と頭を下げらた

そして、スラスラと並べられた言葉に
僕は返す言葉が見当たらず、シリルを伺う

「一先ず、朝食をすませましょう」

シリルも、答えを先送りしたようだ








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