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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを
Episode:12
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「ネメイアスの外交部からOKの返事が来たら、特使の肩書きもらわなきゃね」
「特使、ですの?」
どうも交渉ごとに疎いイノーラは、ピンとこないようだ。
「だってあたしたち、ただの貧乏人だよ? いくら地球出身だからって、地球政府にただ話しても、取り合ってもらえるわけないでしょ」
話をするならまず、相手と同種を探し出して、仲介をしてもらう。これは銀河系の一般的なやり方だった。
考えてみれば地球だって、まずは人の縁を頼る。
ならば見掛けも考え方も違う異星人同士より、同種のほうが話が早いのは当たり前だ。
そして銀河市民権を持つ地球人は、ほとんどゼロと言っていい。
だからエルヴィラたちにその役が回ってくるのは、ほぼ確定と言ってよかった。
とはいえ、一介の商人では取り次いでもらうことさえおぼつかない。
だから、ネメイエス側から肩書きをもらう必要があった。
「ここで仲介役もやって、少しでも小銭稼がなくちゃねー」
姪っ子は答えない。主導権が取れないのが悔しいのだろう。
毒舌でワガママで、そのくせ頭の回転だけは速い。
こんな姪っ子を、そのうち誰か〝もらって〟くれるだろうか……などと、つい叔母らしいことを考えてしまう。
――考えるだけ無駄な気はするが。
なにしろ一度は宇宙へ売られた身だ。
割と大きくなってからだった自分はまだともかく、〝宇宙的〟とでも言うべき環境で育った姪っ子は、考え方や発想が根本的に地球人とは違う。
子供の頃、出身国が違うために合わずに大騒ぎになり、最後は離婚した友達の親が居た。
だとしたらもっとかけ離れてしまった姪っ子は、地球人と上手くやれる可能性は限りなく低い。
ただそれでも、一度地球へ返してやりたい、とは思う。
飼い主に頼んで手に入れてもらった地球の記録映像を、イノーラはそれこそ画像がダメになるまで、繰り返し見ていた。
彼女は四歳のときに地球を離れて、それっきりだ。
だから、あの風も雨も日差しもよく覚えていないのだろう。
エルヴィラの記憶では、イノーラがそこまで憧れるほど、地球は素晴らしいところではない。
だが姪っ子にとっては、遥かな楽園なのだ。
(幻滅しなきゃいいんだけどなぁ……)
いつか地球に降り立った日のことを心配しながら、ベッドから起き上がる。
「おばさま、どこへ……」
「操縦席。ネメイエスと話するなら、そこがいちばんいいし。多分そろそろ、来る頃だから」
どうせ相手にこちらの服装は伝わらないからと、ラフな格好のまま向かった。
「特使、ですの?」
どうも交渉ごとに疎いイノーラは、ピンとこないようだ。
「だってあたしたち、ただの貧乏人だよ? いくら地球出身だからって、地球政府にただ話しても、取り合ってもらえるわけないでしょ」
話をするならまず、相手と同種を探し出して、仲介をしてもらう。これは銀河系の一般的なやり方だった。
考えてみれば地球だって、まずは人の縁を頼る。
ならば見掛けも考え方も違う異星人同士より、同種のほうが話が早いのは当たり前だ。
そして銀河市民権を持つ地球人は、ほとんどゼロと言っていい。
だからエルヴィラたちにその役が回ってくるのは、ほぼ確定と言ってよかった。
とはいえ、一介の商人では取り次いでもらうことさえおぼつかない。
だから、ネメイエス側から肩書きをもらう必要があった。
「ここで仲介役もやって、少しでも小銭稼がなくちゃねー」
姪っ子は答えない。主導権が取れないのが悔しいのだろう。
毒舌でワガママで、そのくせ頭の回転だけは速い。
こんな姪っ子を、そのうち誰か〝もらって〟くれるだろうか……などと、つい叔母らしいことを考えてしまう。
――考えるだけ無駄な気はするが。
なにしろ一度は宇宙へ売られた身だ。
割と大きくなってからだった自分はまだともかく、〝宇宙的〟とでも言うべき環境で育った姪っ子は、考え方や発想が根本的に地球人とは違う。
子供の頃、出身国が違うために合わずに大騒ぎになり、最後は離婚した友達の親が居た。
だとしたらもっとかけ離れてしまった姪っ子は、地球人と上手くやれる可能性は限りなく低い。
ただそれでも、一度地球へ返してやりたい、とは思う。
飼い主に頼んで手に入れてもらった地球の記録映像を、イノーラはそれこそ画像がダメになるまで、繰り返し見ていた。
彼女は四歳のときに地球を離れて、それっきりだ。
だから、あの風も雨も日差しもよく覚えていないのだろう。
エルヴィラの記憶では、イノーラがそこまで憧れるほど、地球は素晴らしいところではない。
だが姪っ子にとっては、遥かな楽園なのだ。
(幻滅しなきゃいいんだけどなぁ……)
いつか地球に降り立った日のことを心配しながら、ベッドから起き上がる。
「おばさま、どこへ……」
「操縦席。ネメイエスと話するなら、そこがいちばんいいし。多分そろそろ、来る頃だから」
どうせ相手にこちらの服装は伝わらないからと、ラフな格好のまま向かった。
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