69 / 87
第五章~ステルクステ騎士団領編~
第68話『アッケルマン辺境伯』
しおりを挟む
「何奴!!?」
泊まっている部屋の外から
「カタッ」
という小さな物音がしたため、リーセロットが素早くドアの前まで行き、両手に短刀を握って身構えた。
「…私です…ララです…」
ドアの外から小さな声がし、リーセロットがドアを開けると、果たしてララであった。
「どうしてララが此処に?」
「はい、リセ。例のリザードマンの集落を襲ったへローフ教の過激派を捜索していた手の者からの報告を受けて調査に向かう途中、この宿に立ち寄ったの。そしたら女将が…」
ふと見ると、ララの横にこの宿の女将が立っていた。
「申し訳ございませんリーセロット様。てっきりララ様も同じ用件での御出向きかと思いまして…」
「いえ、いいわ。あなたも知っている通り、私とララは一心同体と言っていい間柄だから。」
宿の女将の謝罪にリーセロットはそう答えた。
「…リーセロット、ララ、この女将さんは何者なの?」
宿に入った時にリーセロットと女将が旧知であるのは判ったが、3人の会話からそれ以上のものを感じとり、マイカが尋ねた。
「この女将は、私の手の者よ。この帝国内には、いや、帝国外にも私の手の者が運営する隠し宿が幾つもあって、此処もその一つなの。」
「隠し宿…」
「ええ、そうよ。先に言っておくけど、この先で泊まる宿も皆、その隠し宿よ。」
「ふーん…あ!ララ、ララが今言ったリザードマンの集落って…」
「はい。いや、うん!マイカが見たという、燃やされていた集落のことよ。」
「それでララ、その集落を襲ったへローフ教過激派を発見したという事なのかしら?」
「はい、リセ。フリムラフ教国との国境付近を始め、帝国北部に広く派遣していた者の中から、発見したとの報告がありました。」
「何処で発見したの?」
「はい。それが、アッケルマン辺境伯領と報告を受けました。しかも、アッケルマン伯爵の館から出てきたところを見つけたと。」
「何ですって!?」
「…アッケルマン辺境伯って…?」
マイカが初めて聞く名を耳にして、リーセロットとララに問いかけるように呟いた。
「アッケルマン辺境伯というのはねマイカ、帝国北側の広大な地域を領する有力な帝国貴族の一人でね、フリムラフ教国への抑えの役割を担っている方よ。」
「えっ?でも、そのアッケルマン伯の館からへローフ教の過激派が出てきたってことは、抑えどころかフリムラフ教国と通じているんじゃ…」
「…そう決めつけるのは早々だわマイカ。
へローフ教の過激派とはいえ、普段は普通の一市民として暮らしていたりするわ。皆、別の顔を持っているのよ。
それこそ行商を生業にしている者も大勢いるわ。」
「え?インハングの街で行商人達と話したけど、行商人にはへローフ教の信者は居ないって言ってたよ。」
「それは行商人組合に加入している人達だからよ。
組合の加入資格はへローフ教信者ではない事と、それ以外にも色々な厳しい条件があるから組合に加入していない商人達も多いのよ。」
「へえー…そうなのか…」
「それでララ、その過激派の連中は集落から持ち出したリザードマンの遺体はどうしたのかしら?」
「それについては不明です。報告によると、その者達は徒歩で何も持っておらず、馬車等は発見に至っていないと…姿格好もへローフ教過激派の連中がよくする灰色の法衣ではなく、よくいる中流程度の臣民の服装であったと。」
「リザードマンの遺体?そんなのどうするの?リーセロット、ララ。」
「…ええマイカ、かつてリザードマンの皮膚や骨、歯や爪等は色んな物、武具や日用品等に加工されていたのよ。一般的にはリザードマンがまだモンスターと区別されていた何百年も昔の事だけどね。」
「…え?でも今は人、人類なんでしょ、同じ…」
「へローフ教信者にとっては、亜人は未だにモンスターなのよ。へローフ教信者には亜人の肉を喰らう奴までいるわ。」
「そんな!許されない!!」
「ええ…許す訳ないわ。奴らは我々エルフも長く迫害してきた…いや、常人でさえ、自分らの意に沿わないと非道い目に遭わせてきたわ。まさに人類の敵よ!!」
「長年戦ってきた帝国の敵でもあるんだろ?そんな連中と帝国貴族の一員たるアッケルマン伯とやらが、もし繋がっているとしたら…」
「はい。あ、ええ。なのでアッケルマン辺境伯領に私自身が赴いて詳しく調査する必要があると思い、向かう途中だったの。」
と、ララ。
「しかし慎重に調査する必要があるわね…
今、フリムラフと通じていなくとも、自身が調査されている事を知って、疑われているなどと思わせてしまったら…その事が離反の原因になってしまう可能性もあるし…」
「はい、リセ…」
「アッケルマン伯爵って、どういう人なの?リーセロット、ララ。」
「変わった人よ。」
と、リーセロット。
「変わった人?」
「モンスターの収集を趣味にしているの。モンスターの狩猟、捕獲だけを目的とした部隊を編成したりしているし。」
「モンスターの収集…その一環の延長でリザードマンを…って考えられない?」
「まさか!さっきも言った通り、アッケルマン伯は自身のモンスター狩猟捕獲部隊を持ってるわ。わざわざへローフ教の連中なんかを…
いや、非合法の事だから自分の家臣を使わずに、とかも考えられるわね…
それとも、伯爵のモンスター収集の趣味を知って取引を持ちかけてきたとか…」
「何にせよ、もしアッケルマン伯がリザードマンの遺体を入手していたとしたら、伯爵は犯罪者ということになるね?」
「ええ、でもねマイカ、アッケルマン伯は広大な領地を持ち、強大な兵力、経済力を持った極めて有力な貴族よ。更に家臣の中には魔法使いも何人かいるらしいし、もし証拠を掴んでも一筋縄ではいかないわ。」
「逮捕行為そのものだけが困難というだけでなく、政治的軍事的にも困難という事だね、リーセロット。」
「そうよマイカ、更にこのアッケルマン伯はね、今までも変な動きを何回かしているのよ。」
「変な動き?」
「ええ、10年前、フリムラフ教国の大軍が侵攻してきた時、アッケルマン伯も兵を動かす事を命令されていたのよ。」
「うん。それがアッケルマン伯の任務だもんね。」
「そう。そしてステルクステ騎士団軍と合流してフリムラフ軍を迎え撃つ段取りだったのに、モタモタと、明らかにわざとゆっくり準備して、結果、間に合わなくてステルクステ騎士団がフリムラフの大軍を一手に引き受ける羽目になったのよ。」
「例の1万5000対50万?」
「そう。それに5年前、帝国北東地域が大冷害に襲われた時も、帝国本領から支援物資を送るのは時間が掛かり過ぎるから、直ぐ近くを領するアッケルマン伯に支援物資を送るように命令したのだけれど…」
「…送らなかったの?」
「ええ、フリムラフ教国が再度侵攻してくる情報を掴んだから動けない、とか言ってね。
後で調べると全く侵攻の気配は無かったから詰問使を送ったら、誤報だったから仕方がないと開き直ったのよ。
私は誤報ではなく虚報だと思っているわ、今でも。」
「…あっ!その大冷害に襲われた北東地域ってアルム村のこと?ハンデルの出身地なんだけど。」
「…アルム村…そうね、それも含む多くの村が支援物資が届くのが遅くなり過ぎたために、大勢の餓死者病死者が出て廃村になったわ。」
「…見殺しにしたというわけだね…許せんな、そのアッケルマン伯…
しかし、何でそんなに自分の兵や物資を供出するのを渋るのだろう?」
「自己の勢力が少しでも弱まるのを厭んでのことでしょうね。」
「そんな!セコい奴!!…いや、何か事が起こった場合に備えて力を蓄えているということか…しかも、それは帝国の為なんかじゃなく自己の為…
何か凄く怪しいんだけど、そのアッケルマン伯って。」
「怪しいとは前々から感じているのだけれど…確たる証拠が無ければどうにも出来ないし、証拠を掴んだところで即処罰!と簡単にいく相手ではないし…
…ともあれ、私達には私達の大切な任務があるわ。その件はララに任せて…
ところでララも今夜は此処に泊まるの?」
「はい。そのつもりです、リセ。」
「じゃあ、ララもこの部屋で一緒に泊まりましょう。私のベッドをララに明け渡すわ。
私は…ねえマイカ、私はマイカのベッドで一緒に寝ていい?」
「え!なな、何で!?」
「ララからの報告を受けて気が張って、すっかり目が冴えちゃった。でも明日も一日中馬車の運転をするから早く休みたくて…
私、昔から寝付きが悪い時はお人形とか抱き締めて寝るの。そうしたら早く寝付けて、ぐっすりと眠れるのよ。
だからマイカお願い。明日の為によく眠っておきたいからマイカを抱かせて。」
「だだだ、抱くなんて、そんな!
そそそ、それならララで良いじゃないか!
何で私が…」
「ええい!もう、つべこべ言わずに!!
マイカがいいの!!」
と、リーセロットは素早くマイカをベッドに押し倒し、マイカをギュッと抱き締めてベッドに横たわった。
「ムギュッ!!」
マイカの顔がリーセロットの豊満な胸に埋められた。
「…マイカ…いい匂い……」
(いやいや、リーセロットも凄く良い匂いですけど!何だ、この石鹸の匂い以外の甘く蠱惑的な匂いは…)
「ちょっ!リーセロット!離れ、少し離れて!!」
リーセロットは早くも寝息を立てている。マイカを抱き締める力は強く、振りほどけそうもない。
(ワッ、ワッ!ワアァァーーッ!!
これじゃあ、オレが眠れないよーー!!!)
第68話(終)
※エルデカ捜査メモ〈68〉
アッケルマン辺境伯領は東に帝国北東地域、西にステルクステ騎士団領、北にフラムラフ教国という位置関係にあり(南は帝国本領や他の帝国貴族領)その領域は広大で、帝国最大の貴族領であるウェイデン侯爵領に次ぐ。
領内に膨大な埋蔵量を誇る銀山を持ち、経済的にも極めて豊かである。
西に境を接するステルクステ騎士団領とは、同盟締結の随分前から通商が盛んで、お互いの行商人が年中、季節を問わず多数往き来している。
泊まっている部屋の外から
「カタッ」
という小さな物音がしたため、リーセロットが素早くドアの前まで行き、両手に短刀を握って身構えた。
「…私です…ララです…」
ドアの外から小さな声がし、リーセロットがドアを開けると、果たしてララであった。
「どうしてララが此処に?」
「はい、リセ。例のリザードマンの集落を襲ったへローフ教の過激派を捜索していた手の者からの報告を受けて調査に向かう途中、この宿に立ち寄ったの。そしたら女将が…」
ふと見ると、ララの横にこの宿の女将が立っていた。
「申し訳ございませんリーセロット様。てっきりララ様も同じ用件での御出向きかと思いまして…」
「いえ、いいわ。あなたも知っている通り、私とララは一心同体と言っていい間柄だから。」
宿の女将の謝罪にリーセロットはそう答えた。
「…リーセロット、ララ、この女将さんは何者なの?」
宿に入った時にリーセロットと女将が旧知であるのは判ったが、3人の会話からそれ以上のものを感じとり、マイカが尋ねた。
「この女将は、私の手の者よ。この帝国内には、いや、帝国外にも私の手の者が運営する隠し宿が幾つもあって、此処もその一つなの。」
「隠し宿…」
「ええ、そうよ。先に言っておくけど、この先で泊まる宿も皆、その隠し宿よ。」
「ふーん…あ!ララ、ララが今言ったリザードマンの集落って…」
「はい。いや、うん!マイカが見たという、燃やされていた集落のことよ。」
「それでララ、その集落を襲ったへローフ教過激派を発見したという事なのかしら?」
「はい、リセ。フリムラフ教国との国境付近を始め、帝国北部に広く派遣していた者の中から、発見したとの報告がありました。」
「何処で発見したの?」
「はい。それが、アッケルマン辺境伯領と報告を受けました。しかも、アッケルマン伯爵の館から出てきたところを見つけたと。」
「何ですって!?」
「…アッケルマン辺境伯って…?」
マイカが初めて聞く名を耳にして、リーセロットとララに問いかけるように呟いた。
「アッケルマン辺境伯というのはねマイカ、帝国北側の広大な地域を領する有力な帝国貴族の一人でね、フリムラフ教国への抑えの役割を担っている方よ。」
「えっ?でも、そのアッケルマン伯の館からへローフ教の過激派が出てきたってことは、抑えどころかフリムラフ教国と通じているんじゃ…」
「…そう決めつけるのは早々だわマイカ。
へローフ教の過激派とはいえ、普段は普通の一市民として暮らしていたりするわ。皆、別の顔を持っているのよ。
それこそ行商を生業にしている者も大勢いるわ。」
「え?インハングの街で行商人達と話したけど、行商人にはへローフ教の信者は居ないって言ってたよ。」
「それは行商人組合に加入している人達だからよ。
組合の加入資格はへローフ教信者ではない事と、それ以外にも色々な厳しい条件があるから組合に加入していない商人達も多いのよ。」
「へえー…そうなのか…」
「それでララ、その過激派の連中は集落から持ち出したリザードマンの遺体はどうしたのかしら?」
「それについては不明です。報告によると、その者達は徒歩で何も持っておらず、馬車等は発見に至っていないと…姿格好もへローフ教過激派の連中がよくする灰色の法衣ではなく、よくいる中流程度の臣民の服装であったと。」
「リザードマンの遺体?そんなのどうするの?リーセロット、ララ。」
「…ええマイカ、かつてリザードマンの皮膚や骨、歯や爪等は色んな物、武具や日用品等に加工されていたのよ。一般的にはリザードマンがまだモンスターと区別されていた何百年も昔の事だけどね。」
「…え?でも今は人、人類なんでしょ、同じ…」
「へローフ教信者にとっては、亜人は未だにモンスターなのよ。へローフ教信者には亜人の肉を喰らう奴までいるわ。」
「そんな!許されない!!」
「ええ…許す訳ないわ。奴らは我々エルフも長く迫害してきた…いや、常人でさえ、自分らの意に沿わないと非道い目に遭わせてきたわ。まさに人類の敵よ!!」
「長年戦ってきた帝国の敵でもあるんだろ?そんな連中と帝国貴族の一員たるアッケルマン伯とやらが、もし繋がっているとしたら…」
「はい。あ、ええ。なのでアッケルマン辺境伯領に私自身が赴いて詳しく調査する必要があると思い、向かう途中だったの。」
と、ララ。
「しかし慎重に調査する必要があるわね…
今、フリムラフと通じていなくとも、自身が調査されている事を知って、疑われているなどと思わせてしまったら…その事が離反の原因になってしまう可能性もあるし…」
「はい、リセ…」
「アッケルマン伯爵って、どういう人なの?リーセロット、ララ。」
「変わった人よ。」
と、リーセロット。
「変わった人?」
「モンスターの収集を趣味にしているの。モンスターの狩猟、捕獲だけを目的とした部隊を編成したりしているし。」
「モンスターの収集…その一環の延長でリザードマンを…って考えられない?」
「まさか!さっきも言った通り、アッケルマン伯は自身のモンスター狩猟捕獲部隊を持ってるわ。わざわざへローフ教の連中なんかを…
いや、非合法の事だから自分の家臣を使わずに、とかも考えられるわね…
それとも、伯爵のモンスター収集の趣味を知って取引を持ちかけてきたとか…」
「何にせよ、もしアッケルマン伯がリザードマンの遺体を入手していたとしたら、伯爵は犯罪者ということになるね?」
「ええ、でもねマイカ、アッケルマン伯は広大な領地を持ち、強大な兵力、経済力を持った極めて有力な貴族よ。更に家臣の中には魔法使いも何人かいるらしいし、もし証拠を掴んでも一筋縄ではいかないわ。」
「逮捕行為そのものだけが困難というだけでなく、政治的軍事的にも困難という事だね、リーセロット。」
「そうよマイカ、更にこのアッケルマン伯はね、今までも変な動きを何回かしているのよ。」
「変な動き?」
「ええ、10年前、フリムラフ教国の大軍が侵攻してきた時、アッケルマン伯も兵を動かす事を命令されていたのよ。」
「うん。それがアッケルマン伯の任務だもんね。」
「そう。そしてステルクステ騎士団軍と合流してフリムラフ軍を迎え撃つ段取りだったのに、モタモタと、明らかにわざとゆっくり準備して、結果、間に合わなくてステルクステ騎士団がフリムラフの大軍を一手に引き受ける羽目になったのよ。」
「例の1万5000対50万?」
「そう。それに5年前、帝国北東地域が大冷害に襲われた時も、帝国本領から支援物資を送るのは時間が掛かり過ぎるから、直ぐ近くを領するアッケルマン伯に支援物資を送るように命令したのだけれど…」
「…送らなかったの?」
「ええ、フリムラフ教国が再度侵攻してくる情報を掴んだから動けない、とか言ってね。
後で調べると全く侵攻の気配は無かったから詰問使を送ったら、誤報だったから仕方がないと開き直ったのよ。
私は誤報ではなく虚報だと思っているわ、今でも。」
「…あっ!その大冷害に襲われた北東地域ってアルム村のこと?ハンデルの出身地なんだけど。」
「…アルム村…そうね、それも含む多くの村が支援物資が届くのが遅くなり過ぎたために、大勢の餓死者病死者が出て廃村になったわ。」
「…見殺しにしたというわけだね…許せんな、そのアッケルマン伯…
しかし、何でそんなに自分の兵や物資を供出するのを渋るのだろう?」
「自己の勢力が少しでも弱まるのを厭んでのことでしょうね。」
「そんな!セコい奴!!…いや、何か事が起こった場合に備えて力を蓄えているということか…しかも、それは帝国の為なんかじゃなく自己の為…
何か凄く怪しいんだけど、そのアッケルマン伯って。」
「怪しいとは前々から感じているのだけれど…確たる証拠が無ければどうにも出来ないし、証拠を掴んだところで即処罰!と簡単にいく相手ではないし…
…ともあれ、私達には私達の大切な任務があるわ。その件はララに任せて…
ところでララも今夜は此処に泊まるの?」
「はい。そのつもりです、リセ。」
「じゃあ、ララもこの部屋で一緒に泊まりましょう。私のベッドをララに明け渡すわ。
私は…ねえマイカ、私はマイカのベッドで一緒に寝ていい?」
「え!なな、何で!?」
「ララからの報告を受けて気が張って、すっかり目が冴えちゃった。でも明日も一日中馬車の運転をするから早く休みたくて…
私、昔から寝付きが悪い時はお人形とか抱き締めて寝るの。そうしたら早く寝付けて、ぐっすりと眠れるのよ。
だからマイカお願い。明日の為によく眠っておきたいからマイカを抱かせて。」
「だだだ、抱くなんて、そんな!
そそそ、それならララで良いじゃないか!
何で私が…」
「ええい!もう、つべこべ言わずに!!
マイカがいいの!!」
と、リーセロットは素早くマイカをベッドに押し倒し、マイカをギュッと抱き締めてベッドに横たわった。
「ムギュッ!!」
マイカの顔がリーセロットの豊満な胸に埋められた。
「…マイカ…いい匂い……」
(いやいや、リーセロットも凄く良い匂いですけど!何だ、この石鹸の匂い以外の甘く蠱惑的な匂いは…)
「ちょっ!リーセロット!離れ、少し離れて!!」
リーセロットは早くも寝息を立てている。マイカを抱き締める力は強く、振りほどけそうもない。
(ワッ、ワッ!ワアァァーーッ!!
これじゃあ、オレが眠れないよーー!!!)
第68話(終)
※エルデカ捜査メモ〈68〉
アッケルマン辺境伯領は東に帝国北東地域、西にステルクステ騎士団領、北にフラムラフ教国という位置関係にあり(南は帝国本領や他の帝国貴族領)その領域は広大で、帝国最大の貴族領であるウェイデン侯爵領に次ぐ。
領内に膨大な埋蔵量を誇る銀山を持ち、経済的にも極めて豊かである。
西に境を接するステルクステ騎士団領とは、同盟締結の随分前から通商が盛んで、お互いの行商人が年中、季節を問わず多数往き来している。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる