ショタコンな私、悪魔に転生して真実の愛を見つけました。〜溺愛する美少年と添い遂げたのでその年代記を書きます〜

中田涼介

文字の大きさ
12 / 17
第一章 運命の出会いと王国動乱篇

第十一話 K② 誰も知らない戦争

   ケヴィン・ブラームスが王都を脱出してから7日、ケヴィンは同じく王都の虐殺を生き延び脱出してきた兄、アルフォンスと合流していた。

 王都と東部の境界にある魔女の森に陣を張り、選定の儀に出ずに東部に残っていたブラームス家の傘下の諸侯達の軍とダールベルク家の軍を迎え撃つ準備をしている。

 ーー流石だ、アルフォンス兄様、、、。父上を失いアメリア姉様も捕らえられている状況で、こんなに早く立て直すなんて。

 焚き火を前にしゃがみ込み虚な瞳で呆然と炎を見つめるケヴィンに、対面に座る兄アルフォンス・ブラームスは心配したような目で気遣う。

 「自分を責めるなケヴィン。お前のおかげでダールベルクの目論見を知ることができたのだ。お前のおかげで母上とエルマーを救うことができるのだ。」

焚き火の炎に照らされる二人の表情は対照的で、アルフォンスは希望を瞳に宿し、ケヴィンは罪悪感と絶望に瞳を曇らせていた。

 同じものを見て、同じ経験をしても性格の違いか経験値の差なのか如実に正反対の表情を浮かべている。

 「王都の民を見殺しにしました。友を、見知った顔を、バッソン団長を、、、アメリア姉様を、、。」

 ケヴィンの瞳には置き去りにしてきた過去しか映っておらず、日に日に弱ってきているのをアルフォンスは感じていた。

 焚き火の炎を挟んで向かい合うアルフォンスは真っ直ぐにケヴィンを見つめ声を強めて言い放つ。

 「お前はお前のできる最善の行動をとった。魔法を封じられたお前にあれ以上の何ができた⁈」

アルフォンスは立ち上がりケヴィンの前まで行き、胸ぐらを掴んで腑抜けた弟を強引に立たせる。

 「もう7日だ!ケヴィン!どうしようもできない過去に囚われて今を無駄にするなっ!悲しんでもいい、後悔してもいい、涙を流してもいい。だが、今を無駄にしてこれ以上奪われるような事があってはならん!」

エルマーの前では決して見せることなど無い怒声を上げてアルフォンスが整った美しい顔を怒りに染めて掴んでいた手を乱暴に放す。

 ケヴィンは枯れ葉が散らばる地に尻餅をつき倒れる。
 ケヴィンの暗い瞳に、残された母と幼い弟エルマーへの想いが過ぎる。

 ーー奪われてはならない、、。これ以上、、っ

 永らく感情を灯すことの無かった彼の瞳に涙が浮かび頰を伝い、最後には枯れ葉の上に落ちる。

 「少し、、、甘えてしまったのかもしれない、、、アルフォンス兄様に。すまない、、兄様も同じ想いだというのに、、っ、」

震える手で膝を抱えてゆっくり立ち上がったケヴィンの瞳にはもう闇は消えていた。

 「泣くのはこれで最期にする。私は残った大切な者のために最後まで戦う。」

アルフォンスは長い金髪を夜風に靡かせながらケヴィンに背を向けて話し始める。

 「ここでダールベルクの軍を叩けば奴らが我らが領地にいる母上とエルマーに手を出すことなど出来なくなる。お前はここで私と共に諸侯を率いてエルヴィン公とフリッツの首を獲るのだ。」

ケヴィンがアルフォンスの隣まで歩き並び立つと眼下に広がる草原を見つめる。

 ーーここが明日の戦場となる。

 「アメリア姉様は取り返す、母上とエルマーには指一本触れさせない!私がフリッツの首を獲ります。」

かつての姿を取り戻した弟を横目にアルフォンスはようやく硬い顔を崩していつもの優しい目に戻る。

 「今のお前を待ち望んでいたよ、この7日間。」

目が合うとフッと微笑み合いいつもの兄弟の調子を取り戻す。
 ちょうど足音が近く音を聞いて兄弟が振り返るとブラームス家の衛兵が膝をつき臣下の礼をとりながら報告を上げる。

 「アルフォンス様、ケヴィン様。諸侯の皆様が本陣にてお待ちです。」

ふーっ と息を吐き長身を伸ばしてアルフォンスは気持ちを切り替えると、一領主のように堂々とした面持ちでケヴィンに笑いかける。

 「そろそろ本陣の酒がレオポルド公の息子に飲み干される。その前に軍議を始めるぞ!」

 「はい!アルフォンス兄様!」

アルフォンスの大きな背中に絶対的な安心感を感じてケヴィンは大きく返事をする。

 2人の足取りは7日前よりも軽く、背中は以前よりも大きく見える。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 魔女の森の奥深くに設置した本陣、ブラームス家の一際大きな天幕の入り口には衛兵が2人立っており警備している。

 兄弟が近くと頭を下げて挨拶し、天幕の入り口を開けて2人を通す。

 広い天幕の中心には巨大な楕円形の長机があり、上座を空けて机を囲むように30人ほどの諸侯達が詰め掛けていて各々話し込んでいた。

 兄弟に気づくと全員立ち上がり会話を切り上げ、頭を下げて臣下の礼をとる。

 「アルフォンス様、ケヴィン様。お待ちしておりした。」

 アルフォンスは軽く会釈して上座に向かい、ケヴィンは後ろに続く。
 上座の後ろに控える衛兵が椅子を引いてアルフォンスに座るよう促すと堂々とした振る舞いで腰掛ける。

 ケヴィンはその隣に達集まった諸侯を見渡すと額に汗が流れるのを感じる。

 ーーフリーゼ家、クライン家、ビクスラー家、グライスナー家、、、たった数日でよくこれだけの主要な諸侯を集められたものだ。

 当主の父を失い、代わりにその手腕を発揮した兄にケヴィンは尊敬の眼差しを向ける。

 ーー私だったら不可能なことだ。東部諸侯達も私の言う事などきかないだろう。

 優秀なケヴィンをしてそう言わしめるのは、集まった諸侯達が兄弟よりもずっと経験があり老獪で癖のある者達ばかりだからだ。

 対照的に、兄弟と同じく選定の儀の虐殺で当主を失い、急遽当主の座が回ってきて召集に応じた者達も多く、彼らは不安を隠せずにキョロキョロと周りを窺っている。

 そんな中で一際目立つ茶髪の大男がデカい声で空気を読まずにアルフォンスに馴れ馴れしく話しかける。

 「おぅ!アルフォンス!さっそくだがよぉ、俺の使い魔がダールベルクの軍がここから10km先の川辺に軍を泊めてるのを見つけたぜ!」

 選定の儀で父を亡くしたレオポルド公の息子、カール・レオポルドが重要な報告を上げる。

 それを聞き天幕には騒めきが広がり、戦争が間近に迫っているのを感じ取る。

 「もうそこまで来てるのか⁈」

「いや、遅いくらいだ!選定の儀から随分と時が経った。奴ら何か他にも企みがあるのでは?」

「そんなことより、敵の数だ!軍の規模は?」

「西のアーベルハルト家と南のフェルスター家の協力は得られんのか⁈」

「あの爺さんは領地に引っ込んでるさ。それに今更もう間に合わん。」

「帝国兵の姿は見なかったのか⁈」

各々が議論を始めて、急造の軍はまとまりを無くしていく。特に急遽当主となった者はここにきて慌てふためき取り乱している者が多い。

 「皆落ち着け!まずはレオポルド公の話の続きを聞くのだ!カール、報告を続けてくれ。」

アルフォンスが威厳ある声で騒めきを鎮めてレオポルド公に話しの続きを促す。

 カール・レオポルドはアルフォンスの顔を見て頷き、立ち上がり諸侯達全員を見渡しながら報告の続きを進める。

 「まず、そうだなぁ。奴らの軍の規模だがこっちの2倍はいるな。北部諸侯全員から徴兵したんだろうよ、ザッと6000はいる。」

驚き目を見開き騒ぎ出そうとする諸侯達をアルフォンスが手を挙げて静止させると、レオポルド公に目を向けて問いを投げる。

 「その中に帝国兵の姿はあったか?」

「無ぇなぁ。だが、今回の奴の暴挙は帝国の後ろ盾あっての事だろ?奴らに帝国兵の援軍が更に加わるのを計算に入れて作戦を立てるべきじゃねぇか?」

大柄で熊のように野性的な見た目とは反してカール・レオポルド公は理知的にアルフォンスに進言する。

 カールの推測に他の諸侯達も頷き賛同するとアルフォンスも目を閉じながら応える。

 「帝国兵の存在は当然計算に入れる。しかし、隅々まで放っておいた斥候の目からは何処かに帝国兵を伏せてあるという情報は上がっていない。」

アルフォンスは机に地図を広げて王都と東部の境界を跨ぐ魔女の森の周辺一帯を確認する。

 「坊や、我らの常識は当てにならぬと考えた方がいい。帝国のワームテールは常に相手の想像の上をいく戦術をとる。王都の虐殺では帝国兵が空から降ってきたというじゃないか?」

 アルフォンスとも昔から顔馴染みであり兄弟の姉貴分的な存在であるフリーゼ家の当主、カルラ・フリーゼが諭すように言い放つ。

 顔の半分を長い銀髪で隠した妙齢の美女、カルラ・フリーゼはキセルから吸った煙を吐き出しながら、集まった諸侯達を睥睨して続け様に毒を吐く。

 「それ以前にさぁ、ここにいる諸侯の半分は繰り上がりで昨日今日当主になったばかりのケツの青いガキばかりじゃないさね。戦う前からぷるぷる震えて可愛いのなんの」

カルラが笑いながら嘲ると同調するようにグライスナー家の当主が口を開く。

 「違いない。自らの手を血で染めた事もないガキどもに背を預けるのは気が進まんよ。なぁ、アルフォンス?」

 豪華な装飾のローブを身に纏い深く腰掛ける中年の髭を生やしたグライスナー公が椅子を回してアルフォンスに体を向ける。

 諸侯の中でも突出した軍を保有するグライスナー家当主、ブルーノ・グライスナーが挑発的に主君であるアルフォンスを睨む。

 「グライスナー公!主君に対してそのような、、、!」

  ケヴィンがカッとなってグライスナー公に食って掛かろうとするのをアルフォンスは余裕ある態度で静止すると真っ直ぐにブルーノ・グライスナーを見つめる。

 「何か思う事があるのならはっきりと言ったらどうだ?グライスナー公。」

ブルーノは苛ついた様子で机を指でトントンと叩きながらいっそ正直に話し始める。

 「いつお前が俺の主君になったんだ?お前がいつブラームスの当主らしい事をした?俺の息子がヴィルマー公と一緒に議事堂で殺されてる間お前は王都で何してたんだ?えぇ?教えてくれよ」

あけすけなく不満を露わにして挑発的な態度をとるグライスナー公の発言に天幕の空気は張り詰める。

 静まり返る空間でアルフォンスは一旦グライスナー公の無礼な発言を飲み込んで一拍置き碧眼を見開くと、

 「言いたい事はそれだけか?グライスナー公。お前の息子を殺したのはダールベルクであって、その怒りを私にぶつけるのは筋違いだ。まして、父の死を私を貶めるために利用するとは恥を知れ!」

アルフォンスが静かに怒気を纏わせ、内に眠る魔力を放つと周りの者は悪寒を感じ、本能が身に迫る危険を察知して震え出す。

 ブラームス家の闇魔法を受け継いで無いとは言え、最年少で宮廷魔法騎士団の団長になったアルフォンスの実力は王国でも指折りで、この天幕に集まる諸侯で彼と渡り合える者など居ない。

 「う、、っ、、!悪かった、、!俺が間違ってた、、っ、。息子の死はあんたのせいじゃ無い、、。」

  震える体で姿勢を正して座り直し、滝のような汗をかきながらブルーノ・グライスナー公は自らの過ちを謝罪する。

 「許す。グライスナー公。貴殿の力を頼りにしているぞ、必ずやエルヴィン公の首を獲るのにお主の力は必要となるだろう。」

 諸侯達は今一度アルフォンスとの力量差を実感して己が主と認める。

 カルラ・フリーゼは思惑通りに事が運んだことに満足してアルフォンスとケヴィンに目配せする。

 ケヴィンは心の中でカルラに頭を下げて感謝する。

 ーーカルラさんのおかげで不満を炙り出しと、アルフォンス兄様を主君と認めさせることに成功した。これでバラバラの急造の軍もアルフォンス兄様の下一つの強固な軍に成る。

 「今一度軍議を再開するぞ。いいか?これは貴殿らの領地、東部を、ひいては王国を守る聖戦だ。半端な覚悟の者はここに必要無い、領地に帰りダールベルクの軍が殺しに来るのを待っているがいい。
 だが、私と共に父の仇を、友の仇を、ダールベルクの首を獲り王国に平和を取り戻す意思のある者は私に力を貸して欲しい!私は必ず貴殿らの期待に応えると約束しよう。」

立ち上がって諸侯達を見回し今一度強い決意を口にすると、話を聞いていた諸侯達にもその熱い想いが伝染したのか、士気が高まり皆が歓声を上げる。

 「明日がダールベルクとの決戦となるだろう。それまでに奴を討つための策を練るぞ!」

今一度机を皆で取り囲み、アルフォンスは戦争経験の多いカルラ・フリーゼやブルーノ・グライスナー達の声を取り入れながら軍議を進めて熱が入っていく。

 明け方までそれは続き、ついに北部ダールベルク家と東部ブラームス家の軍勢の戦争が幕を上げようとしていた。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

  明朝、まだ陽が登って間もない静けさが支配する森を東部諸侯達で構成された軍が静かに抜けていく。

 掲げられた多種多様な旗がその軍の混在さを物語る。
 先頭を行くのは王冠の上に立ち羽を広げる黒い鷲が描かれた旗だ。
 それが古来からの、一王国の王家であったブラームス家の紋章だ。

 森を抜けて草原に立つと、馬に跨り先頭に立つアルフォンスは指揮を執り軍を展開させる。


 「遂に始まりますね。アルフォンス兄様。」

隣に立つケヴィンが緊張した面持ちでアルフォンスを見上げているのに気づく。

 「作戦通り私とお前でまず奴らを迎え撃つ。同じ王国民とて容赦するな。」

家族には決して向けたことがないような冷徹な目で地平線を見ながらアルフォンスがケヴィンに覚悟を促す。

 ダールベルクの軍には同じ宮廷魔法騎士団に勤める友もいることだろう。その友はただ北部に生まれたというだけできっとわけもわからずにこちらに行軍してるはずだ。

 だがそれを殺せとあえて言うのはアルフォンスが弟の優しすぎる性格を熟知してるからだ。

 「もう迷いません。私にはブラームス家の次男としての責務がある。」

心の天秤はもう家族と東部に傾いている。誰が立ち塞がろうとも躊躇はしない。

 2人が覚悟を決めた様子で1200程の軍を広く転嫁して横陣を敷くと、太陽の強い日差しと共に地平線を埋め尽くすほどの軍が対面の丘から現れる。

 「来たぜぇえ。斥候の情報通り6000はいるなぁ。あっちも横陣で戦を始める気だ。」

カール・レオポルト公が全員に聞こえるように大きな声で知らせる。

 「前衛は魔法騎馬隊2000くらいか?その後ろには魔法砲撃歩兵隊1000、魔法軽装歩兵1000、後方支援の魔法大隊1000、本陣にも1000、てところだな。よくかき集めたもんだぜ。」

兵達には緊張が走り目前に迫る大軍を見て震える者もいる。
 獅子を喰う黒蛇 が描かれたダールベルク家の旗が一際目立つように掲げられている。

  横陣が敷かれたその中央から、フリッツ・ダールベルクが兵達を押し退けてニヤついた不気味な笑みを浮かべながら現れる。

 手には縄を持ち、それを強引に手繰り寄せて見せつけるように乱暴に髪を掴んで持ち上げる。

 ーーあれは⁈

 ブラームスの兄弟は驚愕と怒りに目を見開く。

 ーーアメリア姉様⁈

 かつての強く美しかった姿は見る影もない。首に縄をかけられて薄汚れたボロボロの布切れを着せられ、艶のあった肌は擦り傷と血で汚れている。

 ーー一体奴に何をされた⁈

 兄弟には最悪の想像が頭を過ぎる。他の兵も口には出さないが見知ったブラームス家の姫君に起きた事を考えて不快に顔を歪めている。

 ブラームス家の証である金髪と翡翠の瞳でかろうじて姉と分かるくらいで、以前とはまるで別人のようだ。

 「ブラームスの小僧共!兵を領地に返してお前ら2人だけ投降しろ。そうすればこいつは助かるかも知れんぞ?もう身体は清らかでは無いがな。」

フリッツ・ダールベルクが下卑たような笑みのまま手に持つ魔道具を使って声を草原に響渡せる。

 弟達の姿を目に捉えたアメリアは、突如身をよじってフリッツの手を強引に振り払うと拡声機能のある魔道具に向かって全ての者に聞こえるように叫ぶ。

 「殺せぇええええええええ!」

怨念めいたアメリアの叫びにアルフォンスとケヴィンの兄弟、彼女を昔から知る東部諸侯達とその兵は応えて、走り出す。

 「騎兵隊突撃開始!奴らを殺せぇえ!」

鬼の形相でアルフォンスが先頭を率いて騎兵隊を敵の横陣に向けて突撃される。

 「ちっ!この女っ、、!」

フリッツは苛立ちを露わにアメリアを足蹴にすると迫り来るブラームス軍の騎兵隊を視界に捉える。

 「こちらも騎兵隊を出せ!」

フリッツが指示を出すと、諸侯の1人が手で合図してダールベルク軍の騎兵隊も出陣する。

 両軍魔法を発動し、槍には炎を、氷を、雷を纏わせながら全身を補助魔法で強化させながら、凄まじい地響きをならしながら両騎兵隊は距離を縮めていく。

 雄叫びを上げながら両騎兵隊は目前に迫る敵にスピードを緩める事なく進み続けて、衝突する。

 凄まじい衝撃が辺りを吹き抜けて、宙に兵が舞い血と臓物が吹き荒れる。雷が、炎が、人を焼く匂いと氷塊が人を貫く嫌な音が響く。

 絶叫と雄叫びを上げながら両軍は入り乱れて殺し合い、草原を血で染めていく。
感想 0

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい

歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、 裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会 ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った 全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。 辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。