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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを
Episode:15
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「よろしいのですか?」
ネメイエス側もさすがに驚いたのか、聞き返してくる。
それに対してエルヴィラは自信を持って答えた。
「ええ、それで構いません。地球側もそれだけの期間が必要というのは、理解するはずです」
大嘘だが、的外れでもない。この辺は口先三寸でどうにでもなるところだ。
その上で、にっこり笑って付け加える。
「もちろんその100年分の代金は、上乗せすることになりますが」
「お安く願いますよ」
第一段階の交渉は成立だ。
慣例どおりここで互いに、自分が把握した交渉内容を、きちんとした記録で交わす。行き違いを防ぐためだ。
ざっとチェックを入れたが、ここまでの食い違いは見つからない。
ソドム人のような連中だと、この時点で既に罠が張られていたりするのだが、今回はなさそうだ。
データバンクに記載されていたとおり、ネメイエス人は誠実な種族らしい。
少しだけほっとしながら、それでも気は抜かないようにして、エルヴィラは話を続ける。
「具体的な地球への報酬は、どうしましょう? 私は金額だけ決めて、内訳は移住の話がまとまってからのほうが、いいと思うんですけど」
詳細を詰めるには時間がかかる。
しかもまだ、地球が受け入れると決まったわけではない。
一方でこうしている間にも災厄は迫っているわけだから、後でいいものは可能な限り先送りして、話を進めたほうがいいだろう。
「そうしていただけると助かります。何しろこちらは、時間がありませんので」
「でしたら金額は相場で、詳細はその範囲内ということで」
星の買取り――正確には利用権の売買――というのは、銀河系ではたまに行われる。
だから星の大きさや種類によって、だいたいの相場も決まっていた。
本当なら向こうが切羽詰っているから、もう少し金額を吹っかけられるだろう。
だがエルヴィラは、そうするつもりはなかった。
末永く付き合わなくてはならない相手に対して、最初からトラブルの火種を作るのは愚策だろう。
それに支払いに使えるのはお金だけではない。
エルヴィラは持ちかけた。
「地球側には、相場の範囲内で教育や交渉の肩代わりを要求できると伝えます」
「分かりました」
ネメイエス側も同意する。
そこでエルヴィラは、確認するフリをしてカードをひとつ切った。
「では交渉はその方向で……それと六百四十年後のガンマ線バーストの防御は、別枠と考えていいのですよね?」
移住する場合、ネメイエスにとってもこの防御は必須だ。だからその範囲に地球を含めるくらい、大した手間ではない。
ならばガンマ線バーストへの防御は、タダで引き出そうと思ったのだ。
相手の負担にならない範囲で、確実に利益を積み重ねる。商売のイロハだ。
ネメイエス側もさすがに驚いたのか、聞き返してくる。
それに対してエルヴィラは自信を持って答えた。
「ええ、それで構いません。地球側もそれだけの期間が必要というのは、理解するはずです」
大嘘だが、的外れでもない。この辺は口先三寸でどうにでもなるところだ。
その上で、にっこり笑って付け加える。
「もちろんその100年分の代金は、上乗せすることになりますが」
「お安く願いますよ」
第一段階の交渉は成立だ。
慣例どおりここで互いに、自分が把握した交渉内容を、きちんとした記録で交わす。行き違いを防ぐためだ。
ざっとチェックを入れたが、ここまでの食い違いは見つからない。
ソドム人のような連中だと、この時点で既に罠が張られていたりするのだが、今回はなさそうだ。
データバンクに記載されていたとおり、ネメイエス人は誠実な種族らしい。
少しだけほっとしながら、それでも気は抜かないようにして、エルヴィラは話を続ける。
「具体的な地球への報酬は、どうしましょう? 私は金額だけ決めて、内訳は移住の話がまとまってからのほうが、いいと思うんですけど」
詳細を詰めるには時間がかかる。
しかもまだ、地球が受け入れると決まったわけではない。
一方でこうしている間にも災厄は迫っているわけだから、後でいいものは可能な限り先送りして、話を進めたほうがいいだろう。
「そうしていただけると助かります。何しろこちらは、時間がありませんので」
「でしたら金額は相場で、詳細はその範囲内ということで」
星の買取り――正確には利用権の売買――というのは、銀河系ではたまに行われる。
だから星の大きさや種類によって、だいたいの相場も決まっていた。
本当なら向こうが切羽詰っているから、もう少し金額を吹っかけられるだろう。
だがエルヴィラは、そうするつもりはなかった。
末永く付き合わなくてはならない相手に対して、最初からトラブルの火種を作るのは愚策だろう。
それに支払いに使えるのはお金だけではない。
エルヴィラは持ちかけた。
「地球側には、相場の範囲内で教育や交渉の肩代わりを要求できると伝えます」
「分かりました」
ネメイエス側も同意する。
そこでエルヴィラは、確認するフリをしてカードをひとつ切った。
「では交渉はその方向で……それと六百四十年後のガンマ線バーストの防御は、別枠と考えていいのですよね?」
移住する場合、ネメイエスにとってもこの防御は必須だ。だからその範囲に地球を含めるくらい、大した手間ではない。
ならばガンマ線バーストへの防御は、タダで引き出そうと思ったのだ。
相手の負担にならない範囲で、確実に利益を積み重ねる。商売のイロハだ。
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