20 / 51
2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを
Episode:03
しおりを挟む
そして結果は。
今日も幾ばくかのエネルギーと交換に、地球人の子が売られている。
加えてリストに載るのは、エルヴィラのように毛色が珍しいか、さもなくばイノーラのように〝頭のいい子〟だ。
要するに将来有望な頭脳が、根こそぎペットにされている状態だった。
生き延びるために、我が身を削る。そんなやり方は長続きはしない。
これでは遅かれ早かれ行き詰まり、地球はもっと悲惨なことになるだろう。
――それを、いつか。
ソドム人によって背負わされた呪いから、いつか地球を開放したい。これがエルヴィラの密かな願いだった。
ただそれは当分先の話だ。エルヴィラたちに今あるのは、このオンボロ船だけなのだから。
船は、遺産で買ったものだ。
飼い主は、エルヴィラたちをそれこそ溺愛した。
二人が言葉を覚えてからはそれがさらに顕著で、可能な限り連れ歩いたほどだ。
老齢な上に、身よりもなかったからだろう。
そして数年後、老衰で死んだ飼い主は、遺産の相続相手にエルヴィラたちを指名していた。
高知能ペットである地球人を、二人も買うくらいだ。
飼い主はけして貧乏ではなく、エルヴィラたちに残されたのは、暮らしていくには十分な額だった。
ただし、あくまでもペットとして、だ。
一生ペットとして安穏と生きるか、他の道を選ぶか。
残された遺産を前に、考え抜いた末に二人が選んだのは、自由に生きる道だった。
何か明確な目的があったわけではない。
だがこの千載一遇のチャンスを生かして、ペットではなく「人」に、なりたいと思ったのだ。
二人で銀河市民権を取り、全財産をかき集めてこのオンボロ船を買った。
そうして細々と輸送の請け負いなどをしながら、ここまできたのだった。
「そういえば星系政府から、入領許可って来た?」
地球史上最大の問題となった映像を消した後、エルヴィラは姪っ子に訊いてみる。
「まだですわ。こんなケースは稀ですから、モメているのでは?」
問いに、イノーラからそんな答えが返ってきた。
エルヴィラ自身、さもありなんと思う。
何しろいきなり領域内へ、通告なしのワープで来てしまったのだ。
問答無用で撃ち落されても文句が言えない状態で、何事もなく留め置かれているだけマシなくらいだ。
「ここが発生星系じゃなかったら、ちょっとよかったんだけどなぁ」
「文句があるなら、例の星間生物へどうぞ。何なら追いかけますわよ?」
嫌味たっぷりに姪っ子が言う。
だがもし今の状況でそんなことをしたら、ここの星系政府から「無断侵入後、勝手に星系を離脱したならず者」として指名手配されかねない。
姪っ子はそれを分かっていて言っているのだから、意地が悪いというものだ。
今日も幾ばくかのエネルギーと交換に、地球人の子が売られている。
加えてリストに載るのは、エルヴィラのように毛色が珍しいか、さもなくばイノーラのように〝頭のいい子〟だ。
要するに将来有望な頭脳が、根こそぎペットにされている状態だった。
生き延びるために、我が身を削る。そんなやり方は長続きはしない。
これでは遅かれ早かれ行き詰まり、地球はもっと悲惨なことになるだろう。
――それを、いつか。
ソドム人によって背負わされた呪いから、いつか地球を開放したい。これがエルヴィラの密かな願いだった。
ただそれは当分先の話だ。エルヴィラたちに今あるのは、このオンボロ船だけなのだから。
船は、遺産で買ったものだ。
飼い主は、エルヴィラたちをそれこそ溺愛した。
二人が言葉を覚えてからはそれがさらに顕著で、可能な限り連れ歩いたほどだ。
老齢な上に、身よりもなかったからだろう。
そして数年後、老衰で死んだ飼い主は、遺産の相続相手にエルヴィラたちを指名していた。
高知能ペットである地球人を、二人も買うくらいだ。
飼い主はけして貧乏ではなく、エルヴィラたちに残されたのは、暮らしていくには十分な額だった。
ただし、あくまでもペットとして、だ。
一生ペットとして安穏と生きるか、他の道を選ぶか。
残された遺産を前に、考え抜いた末に二人が選んだのは、自由に生きる道だった。
何か明確な目的があったわけではない。
だがこの千載一遇のチャンスを生かして、ペットではなく「人」に、なりたいと思ったのだ。
二人で銀河市民権を取り、全財産をかき集めてこのオンボロ船を買った。
そうして細々と輸送の請け負いなどをしながら、ここまできたのだった。
「そういえば星系政府から、入領許可って来た?」
地球史上最大の問題となった映像を消した後、エルヴィラは姪っ子に訊いてみる。
「まだですわ。こんなケースは稀ですから、モメているのでは?」
問いに、イノーラからそんな答えが返ってきた。
エルヴィラ自身、さもありなんと思う。
何しろいきなり領域内へ、通告なしのワープで来てしまったのだ。
問答無用で撃ち落されても文句が言えない状態で、何事もなく留め置かれているだけマシなくらいだ。
「ここが発生星系じゃなかったら、ちょっとよかったんだけどなぁ」
「文句があるなら、例の星間生物へどうぞ。何なら追いかけますわよ?」
嫌味たっぷりに姪っ子が言う。
だがもし今の状況でそんなことをしたら、ここの星系政府から「無断侵入後、勝手に星系を離脱したならず者」として指名手配されかねない。
姪っ子はそれを分かっていて言っているのだから、意地が悪いというものだ。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる