ショタコンな私、悪魔に転生して真実の愛を見つけました。〜溺愛する美少年と添い遂げたのでその年代記を書きます〜

中田涼介

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第一章 運命の出会いと王国動乱篇

第十二話 K③ 悪魔の所業

 両軍の騎馬隊が衝突し第一陣はお互い潰れ役となり宙を舞い飛んでいく。

 血と臓物を頭から被り見知った顔の頭部が落ちてくるのを払い除けて、ケヴィンは折れた槍を捨てて騎士剣に武器を替えて雷を纏わせる。

 ーーフリッツは本陣に逃げたか⁈エルヴィン公は⁈

 絶叫しながら剣を振り上げて迫ってくる敵兵を切り捨てて、辺りを見回す。

 両軍は入り乱れてもはや隊形は無く、広い平原の中心で乱戦となっている。

 すぐ近くに爆煙が舞うのを見ると、兄アルフォンスが炎魔法で敵兵数人を葬っているのに気づく。

 「ケヴィン!このまま敵本陣まで進むぞ!」

兄もケヴィンに気づき手で合図して指示を出す。

 ケヴィンは頷き、敵兵を切り捨てながら進み兄と合流を果たす。

 ーー数で劣る中皆よく戦っている!

 倍の数の敵に対してブラームス軍はよく応戦していた。あえて急造の軍を無理に纏めることをせず、それぞれの家の者が身内で固まって連携し、乱戦の中バラバラのダールベルク軍を統率のとれた動きで葬っている。

 「エルヴィン公は⁈」

「見ていない!奥の本陣だろう。」

兄弟で背中を合わせて息のあった動きで、炎と雷の攻撃魔法を放ち敵をなぎ払いながら状況を確認する。

 周囲から敵を排除して前に進もうとした時、戦場に大量の光の矢が降り注いでくる。

 ーー光超級魔法⁈フリッツかっ⁈

 光の矢はダールベルク軍とブラームス軍を区別することなく降り注いで命を奪っていく。

 小さくそれぞれが纏まって点在していたブラームス軍は攻撃を受けて再び散り散りになっていく。

 ダールベルク軍の兵達も光の矢で撃たれながら戦場は舞い上がる粉塵と血で混沌としていく。

 「最初から兵を犠牲にするのが前提の作戦とは、っ!悪鬼フリッツめ!」

土魔法で盾を創り空からの攻撃を防ぎながら取り乱している敵兵数人に雷撃を放ち吹き飛ばす。

 「魔法砲撃大隊、放て。」

フリッツは冷酷な目で草原中央の乱戦を観ながら更なる一手を指す。

 後ろに控えさせていた魔法砲撃大隊が轟音を立てながらいくつもの遠距離炎魔法を戦場に放つ。

 自軍の騎兵隊もろとも乱戦場そのものを葬るつもりだ。

 「砲撃来るぞ!撃ち返せ!」

乱戦場にいるブラームス軍はそれぞれが魔法を放ち迫り来る炎の砲弾を撃ち落とす。

 取りこぼした炎弾は戦場に落ち爆発して辺りを吹き飛ばしていく。戦場の敵兵を大きく減らしフリッツは邪悪な笑みを浮かべて追撃を企てる。

 「魔法軽装歩兵団出ろ。」

今まで一切動かしていなかった歩兵団1000を出して混沌の乱戦場にぶつけようという画策だ。

横陣を広げたままアルフォンス達にゆっくりと1000人の魔法軽装歩兵団が進軍していく。

 「これで終わりにする。お前の出番だぞ?」

フリッツが隣に控えていた帝国部隊長を横目に顎で指示を出す。

 帝国部隊長はぺっと唾を吐き、軽蔑した目でフリッツを見ながら踵を返して無線を取り出し部下に指示を出す。

 「今だ。戦車大隊出ろ。」

帝国部隊長が無線を通して指示を出すと、地の底を揺らす駆動音が響き渡り乱戦場を挟む様に両側から帝国軍が出現する。

 キャタピラが草原を踏みつぶし、砲口はアルフォンス達をしっかりと捉えながらゆっくりと進んでくる。戦車を挟む様に手に<銃>を携えた歩兵が列をなしてキレイな隊形を組んでいる。

 乱戦場は正面のダールベルクの魔法軽装歩兵団と両脇から現れた帝国軍の三方に包囲される形になった。

 「ブラームスの小僧共案外やると思ったが、これで終わりよ。」

フリッツは本陣に残した少数の兵に囲まれながらその奥で邪悪な笑みを浮かべて勝利を確信する。

 戦車の砲口の射程距離に入った時魔女の森から2つの軍が雄叫びをを上げながら出てくる。

  「帝国軍の脇腹を食い破ってやりな!」

カルラ・フリーゼ公の率いる800の軍が右に現れた帝国軍の横に奇襲を掛ける。
 乱戦に向けて展開していた帝国軍は突如横から現れたフリーゼ軍に慌てふためきながら銃を乱射する。

 反対方向からはブルーノ・グライスナー公率いる1000の軍が同じく左に現れた帝国軍の横に奇襲を掛ける。

 「魔法が使えるのなら帝国兵などに遅れはとらぬ!あの鉄の塊を破壊せよ!」

グライスナー公自ら馬に跨り先頭を走りながら上級炎魔法を放ち戦車を破壊する。

 勢いのついたまま両軍は帝国軍に襲いかかり草原には魔法と銃の射撃音、砲弾の轟音が轟く。

 「最初から軍を3つに分けて右翼と左翼を伏せてあったのか。通りで数が少ないと思ったが、、。」

遠目からその光景を見るフリッツは少し驚いた様な素振りをみせる。
 完璧だった包囲は崩れて再びブラームス軍が勢い付く。

 「まぁ、それでもこちらの有利は変わらんがな。」

フリッツが不敵な笑みを取り戻すと、ダールベルクの魔法軽装歩兵がちょうど中央の乱戦場に介入するところだ。

 「もう此方の兵も少ないぞ!アルフォンス!」

レオポルト公が魔法で強化した大柄な身体で敵兵を締め上げながらアルフォンスに窮状を知らせる。

 炎上級魔法で敵歩兵団を薙ぎ払いながらアルフォンスはレオポルト公に希望を与える。

 「フリーゼ公とグライスナー公が帝国軍を破ればそのままこちらに流れてくる!その後は奴らの本陣を落とすだけだ!」

王都の虐殺とは違い自由に魔法を使えるこの戦いではフリーゼ公とグライスナー公が有利に戦を進めており、帝国軍は戦車と兵を大きく減らしていく。

 「これでは帝国兵は全滅だなぁ。ワームテールに怒られるんじゃないか?」

フリッツがニヤニヤしながら帝国部隊長を横目に煽る。
 帝国部隊長は遠目に蹂躙されている自軍を確認して苛立ちを露わにフリッツを見て、

 「貴様の戦略ミスだろうが!こっちはいつ軍を引き揚げてもいいんだぞ⁈」

王都の作戦とは違い劣勢に立たされる帝国部隊長はフリッツを脅すように睨む。

 数ではまだ勝るが勢いは完全にブラームス軍の方が上回る。戦車はその力を発揮する前にフリーゼ公とグライスナー公に殆どが破壊尽くされて、残る戦車も動きが鈍く乱戦場では的を絞れていない。

 帝国兵は銃を乱射して大いにブラームス軍を討っているが、高威力の炎魔法に焼かれ、土魔法に押し潰れて同じかそれ以上に帝国兵もどんどん討たれていく。

 ーーこれでは皇帝陛下に顔向けできんっ!兵を失いむざむざと帰る訳には、、、っ、、!

 大いに帝国兵を討ったフリーゼ公とグライスナー公の軍はそのまま右と左から中央の乱戦場に介入を始めて、ダールベルク軍の数的有利が崩れていく。

 帝国部隊長が焦燥感に駆られて唇を噛み撤退するか迷っていると、目の前の乱戦場で炎と雷の巨大な衝撃波が辺りを吹き飛ばして粉塵を巻き上げる。

 その煙の奥から遂に乱戦場を突破したブラームスの兄弟とそれに続く数人の兵達がフリッツの本陣目掛けて走ってくる。

 「おい!こっちまで来るぞ⁈」

いまだ余裕のある態度でニヤケながら本陣に構えるフリッツに帝国部隊長が責めるような目で口を挟む。

 「あぁ、来るようだな。私は父上と話があるので少しの間ここを離れるよ。」

「何だと⁈」

目前に迫る敵を前に戦の放棄ともいえるような身勝手な行動に出るフリッツに帝国部隊長は目を見開き怒りに震える。

 ーー狂人がっ!ここまできて全て台無しにするつもりか⁈

 無線機を取り出して部隊長は残る帝国兵達に撤退の合図を出す。
 独断だが、これ以上の損害を避けたい帝国部隊長を責められる者はいないだろう。

 「フリッツ様はどこに⁈」

 「誰が指揮を執るのだ⁈」

 「えぇい、とにかく攻撃魔法を放て!」

  本陣に残されたダールベルクの兵達は大いに混乱しながら、迫り来るブラームスの兄弟とその兵達と衝突する。

 後方支援と遠距離からの砲撃を得意とする本陣守りのダールベルク軍は近・中距離戦を得意とする兄弟達と相性が悪く距離を詰められて討たれていく。

 その混乱を横目に帝国部隊長はその場を離れて撤退を始める帝国軍の元へとひっそりと駆けていく。

 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 フリッツがダールベルク軍の本陣の天幕に戻り、中に入るとそこから3つの視線がフリッツに送られる。

 一つは首に反魔法の首輪と鎖をつけられた囚われの戦姫、アメリア。

 怨念の篭った瞳でフリッツを睨みながら体を抱えて天幕の隅で丸くなって震えている。

  一つは隅の貧相な椅子に反魔法の鎖で縛りつけられて項垂れるダールベルク家の当主、エルヴィン公。

 天幕に入ってきた息子を睨みつけて悪態をつく。

 「戦はどうなった⁈ここまで奴らの雄叫びが聞こえて来るぞ⁈」

 「父上が気にすることではありませんね。」

額から冷や汗を流して息子の蛮行の意図を図りかねる父親は、あくまで当主としての姿勢を崩さずに息子に戦の近況を聞く。

 「ふ、、ふふ、。哀れねエルヴィン公、、。貴方もここで殺されるのよ、、。」

部屋の隅で不気味に笑うアメリアを一瞥して、戯言には応じないことに決めるエルヴィン公。

 ーー戦姫め、男達に輪姦されて気でも触れたか、、。

 「早くこの鎖を解け!今ならまだ貴様の無礼を許してやらんことも無い。」

苦し紛れにエルヴィン公は顔を歪めながら、裏切りの息子に解放を要求する。

 「父上に許しを乞う必要は無い。私が許しを乞うのは唯1人です。」

そう言うと、フリッツは迷いなく天幕の絨毯の上を歩いて行き、玉座に偉そうに座る天幕にいる最後の人物のもとまで行き、膝跨いて臣下の礼を執る。

 「偉大なる大悪魔、プルフラス様。全ては貴方の望みのままに。」

玉座に偉そうに座っていた男は立ち上がり、紫色の豪華な装飾がなされたローブのフードを取りフリッツの前に立つ。

 プルフラスという悪魔の顔が露わになると、その醜悪ななんとも人間の恐怖を掻き立てるような貌に天幕にいる三人は顔を背ける。

 「貴様が我に尽くす限り、我もまた貴様の望みを叶えよう。我は貴様の働きに報いる。」

地の底から響くようなおぞましいシワがれた声で悪魔プルフラスは臣下の礼を執るフリッツに語りかける。

 ーー悪魔の傀儡となるとは、、っ、、!ここまで愚かとはっ、、!なによりもこの悪魔は受肉してこの世界に留まっておるではないか⁈

 息子の裏切りはいつからなのかエルヴィンに知る由は無いが、目の前の強力な悪魔が受肉していることを悟り最悪の想像が頭を過ぎる。

 エルヴィン公は顔面を蒼白にしながら悪魔に膝跨ぐ息子を信じられない者をみるような目で見る。

  アメリアは天幕の隅で震えながらおぞましい悪魔と目が合わないように膝を抱えて丸くなり俯くばかりである。

 「恐れながら御身の庭を荒らす賊が迫ってきています。どうかプルフラス様のお力添えをお願いしたいのです。」

普段の戯けた様子とは違い、忠誠を誓う王に対するような態度で平伏しながらフリッツは悪魔に助力を乞う。

 「良かろう、貴様の望み叶えよう。しかし、それには対価が必要だ。」

悪魔は足元で頭を垂れるフリッツに恐ろしい要求を出す。
 悪魔がおぞましい手を上げて指を差す先には魔法を封じれて囚われているエルヴィン公がいる。

 「父を捧げます。」

フリッツの迷い無い即断に悪魔は口角を上げて不気味に笑い、エルヴィン公は自らの死を悟り恐怖に顔を歪めながら黒々としていた紙が一気に白くなっていく。

 悪魔プルフラスが人間の姿を捨てて本来の醜悪な姿に膨張していくと天幕はおぞましい気配で満ち溢れてエルヴィン公の悲鳴が天幕の外まで響き渡る。

 エルヴィン公は血と臓物を撒き散らしながら原型を無くしていき、食い散らかされた頭部はアメリアの足元まで飛んでいく。

 「貴様の父は中々に良い食事となったぞ。次は貴様の妻子でも良いかもしれんな。」

膨張して巨大な異形の姿になった悪魔プルフラスがぺっとエルヴィン公の残骸を吐き捨てるとフリッツを見下ろしながら次なる要求をする。

 「それも良いかもしれませんね。しかし、今は、、、。」

「あぁ、貴様を脅かす者をまずは食すとするか。」

プルフラスはのそりとエルヴィン公の残骸をふみしだきながら天幕の外へ歩みを進める。

 悪魔プルフラスとフリッツは天幕に父の死骸と震えて蹲るアメリアを残してブラームスの兄弟を殺しに出かける。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 「アルフォンス兄様!あれだ!あれが奴の天幕だ!」

集まってきたフリーゼ公とグライスナー公の軍と合流してダールベルク軍の本陣を蹂躙したアルフォンスとケヴィンは指揮を執っていたはずのフリッツがいないことに気づき、兵とともに探す。

 ーー他には居ない。馬を使って離れた形跡も無い。ならば、、

 アルフォンスが両手を広げ、周囲の兵に合図してダールベルク本陣の天幕を包囲する。

 「天幕ごと吹き飛ばす。肉片一つ残すな。」

アルフォンスの命が降り兵達は魔力を練り上げ、上級攻撃魔法を放つ準備をする。

 その様子を確かめて、アルフォンスが手を振り下ろして攻撃の開始を支持する前に天幕が内側から破裂するように吹き飛び、包囲の一角が重力に潰されたように消滅する。

 先程までアルフォンスの隣にいた兵達は存在を消して地にすり潰したような臓物と血が残るだけとなった。

 「貴様、、、悪魔を召喚したか、、っ、、」

破られた包囲の中心にいるフリッツと醜悪な異形の怪物の正体を見抜く。

 人間にはあり得ないような膨大な魔力を纏わせるその怪物は、下半身が巨大な鰐のようでそこから生える上半身はゴリラのように黒々としており屈強で、首から上は黒い獅子というめちゃくちゃな取り合わせだ。

その悪魔の豪腕には長い黄金のラッパが握られており不気味な魔力が迸っている。

 「臆するな!悪魔もろとも殺せ!」

カルラ・フリーゼ公が固まって動けないでいる兵達に叱咤して、自らが氷上級攻撃魔法を放ち先陣を切る。
 それに続きアルフォンス達も初手から上級攻撃魔法を放つ。

 ーーかなり上位の悪魔だろうが、それでもこの数の上級魔法攻撃を凌まい!

 「ふむ。悪くないが面白くは無いぞ。」

悪魔が口を開き、手にしていた黄金ののラッパを口元まで運ぶと、不気味な轟音が響き渡る。

 ブラームス軍が放った攻撃魔法は消滅して、何人かの兵は耳と目から血を吹き出して倒れ始める。

 掌を悪魔に向けていたアルフォンスの右腕は折れ曲がり、骨が皮膚から突き出る。

 「何だこれは、、っ、、⁈」

アルフォンスが苦痛に顔を歪めて辺りを見回すと立っている者は数えるくらいしか残っていない。

 先程まで指揮を共に執っていたグライスナー公もフリーゼ公も一撃で血を流して倒れ伏している。

 虎の威を借る狐のように異形の悪魔の背に隠れて不気味に笑うフリッツを睨みつける。

 ーーエルヴィン公の姿がいないことに違和感はあったが、まさか奴の贄となっていたとは、、っ、、。

 激痛が走る右腕を庇いながらアルフォンスは弟が負傷して倒れ伏しているのを確認する。

 「プルフラス様、私から提案があります。」

アルフォンス達を他所にフリッツが悪魔に跪いてまるで臣下のように悪魔に進言する。

 「申せ。ただし面白くなければあの女は我に差し出せ。」

異形の悪魔は足元で跪くフリッツを一瞥すると、おぞましい手で地に蹲るアメリアを指差す。

 「は。ただ殺すだけでは余興になりませぬ故、ここは奴らに殺し合わせた方が面白いかと。」

フリッツは悪魔にも劣らぬ鬼畜な顔で面を上げて恐ろしい提言をする。

 「なるほど。良い考えだ。その方が美味くなる。」

巨大な異形の悪魔が舌舐めずりをすると手にもつ黄金のラッパを口元まで運び、先程とはまた違う不気味な不快音を響かせる。

 ーー体が⁈

 アルフォンスは自分の体が意思を失い、強制的に動かされるのを感じる。破壊された右腕が無理やり騎士剣を拾い上げて激痛に顔を歪める。

 足は勝手に歩み始めて倒れ伏している弟、ケヴィンの元まで近づいて行く。

 ーーまさか私にケヴィンを⁈

 最悪の想像が頭に浮かびアルフォンスは絶望する。他の意識があった兵達もボロボロになった体を操り人形のように無理矢理動かれて主人であるフリーゼ公とグライスナー公を取り囲み剣を向け始める。

 「アル、、フォ、ンス、兄様、、、⁇」

虚だった意識が戻り始めてケヴィンが最初に目にするのは絶望に顔を歪めながら、涙を流しながら自分に剣を振り上げる兄の姿だった。

 ーー無念。

 振り下ろされた剣がケヴィンを貫き、引き抜かれてまた振り下ろされる。再び途切れゆく意識の中でケヴィンは何も救え無かったことを、自分を兄に殺させてしまうことになったことを悔やみながら息絶えた。

 ここに東部ブラームス家の主要な軍は壊滅した。悪魔とそれに付き従う男の不気味な笑いだけが辺りをこだまする。
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