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予感 ※ミリ
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その碧が我が主に微笑みかけた時、私の胸は震えた。
大切な大切な彼の心を動かしてくれそうな予感に期待が高まる。
私の主、シエラ=コンウォール様は大変に美しい。
美しい物が大好きで目の肥えた私ですらそう思うのだから。
だけど残念ながら、本人だけがそれに気付いてないのよねぇ。
私がシエラ様にお仕えするようになったのは、彼が8歳の時。
私は、訳あって他国からフェリトリンド王国に逃げてきた。
シエラ様の母親であり、私の親友であるマリーナを頼ってーー。
私の母国は、王族と貴族以外は虫ケラのように扱われる国。
虫ケラに人権なんてない。
魔術が使える者は強制的に上位貴族の奴隷にさせられた。
私も、5歳の頃からそうやって生きてきた。
まぁ、そんな国だったから当然のごとく内乱が起こったのよね。
反乱軍対国王軍の戦いは、隣国の干渉もあって反乱軍が優位のまま数年続いたわ。
次第に、貴族の屋敷が反乱軍に襲われて使用人も区別なく殺される事件が横行した。
勿論、魔術師もね。
魔術が使えるって言っても生活魔法程度だから、多勢に無勢。
口を封じて詠唱できないようにしてしまえばただの非力な人間なんだもの。
内乱が始まってから、私はマリーナと連絡が取れなくなっていた。
彼女がどんなに心配しているかと思うと胸が痛んだわ。
だから、ついに私の住む屋敷が襲撃された時の私の願いは一つだった。
最後に、一目マリーナに会いたかったーー。
そう思ったのを最後に、私の記憶は数ヶ月飛んでいる。
意識を取り戻した時、私は暖かいベッドの上にいた。
そこは、フェリトリンド王国のコンウォール領。
私の親友が嫁いだ領地。
だけど…そこにはマリーナの姿は無かった。
意識を取り戻した私に、マリーナの旦那様であるコンウォール伯爵が説明してくれた。
私が、禁忌である転移の魔術でここに現れたこと。
その代償に生死を彷徨う大怪我をして意識を失っていたこと。
ーーそして、マリーナがもうこの世にいない事。
内乱で連絡が取れない間に、マリーナが亡くなっていたなんて…。
マリーナが最期まで私の事を気にしていたのを覚えていた伯爵は、私をコンウォール領で保護してくださった。
だけど、マリーナの死を知った私にはもう生きる気力がなかったの。
5歳で引き離された家族は顔も覚えてないし、生きているかも分からない。
同じ屋敷で働いていた使用人仲間達は、おそらく全員殺されてるだろう。
マリーナだけが私の心の中拠り所だった。
彼女からの手紙を。いつか再会できることを。
いつもそれだけを支えに生きてきた。
だけど、もういない。
ーー私の生きる意味は何だろう?
私の死に場所はあそこだったんじゃないだろうか。
そんな思考に陥っていた時に出会ったのが、シエラ様だった。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
久しぶりの更新なのに暗いお話しですいません(^^;
冒頭のミリの心情は、24話のルド視点と比較していただくと面白いかもです!
次回もミリ視点です。
大切な大切な彼の心を動かしてくれそうな予感に期待が高まる。
私の主、シエラ=コンウォール様は大変に美しい。
美しい物が大好きで目の肥えた私ですらそう思うのだから。
だけど残念ながら、本人だけがそれに気付いてないのよねぇ。
私がシエラ様にお仕えするようになったのは、彼が8歳の時。
私は、訳あって他国からフェリトリンド王国に逃げてきた。
シエラ様の母親であり、私の親友であるマリーナを頼ってーー。
私の母国は、王族と貴族以外は虫ケラのように扱われる国。
虫ケラに人権なんてない。
魔術が使える者は強制的に上位貴族の奴隷にさせられた。
私も、5歳の頃からそうやって生きてきた。
まぁ、そんな国だったから当然のごとく内乱が起こったのよね。
反乱軍対国王軍の戦いは、隣国の干渉もあって反乱軍が優位のまま数年続いたわ。
次第に、貴族の屋敷が反乱軍に襲われて使用人も区別なく殺される事件が横行した。
勿論、魔術師もね。
魔術が使えるって言っても生活魔法程度だから、多勢に無勢。
口を封じて詠唱できないようにしてしまえばただの非力な人間なんだもの。
内乱が始まってから、私はマリーナと連絡が取れなくなっていた。
彼女がどんなに心配しているかと思うと胸が痛んだわ。
だから、ついに私の住む屋敷が襲撃された時の私の願いは一つだった。
最後に、一目マリーナに会いたかったーー。
そう思ったのを最後に、私の記憶は数ヶ月飛んでいる。
意識を取り戻した時、私は暖かいベッドの上にいた。
そこは、フェリトリンド王国のコンウォール領。
私の親友が嫁いだ領地。
だけど…そこにはマリーナの姿は無かった。
意識を取り戻した私に、マリーナの旦那様であるコンウォール伯爵が説明してくれた。
私が、禁忌である転移の魔術でここに現れたこと。
その代償に生死を彷徨う大怪我をして意識を失っていたこと。
ーーそして、マリーナがもうこの世にいない事。
内乱で連絡が取れない間に、マリーナが亡くなっていたなんて…。
マリーナが最期まで私の事を気にしていたのを覚えていた伯爵は、私をコンウォール領で保護してくださった。
だけど、マリーナの死を知った私にはもう生きる気力がなかったの。
5歳で引き離された家族は顔も覚えてないし、生きているかも分からない。
同じ屋敷で働いていた使用人仲間達は、おそらく全員殺されてるだろう。
マリーナだけが私の心の中拠り所だった。
彼女からの手紙を。いつか再会できることを。
いつもそれだけを支えに生きてきた。
だけど、もういない。
ーー私の生きる意味は何だろう?
私の死に場所はあそこだったんじゃないだろうか。
そんな思考に陥っていた時に出会ったのが、シエラ様だった。
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久しぶりの更新なのに暗いお話しですいません(^^;
冒頭のミリの心情は、24話のルド視点と比較していただくと面白いかもです!
次回もミリ視点です。
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