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執拗な妨害
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ストーンドラゴンを仕留めてこちらに歩いてくるフェアラートに速見は右手をあげて答えた。
「おうフェアラートお疲れさん。今回の敵はちいとやっかいだったな」
「問題は無い・・・しかし援護は感謝する」
「なに、いいって事よ。可愛い後輩のためだしな」
軽口を叩きながら合流する二人。
その姿はいかにも仲の良い歴戦の仲間のように見えて、ソレを隣で見ていたシャルロッテは思わずムッと眉間にしわが寄るのだった。
「・・・こちらもやっと治療が終わりました。あとはタケルさんの様子もみないといけないですし・・・アンネさんもしばらくは動けそうにありませんね」
前衛の二人が動けない今、遺跡の守護者を倒したとはいえ先に進むのは危険だろう。シャルロッテはちらりとカテリーナと目配せをして速見に語りかける。
「ハヤミもここに居るってことはこの遺跡の宝が目当てなの?」
「まあそうなるな。・・・すまないが流石にこの遺跡の宝はシャルロッテの頼みでも譲れない」
しかし速見の言葉にシャルロッテは首を振った。
「それはいいの。今回はハヤミ達がいなかったら私たちも死んでいただろうし、遺跡の宝を手にするのはハヤミに権利があると思うから・・・でも、一つ頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「なんだ? 言ってみな」
「ハヤミたちが先に進んでいる間、私は三人の身を守るためにここに残るわ。・・・宝を手に入れた後に、はぐれた勇者様を探すのを手伝ってくれないかしら?」
前衛二人が怪我をしている状態でショウを探しにいくのは危険が大きい。自分がかつて速見にした事を考えれば本来手助けを頼める立場に無い事もわかっている、しかしそれでも頼まずにはいられなかった。
シャルロッテの頼みを聞いた速見は後ろを振り返って暗黒騎士フェアラートと目配せをする。フェアラートは肩をすくめると口を開いた。
「今回の任務は遺跡の攻略だ。それが達成できたのなら私は転移ですぐに帰るが・・・アナタがその娘の手伝いをしてから帰還するというのなら主には私から伝えておこう」
「・・・ありがとな。よろしく頼むぜフェアラート。・・・という訳だ、いいぜシャル。任務が終わったら戻ってくるからここで待ってろよ」
そう言ってシャルロッテの頭をくしゃりと撫でた速見は身を翻し、ストーンドラゴンが守っていたその先のエリアへと足を運ぶのだった。
「・・・あれが ”命の宝球”か」
そう言った速見の視線の先には薄暗い遺跡の最奥で一際大きく輝く握り拳ほどの大きさの球体。
荘厳な装飾の施された台座に置かれたソレは、遠目で見てもただ事では無い力を秘めていると理解できるほど異質な物質だった。
ソレは自らの内側から光りを放ちその場を照らしている。
光りは一瞬たりとも同じ色を見せず、赤かと思うと青に青かと思えば白色に姿を変える。硝子を削り取って球体にしたかのような透明なボディの中には何か得たいのしれない物質が渦巻いているのが目視できた。
二人が命の宝球を回収しようと足を踏み出したその瞬間、自ら守る宝の危機を察したかのように遺跡全体が大きく震えた。
不意に天井にいくつもの穴が生まれ、その穴から無数のストーンゴーレムが下りてくる。次から次へ、その数は最早数えるのが面倒になるほどだった。
「・・・おいおい、この遺跡作った奴はそうとう宝を渡すのが嫌だったんだな」
呆れたように速見が呟くと、隣でフェアラートが頷いた。
「確かに。だがそれでも宝を回収するのが我々の役目だ」
そう言って大盾とランスを構えるフェアラート。速見も面倒くさそうに”無銘”を構えて臨戦態勢に入った。
下りてきた無数のストーンゴーレムが二人に襲い来る。それはまるで獲物を狙う蟻のような人海戦術であった。
「おぉおお!!」
フェアラートの突きがストーンゴーレムの胴を貫く。
動かなくなったゴーレムの身体を蹴飛ばしてランスを抜き、襲い来る次のストーンゴーレムに攻撃をしかけながら左手に構えた大盾で別の敵からの攻撃を防御する。
一体一体が相当な実力を持つストーンゴーレム、それが軍をなして襲ってくるのだ。いくらフェアラートが手練れといえども気を抜けば一瞬で劣勢に立たされるような窮地だった。
「いやぁ、しかしこの数はやべえな・・・」
速見も右目に移植された魔王サジタリウスの千里眼を駆使して四方八方から襲い来る敵の攻撃をのらりくらりとかわしながら、隙を見ては ”無銘” で炸裂弾を放ちストーンゴーレムのコアを破壊する。
そもそも狙撃手である速見はこういった乱戦を得意としていない為、どこかやりづらそうに顔をしかめていた。
二人が奮戦する中、突然遺跡の壁の一部が崩壊した。
その音に驚いて目を向ける速見。その視界に映ったのは血だらけになりながら無数のストーンゴーレムと斬り結ぶ勇者が壁を突き破ってこちらの部屋に入ってくる姿であった。
ボロボロになりながらもストーンゴーレムを倒した勇者が突き破った壁の位置はあろう事か ”命の宝球”が置かれている台座のすぐ近く。
勇者は何かに導かれるようにフラフラと台座に近寄り・・・。
「やべえ! 勇者に先超されるぞフェアラート!」
フェアラートの突進ならあるいは追いつけるかと速見が相棒に注意を呼びかけるも、生憎な事にフェアラートは複数のストーンゴーレムと交戦中で手が離せそうに無い。
速見はサッと無銘を構えるも、近くのストーンゴーレムの攻撃によって正確に狙いをつける事ができなかった。
勇者の手が ”命の宝球” に伸びる。
その指先が宝球に触れた瞬間、まばゆい光りが部屋中を満たした・・・・・・。
◇
「おうフェアラートお疲れさん。今回の敵はちいとやっかいだったな」
「問題は無い・・・しかし援護は感謝する」
「なに、いいって事よ。可愛い後輩のためだしな」
軽口を叩きながら合流する二人。
その姿はいかにも仲の良い歴戦の仲間のように見えて、ソレを隣で見ていたシャルロッテは思わずムッと眉間にしわが寄るのだった。
「・・・こちらもやっと治療が終わりました。あとはタケルさんの様子もみないといけないですし・・・アンネさんもしばらくは動けそうにありませんね」
前衛の二人が動けない今、遺跡の守護者を倒したとはいえ先に進むのは危険だろう。シャルロッテはちらりとカテリーナと目配せをして速見に語りかける。
「ハヤミもここに居るってことはこの遺跡の宝が目当てなの?」
「まあそうなるな。・・・すまないが流石にこの遺跡の宝はシャルロッテの頼みでも譲れない」
しかし速見の言葉にシャルロッテは首を振った。
「それはいいの。今回はハヤミ達がいなかったら私たちも死んでいただろうし、遺跡の宝を手にするのはハヤミに権利があると思うから・・・でも、一つ頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「なんだ? 言ってみな」
「ハヤミたちが先に進んでいる間、私は三人の身を守るためにここに残るわ。・・・宝を手に入れた後に、はぐれた勇者様を探すのを手伝ってくれないかしら?」
前衛二人が怪我をしている状態でショウを探しにいくのは危険が大きい。自分がかつて速見にした事を考えれば本来手助けを頼める立場に無い事もわかっている、しかしそれでも頼まずにはいられなかった。
シャルロッテの頼みを聞いた速見は後ろを振り返って暗黒騎士フェアラートと目配せをする。フェアラートは肩をすくめると口を開いた。
「今回の任務は遺跡の攻略だ。それが達成できたのなら私は転移ですぐに帰るが・・・アナタがその娘の手伝いをしてから帰還するというのなら主には私から伝えておこう」
「・・・ありがとな。よろしく頼むぜフェアラート。・・・という訳だ、いいぜシャル。任務が終わったら戻ってくるからここで待ってろよ」
そう言ってシャルロッテの頭をくしゃりと撫でた速見は身を翻し、ストーンドラゴンが守っていたその先のエリアへと足を運ぶのだった。
「・・・あれが ”命の宝球”か」
そう言った速見の視線の先には薄暗い遺跡の最奥で一際大きく輝く握り拳ほどの大きさの球体。
荘厳な装飾の施された台座に置かれたソレは、遠目で見てもただ事では無い力を秘めていると理解できるほど異質な物質だった。
ソレは自らの内側から光りを放ちその場を照らしている。
光りは一瞬たりとも同じ色を見せず、赤かと思うと青に青かと思えば白色に姿を変える。硝子を削り取って球体にしたかのような透明なボディの中には何か得たいのしれない物質が渦巻いているのが目視できた。
二人が命の宝球を回収しようと足を踏み出したその瞬間、自ら守る宝の危機を察したかのように遺跡全体が大きく震えた。
不意に天井にいくつもの穴が生まれ、その穴から無数のストーンゴーレムが下りてくる。次から次へ、その数は最早数えるのが面倒になるほどだった。
「・・・おいおい、この遺跡作った奴はそうとう宝を渡すのが嫌だったんだな」
呆れたように速見が呟くと、隣でフェアラートが頷いた。
「確かに。だがそれでも宝を回収するのが我々の役目だ」
そう言って大盾とランスを構えるフェアラート。速見も面倒くさそうに”無銘”を構えて臨戦態勢に入った。
下りてきた無数のストーンゴーレムが二人に襲い来る。それはまるで獲物を狙う蟻のような人海戦術であった。
「おぉおお!!」
フェアラートの突きがストーンゴーレムの胴を貫く。
動かなくなったゴーレムの身体を蹴飛ばしてランスを抜き、襲い来る次のストーンゴーレムに攻撃をしかけながら左手に構えた大盾で別の敵からの攻撃を防御する。
一体一体が相当な実力を持つストーンゴーレム、それが軍をなして襲ってくるのだ。いくらフェアラートが手練れといえども気を抜けば一瞬で劣勢に立たされるような窮地だった。
「いやぁ、しかしこの数はやべえな・・・」
速見も右目に移植された魔王サジタリウスの千里眼を駆使して四方八方から襲い来る敵の攻撃をのらりくらりとかわしながら、隙を見ては ”無銘” で炸裂弾を放ちストーンゴーレムのコアを破壊する。
そもそも狙撃手である速見はこういった乱戦を得意としていない為、どこかやりづらそうに顔をしかめていた。
二人が奮戦する中、突然遺跡の壁の一部が崩壊した。
その音に驚いて目を向ける速見。その視界に映ったのは血だらけになりながら無数のストーンゴーレムと斬り結ぶ勇者が壁を突き破ってこちらの部屋に入ってくる姿であった。
ボロボロになりながらもストーンゴーレムを倒した勇者が突き破った壁の位置はあろう事か ”命の宝球”が置かれている台座のすぐ近く。
勇者は何かに導かれるようにフラフラと台座に近寄り・・・。
「やべえ! 勇者に先超されるぞフェアラート!」
フェアラートの突進ならあるいは追いつけるかと速見が相棒に注意を呼びかけるも、生憎な事にフェアラートは複数のストーンゴーレムと交戦中で手が離せそうに無い。
速見はサッと無銘を構えるも、近くのストーンゴーレムの攻撃によって正確に狙いをつける事ができなかった。
勇者の手が ”命の宝球” に伸びる。
その指先が宝球に触れた瞬間、まばゆい光りが部屋中を満たした・・・・・・。
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