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20話
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「冗談はよせ!髪を伸ばしてこそいるが体型と腕力は男そのものではないか!」
ムルドは自信満々に根拠を述べる。得意げな表情、態度からすると挑発とかではなく本気でそう思っているようだ。
「おっさん。もう許さないから!」
遊佐はムルドの悪気のない言動に一層腹が立ち、地団駄を踏む。
「っぷふぅ。」
ピーカは笑いを堪えている。
「おい聞いたか!?女だとよ!?」
「嘘でしょ!?あんな男みたいな格好なのに?」
「体型はまんま男だよな?」
などと観衆からも驚きと疑いの声があがる。
「私は女だから!私の国ではこの格好は普通だから!」
遊佐は観衆に必死に説明する。その時一瞬ムルドから視線を逸らしてしまった。そこをムルドは見逃さない。
「隙有り!」
ムルドが斜め上段から剣を振り下ろす。
「わっ!」
遊佐は咄嗟に態勢を下へ落とし斜め前に前転するような動きでムルドの攻撃を避け、慌てて距離をとって態勢を整える。
「おっさん!卑怯!」
と焦りながらムルドに抗議する。
「卑怯でも何でもないわ!隙を見せた貴様が悪い!」
ムルドは得意気な表情で自分を正当化する。
「この~、ならこっちもやってやる!」
遊佐はムルドに再度斬りかかる。ムルドは何度も振り下ろされる木剣の一撃一撃を最小限の力で受け止める。
「ふん!いくら力があっても単調な攻撃で私は倒せんぞ!」
「ならこれは!」
遊佐は振り下ろす瞬間、木剣を手放した。このフェイントにつられたムルドは、本来遊佐が木剣を持っていたら受けたであろう位置に剣を構えた。
「しまった!」
遊佐は振り下ろしの勢いのままムルドの足もとに両手をつき、両足を上げた。両手で反動をつけ飛び上がり、両足をムルドの肩に引っ掛けて体を捻って投げ飛ばす。
「ぐわぁ!」
ムルドは三回転くらい転がった後になんとか態勢を整え膝をつく形で踏み止まる。
遊佐は起き上がり、得意げな顔をする。
「一撃入れたから私の勝ち!」
右の拳を高らかに挙げて宣言する。目を瞑り、やりきったという満足感に満ちた表情を浮かべて悦に浸る。
「ムルドの勝ちね。」
ピーカが呆れた感じで言う。
「、、はぁ?!」
遊佐は驚きのあまり声が裏返る。
「言ったじゃない。武器を打ち落とすか、相手に一撃くらわせたら勝ちって。」
ピーカは腕を組みながら遊佐とムルドの両者の間に割って入る。
「え?だから一撃くらわせて 」
遊佐は慌てながらピーカに抗議する。
「その前にあんた武器を打ち落とされてるじゃない。」
ピーカは首を横に振る。
「あれはわざと 」
「あんたの世界じゃそうなのかもしれないけど、こちらでは武器を手放す事は打ち落とされたのと同じことよ!」
「そんな、 」
遊佐はがっかりし肩を落とす。
「なに?文句あんの?なら今度は私が相手になるけど!?」
ピーカは腰に手を当て上半身を遊佐の方へ傾ける。
「、、文句ないです。」
こうして決着がついた。
ムルドは自信満々に根拠を述べる。得意げな表情、態度からすると挑発とかではなく本気でそう思っているようだ。
「おっさん。もう許さないから!」
遊佐はムルドの悪気のない言動に一層腹が立ち、地団駄を踏む。
「っぷふぅ。」
ピーカは笑いを堪えている。
「おい聞いたか!?女だとよ!?」
「嘘でしょ!?あんな男みたいな格好なのに?」
「体型はまんま男だよな?」
などと観衆からも驚きと疑いの声があがる。
「私は女だから!私の国ではこの格好は普通だから!」
遊佐は観衆に必死に説明する。その時一瞬ムルドから視線を逸らしてしまった。そこをムルドは見逃さない。
「隙有り!」
ムルドが斜め上段から剣を振り下ろす。
「わっ!」
遊佐は咄嗟に態勢を下へ落とし斜め前に前転するような動きでムルドの攻撃を避け、慌てて距離をとって態勢を整える。
「おっさん!卑怯!」
と焦りながらムルドに抗議する。
「卑怯でも何でもないわ!隙を見せた貴様が悪い!」
ムルドは得意気な表情で自分を正当化する。
「この~、ならこっちもやってやる!」
遊佐はムルドに再度斬りかかる。ムルドは何度も振り下ろされる木剣の一撃一撃を最小限の力で受け止める。
「ふん!いくら力があっても単調な攻撃で私は倒せんぞ!」
「ならこれは!」
遊佐は振り下ろす瞬間、木剣を手放した。このフェイントにつられたムルドは、本来遊佐が木剣を持っていたら受けたであろう位置に剣を構えた。
「しまった!」
遊佐は振り下ろしの勢いのままムルドの足もとに両手をつき、両足を上げた。両手で反動をつけ飛び上がり、両足をムルドの肩に引っ掛けて体を捻って投げ飛ばす。
「ぐわぁ!」
ムルドは三回転くらい転がった後になんとか態勢を整え膝をつく形で踏み止まる。
遊佐は起き上がり、得意げな顔をする。
「一撃入れたから私の勝ち!」
右の拳を高らかに挙げて宣言する。目を瞑り、やりきったという満足感に満ちた表情を浮かべて悦に浸る。
「ムルドの勝ちね。」
ピーカが呆れた感じで言う。
「、、はぁ?!」
遊佐は驚きのあまり声が裏返る。
「言ったじゃない。武器を打ち落とすか、相手に一撃くらわせたら勝ちって。」
ピーカは腕を組みながら遊佐とムルドの両者の間に割って入る。
「え?だから一撃くらわせて 」
遊佐は慌てながらピーカに抗議する。
「その前にあんた武器を打ち落とされてるじゃない。」
ピーカは首を横に振る。
「あれはわざと 」
「あんたの世界じゃそうなのかもしれないけど、こちらでは武器を手放す事は打ち落とされたのと同じことよ!」
「そんな、 」
遊佐はがっかりし肩を落とす。
「なに?文句あんの?なら今度は私が相手になるけど!?」
ピーカは腰に手を当て上半身を遊佐の方へ傾ける。
「、、文句ないです。」
こうして決着がついた。
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