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ラウリ・オー・ロンギアル

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常に落ち着きがあり多少の事には動じず、また贅沢もしないラウリをキュアノは気に入った。

祝福を与えて創造使いとした。

賢人により知識を与えて使えなくなった斧や鋸の創造で訓練に励んでいる。

キュアノ「学が無いのは仕方ない。本人も努力励んでしているし、良き事だ。ラウリは次女としている」

賢人「へえ。まあ義姉が増えただけなので楽ですけど」

キュアノ「いや、お前にはラウリの事でこれから役立ってもらう」

賢人「何をさせられるんですか?」
キュアノ「孕ませてくれ」

ミリアもラウリもいる前で平然と言ってのけたキュアノ。

ミリア「お、お待ち下さい姉様!」

キュアノ「テスカーナ王家の血を途絶えさせるのは忍びない。城の中で睦み合った結果孕んだという事にする。将来は生まれた子を私の養子にしてテスカーナ領土へ凱旋させて自治させる」

これはテスカーナへの罪滅ぼしと遠い場所の為に統治は難しい為に王族に自治させようという目論見があった。

ラウリも子も夫もいない身であり、歳を取っているので夫探しも難しい。

ラウリもやはり女としての喜びは味わいたいとは思っていたし相手が恩人の賢人であるならばと喜んで了承した。

ミリア「し、しかし、賢人は私の……」

キュアノ「ミリア、政治判断も入っている目論見だ。賢人が拒否するならともかく妻のお前の感情や心情を挟むのは許さんぞ」

ミリア「う……っ」

キュアノはきつくミリアを睨み、萎縮させる。

キュアノ「無論、妻としろなんて言わない。ただ子種が欲しいだけだ。賢人の妻は今までもこれからもお前だ。ラウリが孕めば後はお前が独占するが良い」

賢人は俺の判断は勘定に入ってないんだなと感じた。

しかし政治判断ならそうするしかない。

自分も王族であるので女王の命令は聞かなければならない。

それにラウリがそれで良いなら精子の提供ぐらいどうという事もない。

賢人「ミリア、これは仕方ない。知らなかったとはいえテスカーナを助けず放置してたんだから王族としてそれぐらいはしてやらないと」

ミリア「……分かりました。もうミリオを連れて戻ります」

不愉快なのであろう、ミリアは部屋を退出した。

キュアノ「1月掛けてラウリに性教育を施して身体を磨かせる。それまではミリアの機嫌を直してくれ」

賢人「分かりました。明日からミリアの様子を見ます」

ミリアの不機嫌は凄まじく、賢人は愛を囁きミリアを頻繁に抱いてよく遊びに連れて出た。

ミリアも王族としての責任と義務は理解していて我儘なのは承知している。

日が経つごとに機嫌を治していった。

ラウリは王族用宿舎で性教育と伽という物を学び、性玩具での処女の喪失と女犬や少年犬の奉仕を受けて身体に快感を学ばせていく。

キュアノ「ミリアは伽の上手い子だ。ラウリも子種をもらうのだからよくよく学んで賢人を楽しめなさい」

男犬の物を教材として訓練を重ねる。 

ラウリも性を知り、今までにそんな余裕さえなかった欲と娯楽に浸った。

子種をもらった喜びは大きく、しばらくは幸せを味わう。

2ヶ月間賢人に子種をもらって懐妊したラウリ。
ミリアもようやく安心した。

キュアノ「王族も増えて安心だ。新王都もしばらくの木材は確保したのでまたしばらくは森を休ませる。ダーデ、森に駐留している兵には防衛と虫種のばら撒きをさせておいてくれ。賢人も休ませる」

ダーデ「かしこまりました」

森の開拓団も解散となった。

しかし、賢人には休める運命に無かった。  

ラグマン達が買い付けに出かけた先の国で銃で攻撃を受けて逃げ帰ってきた。

負傷者が6人出た。

賢人「どんな銃?」

ラグマン「1発撃つと銃口から火薬と弾を入れてました」

賢人「ふーん。何で急に?」

ラグマン「わかりません。しかし容姿が違っていたので滅ぼされたのかもしれません」 

賢人「そう。女王様に攻めて良いか伝えてみるよ」

キュアノは手紙を送りながらも大砲を乗せた大型戦闘艦を増やすように命令した。

キュアノは新王都の建設に金が掛かっていて、攻めるとしても多大な費用がかかる。

やむを得ず賢人に一任する。

賢人は大型戦闘艦6隻と大型高速船3隻、大型輸送船12隻を編成して向かわせた。

結城兵や魔法使いも多数乗り込んでいる。

2月後、死者5名を出したが船も軽微な損傷だけで港町を占拠したと手紙が届いた。

大砲や銃の射程距離や威力も違いがあるのでかなりの有利であるらしい。

賢人は護衛を伴ってそこへ出発した。

半月も掛けて上陸した港町は、損傷も少なく暮らす人々も負担通りの生活を続けている。

ラグマン「まさかご領主様直々に足を運ぶとは相変わらず身軽ですな」

賢人「興味あるし死人も出たからね。将軍に頼んでここの守備兵でも派遣してもらうよ。で、略奪や暴力は振るってないよね」

ラグマン「まさか! ここには顔見知りも多いのでそんな事はしておりません!」

賢人「だったら良いけど。落ち着ける場所無いの?」

ラグマン「大きい宿屋を接収しました。こちらです」

少しロンギアルとは趣向が異なる町並みである。

木造建築の建物に、大きい建物は加工した石で出来ている。

それに石畳の道。

ラグマン「この国……まあやはり滅亡させられたマァンファイはこの大きい港町と後は村が何ヶ所程しか領土が無かったようです。マァンファイは主に貿易と木で稼いでいたと聞きます」

賢人「貿易で稼ぐのはうちと同じだな」 

ラグマン「はい。そしてこの大陸の最強国であるフビランに支配されたのはつい最近のようです。王族は女は奴隷男は尽く拷問されて殺された様です。幸いにも王族の女は保護しました」

賢人「そうか。後で会おう」

宿屋には身なりの良い中年の男が待っていた。

「お目にかかれて光栄です。私はこの港町、ヨークの町長を務めているラースラでございます」

賢人「そうですか。ロンギアルの賢人・オー・ロンギアルです」

少し片言ではあるが、意思疎通は可能である。

ラースラ「フビランは野蛮で残虐な者達でした。子供にまで暴力を振るい、女は強姦され町は静まり返っておりましたがロンギアルの方々に救ってもらいました。今では町の者も気安く外出も可能でございます」

賢人「それは何よりです。で、フビランとはどういう国ですか?」

ラースラ「かなり広大な土地と人工を有する国でございます。肥沃な大地と大量の鉄、それに金も銀も豊富で丸い弾を飛ばす鉄の筒を大量に保有する国です」

ラグマン「あれです。壁に掛かってる銃です」

賢人「ふーん。初期の銃ってあんな感じかな? あれぐらいなら俺達じゃなくても軍が作ってるよ」

ラグマン「弾も丸いからどこに飛ぶのか分かりません。白い煙も出て不良品なのかと思いましたよ」

賢人「まあ大軍に持たれたら鬱陶しいかな。被害も出るし。もう魔物を大量に手懐けて放そうかな」

ラグマン「いえ、この大陸を制覇した訳じゃないらしいのでそれは不味いですよ」

賢人「ちっ。ラースラ町長、王族の女性達はどこにいるんですか?」

ラースラ「それならこの宿屋の最上階で暮らしております。こちらです」

最上階に行くと、1つだけ扉があった。

ラースラ「ラースラでございます。ロンギアル王家の方が来られました」

「……入りなさい」

ラグマン「はい。失礼します」

ドアを潜ると、広い部屋に高級感のあるカーペットやソファ、タンスにベッドが置いてある。

そして3人の女達がいた。

20代の女が1人、後は賢人と歳は変わらない様に見える。

賢人「賢人・オー・ロンギアルと申します」

「あなたがこの町を救ってくれた兵隊達の……エヴァ・レイスでございます。この2人は一緒に捕らえられた生き残った侍女です」

賢人「そうですか。お元気そうで何よりです」

エヴァ「ええ、少々乱暴はされましたが」

そう言ってエヴァは自分の身体を抱いた。

賢人「……はっきりと言っておきますが、マァンファイの領土は奪いますが返す気はありません。ロンギアルの領土とさせてもらいます」

エヴァ「……当然ですね。ロンギアルにはマァンファイを助ける義理はございません」

賢人「そうです。しかし奪い取った領土を統治していただきたくお願いにきました」

エヴァ「……正気ですか?」
賢人「はい」

エヴァ「周りは全てフビランが支配されてしまっています。この大陸の統一も目前です。この様に敵だらけでは……」

賢人「そうなのですか?」

エヴァ「残すはあと3国のみです。それで大陸は制覇されます」

ラグマン「ご領主様。うちはその3国とも貿易しておりますので統一されるとこの大陸は諦めるしかありません」

賢人「ふーん。じゃあその3国以外は取り放題だな。たかだかあんな銃で負けないだろうし」

エヴァはこの少年が本気で言っているのか疑った。

エヴァ「王子。貴方はフビランを蹂躪出来ると言うのですか?」

賢人「別にフビランは潰しませんよ。大量の金と銀と鉄をよこして謝ればそれで終了させます。フビランはロンギアルの属国になってもらいます」

エヴァ「……分かりました。手に入った領地は統治いたします」

賢人「ありがとうございます。少々お待ち下さい」

賢人はキュアノと通信した。

キュアノ「どうした?」

賢人は事情を細かく説明した。

キュアノ「良いだろう。そのエヴァという王女には貴族の称号を与える。連れて帰ってきてくれ。それとその3国に同盟の打診をする。そしてその……マァンファイだったか。エヴァには3国にロンギアルの領土となったと手紙を書かせろ」

賢人「分かりました。という事で兵を送ってください」

キュアノ「分かった。ダーデに編成させるが、航海だからお前達は補助してくれ」

賢人「はい。切ります」

話は実にスムーズに進んだ。

賢人「貴族の称号を与えるのでロンギアルに来て欲しいとの事です。それから3国にロンギアルの領土になったと手紙を書いて欲しいと言ってました」

エヴァ「あ、貴方は遠い所にいる人と話せるのですか!?」

賢人「魔法使いとなら。エヴァ様も貴族の称号と祝福を受ければ魔法を使える様になりますよ。早速お願いします」

エヴァ「わ、分かりました。文を書きますが、王家の名で出してもかまいませんか?」

賢人「どうぞ。ラグマン、エヴァ様をロンギアルまでお連れして。それから軍から兵隊を寄こすから航海で面倒見てやって」

ラグマン「お任せください!」

賢人「ところで連れて行った魔法使いは何よりしてんの?」

ラグマン「今は外壁を建設中です。コンクリートで」

賢人「そうか」

エヴァは手紙を書いて町長に手渡した。
町長は部屋を退出する。

2日後の渡海が決まった後、宿屋を出て町外れまで向かう。

魔法使い達と会って話をした。

賢人「大砲もあるみたいだから分厚くして。壁の上に大砲を置きたいんだ」

「分かりました。しかしこの港町はかなり広くまだまだ時間がかかります」

賢人「どれぐらい広いの?」
「結城都市ぐらいかと」

賢人「なかなかやるねこの港町も。まあ時間は掛かって良いよ。どうせ大砲も持って来なきゃならないし」

「かしこまりました」
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