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第15話
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「キース!」
クラウスが叫ぶ。
他の生徒たちも彼の存在に気づき、視線が一斉に集まった。
「ったく、てめえは……。一人でカッコつけやがって……」
「……クラウス君」
「ここまで来るのに、どれだけ苦労したと思ってんだ?」
キースの頭は、まだ少しぼんやりしている。
「そうか……。僕はあのとき……」
彼の記憶が少しずつよみがえる。
「みんな、本当に僕を助けに来てくれたんだね」
生徒たちが笑顔を浮かべる。
「感謝する。この恩は一生忘れない」
キースは深く頭を下げた。
「……んん。――――きーしゅしゃま?」
「っ――⁉」
「……?」
キースとクラウスが同時に馬車の中へ目を向ける。
「メリー! 無事だったんだねっ⁉」
「……ぶじ?」
メリーは目をこすりながら、ぼそぼそとつぶやいた。
「おい、キース……。もしかして、そのメリーって娘……」
「うん。この子が前に言ってた僕の幼なじみだよ」
キースの言葉に、クラウスを含め生徒たちが目を見開く。
「キースが言ってた平民の友だちって、メイドだったのか……」
「部屋に閉じこもってたって聞いたけど……」
ゲイルとエニスが小声でささやく。
「……なあ、キース。一つ聞いてもいいか?」
「……?」
「お前――――ロリコンだったのか?」
クラウスが、オゼットとステイルも気にしていたことを遠回しに刺す。
「ば、バカを言うなっ! メリーは小柄だけど僕たちと同い年だ!」
「お、同い年……?」
クラウスがメリーを上から下までじろりと眺めた。
「……このちんちくりんが?」
「ちんちくりんとはなんだっ⁉」
クラウスの一言で、メリーの意識は完全に覚醒した。
「私はキース様に仕えるメイドだぞ! 今は見習いだけど、私もいつか先輩たちみたいにすごいメイドになるんだから!」
「「「……」」」
論点が少しズレている。
「いや、すごいメイドって言われても……」
クラウスが頬をかき、苦笑した。
「背だって今よりもっとおっきくなる! そのために毎日ごはんをいっぱい食べてるんだから!」
言動の一つひとつが完全に子どもだ。
クラウスはいったん振り返り、モデル体型の副隊長の肢体を目に焼き付けてから、もう一度メリーを見た。
「まあ、あれだ……。太り過ぎないようにだけ注意しろよ」
「ムキ~ッ!」
メリーが馬車の中で地団太を踏む。
車内で立っているのにクラウスより頭が低く見えるのが、なんとも可笑しい。
「そういや、あの娘も王立魔法学院の試験を受けたって言ってたな……」
「合法ロリってヤツか……。中には羨ましがるヤツも出てくるんじゃねえか……」
オゼットとステイルが苦笑する。
「ちょっと何……、あの娘……? 本物のお人形さんみたい……」
「うぅ~、かわいい~……」
リリアとレミは、すっかり女の子の顔でメリーへ駆けていった。
「兄上。少しよろしいですか?」
ティゼルがルキウスに歩み寄る。
「私は一体どこで道を誤ったのでしょう? 今では学院の生徒たちを殺害して本当に良かったのかと、自分の正義すら見失いかけています」
「……殿下」
ヴァネッサが心配そうに漏らす。
「それは今の彼らを見て、そう思ったのか?」
「……」
「私が何を言ったところで、身内贔屓の擁護にしかならない。ある日突然、家族の命を奪われた遺族の気持ちを思えば、尚更だ」
ルキウスの言葉は厳しい。
「だが、あえて身内贔屓の意見を答えるなら、皮肉にもあの作戦がきっかけで彼らの間に友情が芽生え、今の笑顔があるということだ」
あの事件がなければ、キースは今も腐っていただろう。
痛みを知り、人としての悲しみを思い出したからこそ、現在の彼らがある。
「お前は、今のあの子たちを見てどう思った?」
ティゼルはしばし考え――
「私はあの者たちを――――誰一人として死なせたくない」
「……」
「父上の命《めい》に逆らう気はありませんが、私の正義は父上の意向に依存しない。此度《こたび》の戦で私が剣を取る理由はただ一つ。一人でも多くの民を救い、あの者たちの笑顔を守り抜く。たとえこの身が滅びようとも、私は必ずや魔法界に変革をもたらしてみせる」
ルキウスの眉がわずかに寄る。
「戦争を止めるために武力を用い、人を殺す。結果として多くを救えるかもしれない。だが人を殺せば恨みが生まれ、また新たな犠牲を生む。あとはその繰り返しだ」
「……」
「ティゼル。お前はまだ世界の本質を理解していない。復讐の連鎖は、人の世そのものだ。お前一人の力でどうにかできる相手ではない」
ルキウスが身をひるがえす。
「お前の計画は、ひとときの平和をもたらしたかもしれない。だがお前の死は、お前が守りたいと願うあの子たちから笑顔を奪っていた。――――それだけは忘れるなよ」
そう言い残し、彼は自分の馬車へ戻っていった。
ティゼルは何も言い返せない。
「……兄上の言う通りだ。私は己の力を過信していた。兄上の思慮には、まだ遠い」
「殿下……」
「副隊長、本隊に伝達を。現時点をもって全作戦を終了。直ちに王都へ帰還せよ――と」
「仰せのままに」
ヴァネッサは通信リングでブラウン領外のドレッドノートへ命令を飛ばした。
その間に、ティゼルは生徒たちのもとへ向かった。
馬車の側では、レミがメリーを人形のように抱き上げて頬ずりしている。
メリーは「子ども扱いするな!」と怒っていた。
「諸君らに話がある」
ティゼルに注目が集まる。
「諸君らは自由の身だ。このまま兄上に付き従うも良し、故郷オルディアへ帰還するも良し。諸君らの好きにするが良い」
生徒たちが顔を見合わせる。
「シンクはこれからどうするの?」
レミの問いに、ティゼルは身をひるがえした。
「……私は王都に帰還し、父上に新たな指示を仰ぐ。おそらく指揮官の任は解かれるだろう。王命に背き、私情で部隊を動かし、兄上にまで迷惑をかけた。王族としてあるまじき行いだ」
「戦争は……、もう止められないの?」
「それは父上次第だ。今回の一件でオルディアがどう動くか……。本来はその前に全てにケリをつけるつもりだった。――――いずれにせよ、私にできることは、もう何もない」
一見やる気を失ったように見えるが、彼の心の火は――――まだ消えていない。
彼はどんな手を使ってでも戦争を止めるつもりだ。
「シンク――――また何か企む気でしょ?」
「っ――⁉」
「さすがにもう騙されないよ。私たちにも学習能力ってものがあるんだから」
「……」
「殿下。私たちはルキウス殿下と共に王都に赴く所存です」
フラットが進み出る。
「『戦争を止めたい』。――――私たちの行動はそこから始まりました。殿下も、その思いは同じはず」
「……」
「利害は一致しています。お一人で成そうとお考えなら――――どうかそのお力、私たちジャガーノートにお貸しいただけませんか?」
ティゼルは背を向けたまま考え――――
「私の一存ではどうにもならん。父上の命には、二度と逆らえない」
「……」
「――――だが、その願いを叶えたくば、兄上に頼むがいい。兄上の口添えなら、父上の考えも変わるやもしれん。私から言えるのは、それだけだ」
そう告げ、ティゼルはヴァネッサのもとへ戻る。
「ねえ、今のって……」
「アルゼリウス王の返答次第では、我々に協力してもいい。――――おそらく、そういうことだ」
「……だよね?」
レミとフラットが頷く。
「ってことは、ドレッドノートが味方ってことじゃねえか⁉」
「うっしゃあっ! 俺たちもついにここまで来たぜ!」
オゼットとステイルがはしゃぎ回る。
「まだ確定じゃないけどね……」
「でも、敵にはならないって言ってくれたようなものだよ」
ゲイルとエニスが微笑む。
「あのシンクが俺たちの味方か……。――――なあ、これって喜んでいいんだよな?」
「私に聞かないでよ」
リリアがクラウスの質問を一蹴する。
「本当は僕たちも行きたいところだけど……」
キースがメリーを見た。
「――――ねえ、メリーはどうしたい?」
「私はどこまでもキース様にお供します!」
両手をぐっと握る――――“がんばります”のポーズ。
キースは苦笑した。
聞きたいのは、そういうことではないのだが――――やはり彼女は少しズレている。
やがてティゼルがヴァネッサを連れて戻ってくる。
「そろそろ、そこを通してくれまいか? 我々は諸君らと違って飛行魔法が使えない」
つまり、生徒たちが道を塞いでいて馬車に乗れない、ということだ。
「ねえ、キースたちはどうするの? またシンクたちと一緒に馬車に乗るの?」
「そうか。俺たち、自分たちの分しか箒を用意してもらってないや」
リリアの問いに、クラウスが頭をかく。
「兄上の馬車に乗せてもらうがいい。兄上はそのために馬車を待機させているのだろう」
確かに、ルキウスの馬車は止まったままだ。
「ってことは、キースたちはこのまま家に戻るのか? ここからならリュオールの王都に向かうより早い。引き返すなら今だぞ」
クラウスが水を向ける。
「僕は……」
キースは迷う。
ジャガーノートと共に行きたい。
しかし、ここにはメリーがいる。
彼女を連れて敵地同然のリュオールに赴くのは危険が大きい。
「メリー。もう一度聞くよ。僕がこのままリュオールに向かうと言ったら、君はどうする?」
「もちろん、キース様に付いていきます!」
「なら、君をブラウン家の本邸に送り届けた後、僕がルキウス殿下とリュオールへ向かったら?」
「キース様に見つからないよう、こっそりと後を追います!」
――――やはりメリーはアホの娘だった。
「それって、こっそりって言わなくない……?」
「自分から思いっきりバラしてるし……」
オゼットとステイルが肩をすくめる。
その場のほぼ全員が苦笑した。
「私からも一つ。――――メリー・ルーク。貴様にとって、キース・ブラウンとは何だ?」
「私にとってキース様は、世界で一番大切なご主人様です!」
メリーは胸を張って言い切る。
キースは顔が熱い。
「……キース・ブラウン。同じ質問だ。――――貴君にとって、メリー・ルークとは?」
キースは少しだけ息を整え――――
「メリーは僕にとって――――世界で一番大切な女の子です」
キースが漢を見せた。
「キャー、キャ~ッ! もうキース様ったら!」
メリーは歓喜のあまり右腕をぶんぶん振り回し、キースの顔面をポカポカ殴り始める。
「……そうか」
ティゼルの反応は薄い。
だが、その返答には満足していた。
彼は生徒たちの間を抜け、馬車に乗り込む。
「キース。ならば彼女も共に連れて行くがいい」
「「「――⁉」」」
「貴君はその者の力を見誤っている。もし真に彼女を想うなら、同じ高さから彼女を見よ。――――主人を想う従者の力は、貴君の想像をはるかに超える」
その一言に、続いて乗り込もうとしていたヴァネッサの動きが一瞬だけ止まる。
すぐに彼女はいつもの席に着き、扉が閉まった。
間もなく馬車が発進する。
「今のは一体……?」
キースが何気なくつぶやくと、フラットが応じた。
「ただ守るだけでなく、互いに背中を預け合ってこそ真のパートナー。――――殿下は、そうおっしゃりたかったのだろう」
「パートナー……」
キースが再びメリーを見る。
「キース様……」
幼い日々を思い出す。
貴族として育てられた自分と、平民として育てられた彼女。
故意に取り違えられた血の繋がらない双子。
幼い二人の間に、上下も主従もなかった。
いつの間にか“貴族と平民”という名の線が引かれ、キースは彼女を下に見るようになっていた。
偉ぶりはしなかったが、守る役は自分だと勝手に決めつけていたのだ。
「メリー。僕はまだ父上たちには遠く及ばない。未熟な僕には、側で支えてくれるパートナーが必要だ」
キースは膝をつき、目線を合わせる。
「その役目を君に頼みたい。君以外は考えられない。これは命令じゃない。僕個人の願いだ。――――メリー・ルーク嬢。僕のパートナーとして、共に戦地へ向かってくれまいか?」
差し出された右手。
「……」
反応は遅い。
だが、迷いはない。
「わたくしことメリー・ルークは、いついかなるときもあなた様のお側に――――」
メリーの口調が変わる。
空気が凛と張りつめた。
生徒たちが目を見開く。
「例え死の運命にこの身が引き裂かれようと、我が魂はあなた様と共に――――」
彼女はキースの手を取った。
「元よりこの命はあなた様のために在《あ》るもの。――――わたくしは、どこまでもあなた様と共に参ります」
キースは、その手の甲に口づけを落とした。
互いの想いが結ばれた瞬間、世界は二人だけのものとなる。
生徒たちは見惚れて、息を呑んだ。
「すごい……、メリーちゃん……」
「まるで貴族同士の“婚礼の儀”を見ているようだ……」
レミとフラットがささやく。
「……話はまとまったな。じゃあ二人も、今から俺たちジャガーノートの一員だ」
クラウスが割り込み、二人の肩を同時に抱く。
キースとメリーは少し照れた。
「メンバーはこれで十人。バランス的にも悪くない数だ」
ゲイルが指を折る。
「そういえばメリーちゃんって、どんな魔法が使えるの?」
エニスがたずねる。
「メリーは基礎魔法なら一通り使えるよ。さすがに飛行魔法は無理だけど」
キースが代わりに答える。
「で、でも……! キース様が学院に行っている間に、治癒魔法も少し使えるようになりました!」
必死に〝足手まといじゃない〟とアピールするメリー。
「マジかよ……。独学で基礎魔法を全部……?」
クラウスが目を丸くする。
「しかも治癒魔法なんて、学院でも使える人は多くないのに……」
「メリーちゃん。やっぱりすごい」
リリアとレミが頷く。
「この中で、治癒魔法を使えるのは何人くらいだ?」
「確かレミとフラット――――それと、ゲイル」
「……意外にいたな」
オゼットとステイルが肩をすくめ、メリーががっくり肩を落とす。
「気にすることはない。治癒魔法の使い手は一人でも多い方がいい」
キースの一言で、メリーの瞳がまた輝く。
「それじゃあ、俺たちもそろそろ行くか」
「そうだな。これ以上、ルキウス殿下をお待たせするわけにはいかない」
クラウスとフラットが声を掛け、準備が進む。
一方その頃、ティゼルたちは――――
「「……」」
馬車の中は静かだった。
ティゼルとヴァネッサは、ほとんど口を利かない。
「……副隊長、すまなかった。そなたに例の計画を黙っていたのは、そなたの力を侮ったからではない」
ティゼルは言葉を探す。
ルキウスの言ったケジメとは、まさにそれだ。
「そなたに全てを話せば、そなたは必ず私と運命を共にする道を選んだはずだ。だが、それでは意味がない。戦は何が起こるかわからない。道中で命を落としたかもしれない。――――それだけは避けたかった」
「……」
言わんとするところは、ヴァネッサにもわかる。
だが彼女が口を閉ざしていた理由は、それだけではない。
「殿下。私はもう――――我慢の限界です……」
「……?」
「今一度、殿下に申し上げます。――――殿下。どうかお許しを」
「っ――⁉」
同じ頃、上空では――――
「……なあ、フラット」
馬車上空を箒で飛ぶクラウスが、隣を飛ぶフラットにささやく。
「シンクたちが乗ってる馬車――――やけに揺れてないか?」
フラットは視線を落とし、そっと目を逸らした。
「……あまり野暮なことは、口にするもんじゃない」
「……やっぱ、そういうことかよ」
クラウスは察する。
「なあ、ステイル。あの副隊長さん、どれくらいだと思う?」
「――――85・58・85」
「わぉっ! なんというビューティフルバディ!」
オゼットが箒の上で一回転。
「いいな~、シンクのヤツ……。今頃、あのクールビューティーな姉ちゃんと、あの中で……」
「……いかがいたしますか、オゼット隊長?」
「……行くっきゃないでしょ!」
二人は馬車へ降下しようと姿勢を変える――が。
「こらっ、二人とも! 副隊長さんの邪魔しないっ!」
後ろからレミが、二人の箒をがっしり鷲掴みにする。
「わっとっと――。別に邪魔なんかしねえよ」
「俺たちはただ、副隊長さんの美しい肢体を拝みに――――」
「………………………折るよ?」
レミがにっこり。
だが手には凄まじい力。
「お、オゼット隊長! 私は速やかな撤退を推奨いたします!」
「了解だ、ステイル隊員! 俺もまだ死にたくねえ!」
「……よろしい。次に何かしようとしたら――――今日が二人の命日だからね♪」
箒からレミの手が離れ、二人はするすると後ろへ下がった。
「男子って、ほんっとサイテー……」
リリアがぼそり。
「この場合、下の二人も悪いけど――――ここは大人しく見守るのが筋かな」
ゲイルが苦笑する。
「……ところで、ゲイル。――――下の二人って、あの中で何やってんの?」
「「「……」」」
エニスの無邪気な問いに、全員が沈黙。
「それはもちろん――!」
「子どもをこしらえて――!」
「ふんっ!」
次の瞬間、二人の男子生徒はレミの拳骨で、はるか下の地面へ叩き落とされた。
――――南無。
クラウスが叫ぶ。
他の生徒たちも彼の存在に気づき、視線が一斉に集まった。
「ったく、てめえは……。一人でカッコつけやがって……」
「……クラウス君」
「ここまで来るのに、どれだけ苦労したと思ってんだ?」
キースの頭は、まだ少しぼんやりしている。
「そうか……。僕はあのとき……」
彼の記憶が少しずつよみがえる。
「みんな、本当に僕を助けに来てくれたんだね」
生徒たちが笑顔を浮かべる。
「感謝する。この恩は一生忘れない」
キースは深く頭を下げた。
「……んん。――――きーしゅしゃま?」
「っ――⁉」
「……?」
キースとクラウスが同時に馬車の中へ目を向ける。
「メリー! 無事だったんだねっ⁉」
「……ぶじ?」
メリーは目をこすりながら、ぼそぼそとつぶやいた。
「おい、キース……。もしかして、そのメリーって娘……」
「うん。この子が前に言ってた僕の幼なじみだよ」
キースの言葉に、クラウスを含め生徒たちが目を見開く。
「キースが言ってた平民の友だちって、メイドだったのか……」
「部屋に閉じこもってたって聞いたけど……」
ゲイルとエニスが小声でささやく。
「……なあ、キース。一つ聞いてもいいか?」
「……?」
「お前――――ロリコンだったのか?」
クラウスが、オゼットとステイルも気にしていたことを遠回しに刺す。
「ば、バカを言うなっ! メリーは小柄だけど僕たちと同い年だ!」
「お、同い年……?」
クラウスがメリーを上から下までじろりと眺めた。
「……このちんちくりんが?」
「ちんちくりんとはなんだっ⁉」
クラウスの一言で、メリーの意識は完全に覚醒した。
「私はキース様に仕えるメイドだぞ! 今は見習いだけど、私もいつか先輩たちみたいにすごいメイドになるんだから!」
「「「……」」」
論点が少しズレている。
「いや、すごいメイドって言われても……」
クラウスが頬をかき、苦笑した。
「背だって今よりもっとおっきくなる! そのために毎日ごはんをいっぱい食べてるんだから!」
言動の一つひとつが完全に子どもだ。
クラウスはいったん振り返り、モデル体型の副隊長の肢体を目に焼き付けてから、もう一度メリーを見た。
「まあ、あれだ……。太り過ぎないようにだけ注意しろよ」
「ムキ~ッ!」
メリーが馬車の中で地団太を踏む。
車内で立っているのにクラウスより頭が低く見えるのが、なんとも可笑しい。
「そういや、あの娘も王立魔法学院の試験を受けたって言ってたな……」
「合法ロリってヤツか……。中には羨ましがるヤツも出てくるんじゃねえか……」
オゼットとステイルが苦笑する。
「ちょっと何……、あの娘……? 本物のお人形さんみたい……」
「うぅ~、かわいい~……」
リリアとレミは、すっかり女の子の顔でメリーへ駆けていった。
「兄上。少しよろしいですか?」
ティゼルがルキウスに歩み寄る。
「私は一体どこで道を誤ったのでしょう? 今では学院の生徒たちを殺害して本当に良かったのかと、自分の正義すら見失いかけています」
「……殿下」
ヴァネッサが心配そうに漏らす。
「それは今の彼らを見て、そう思ったのか?」
「……」
「私が何を言ったところで、身内贔屓の擁護にしかならない。ある日突然、家族の命を奪われた遺族の気持ちを思えば、尚更だ」
ルキウスの言葉は厳しい。
「だが、あえて身内贔屓の意見を答えるなら、皮肉にもあの作戦がきっかけで彼らの間に友情が芽生え、今の笑顔があるということだ」
あの事件がなければ、キースは今も腐っていただろう。
痛みを知り、人としての悲しみを思い出したからこそ、現在の彼らがある。
「お前は、今のあの子たちを見てどう思った?」
ティゼルはしばし考え――
「私はあの者たちを――――誰一人として死なせたくない」
「……」
「父上の命《めい》に逆らう気はありませんが、私の正義は父上の意向に依存しない。此度《こたび》の戦で私が剣を取る理由はただ一つ。一人でも多くの民を救い、あの者たちの笑顔を守り抜く。たとえこの身が滅びようとも、私は必ずや魔法界に変革をもたらしてみせる」
ルキウスの眉がわずかに寄る。
「戦争を止めるために武力を用い、人を殺す。結果として多くを救えるかもしれない。だが人を殺せば恨みが生まれ、また新たな犠牲を生む。あとはその繰り返しだ」
「……」
「ティゼル。お前はまだ世界の本質を理解していない。復讐の連鎖は、人の世そのものだ。お前一人の力でどうにかできる相手ではない」
ルキウスが身をひるがえす。
「お前の計画は、ひとときの平和をもたらしたかもしれない。だがお前の死は、お前が守りたいと願うあの子たちから笑顔を奪っていた。――――それだけは忘れるなよ」
そう言い残し、彼は自分の馬車へ戻っていった。
ティゼルは何も言い返せない。
「……兄上の言う通りだ。私は己の力を過信していた。兄上の思慮には、まだ遠い」
「殿下……」
「副隊長、本隊に伝達を。現時点をもって全作戦を終了。直ちに王都へ帰還せよ――と」
「仰せのままに」
ヴァネッサは通信リングでブラウン領外のドレッドノートへ命令を飛ばした。
その間に、ティゼルは生徒たちのもとへ向かった。
馬車の側では、レミがメリーを人形のように抱き上げて頬ずりしている。
メリーは「子ども扱いするな!」と怒っていた。
「諸君らに話がある」
ティゼルに注目が集まる。
「諸君らは自由の身だ。このまま兄上に付き従うも良し、故郷オルディアへ帰還するも良し。諸君らの好きにするが良い」
生徒たちが顔を見合わせる。
「シンクはこれからどうするの?」
レミの問いに、ティゼルは身をひるがえした。
「……私は王都に帰還し、父上に新たな指示を仰ぐ。おそらく指揮官の任は解かれるだろう。王命に背き、私情で部隊を動かし、兄上にまで迷惑をかけた。王族としてあるまじき行いだ」
「戦争は……、もう止められないの?」
「それは父上次第だ。今回の一件でオルディアがどう動くか……。本来はその前に全てにケリをつけるつもりだった。――――いずれにせよ、私にできることは、もう何もない」
一見やる気を失ったように見えるが、彼の心の火は――――まだ消えていない。
彼はどんな手を使ってでも戦争を止めるつもりだ。
「シンク――――また何か企む気でしょ?」
「っ――⁉」
「さすがにもう騙されないよ。私たちにも学習能力ってものがあるんだから」
「……」
「殿下。私たちはルキウス殿下と共に王都に赴く所存です」
フラットが進み出る。
「『戦争を止めたい』。――――私たちの行動はそこから始まりました。殿下も、その思いは同じはず」
「……」
「利害は一致しています。お一人で成そうとお考えなら――――どうかそのお力、私たちジャガーノートにお貸しいただけませんか?」
ティゼルは背を向けたまま考え――――
「私の一存ではどうにもならん。父上の命には、二度と逆らえない」
「……」
「――――だが、その願いを叶えたくば、兄上に頼むがいい。兄上の口添えなら、父上の考えも変わるやもしれん。私から言えるのは、それだけだ」
そう告げ、ティゼルはヴァネッサのもとへ戻る。
「ねえ、今のって……」
「アルゼリウス王の返答次第では、我々に協力してもいい。――――おそらく、そういうことだ」
「……だよね?」
レミとフラットが頷く。
「ってことは、ドレッドノートが味方ってことじゃねえか⁉」
「うっしゃあっ! 俺たちもついにここまで来たぜ!」
オゼットとステイルがはしゃぎ回る。
「まだ確定じゃないけどね……」
「でも、敵にはならないって言ってくれたようなものだよ」
ゲイルとエニスが微笑む。
「あのシンクが俺たちの味方か……。――――なあ、これって喜んでいいんだよな?」
「私に聞かないでよ」
リリアがクラウスの質問を一蹴する。
「本当は僕たちも行きたいところだけど……」
キースがメリーを見た。
「――――ねえ、メリーはどうしたい?」
「私はどこまでもキース様にお供します!」
両手をぐっと握る――――“がんばります”のポーズ。
キースは苦笑した。
聞きたいのは、そういうことではないのだが――――やはり彼女は少しズレている。
やがてティゼルがヴァネッサを連れて戻ってくる。
「そろそろ、そこを通してくれまいか? 我々は諸君らと違って飛行魔法が使えない」
つまり、生徒たちが道を塞いでいて馬車に乗れない、ということだ。
「ねえ、キースたちはどうするの? またシンクたちと一緒に馬車に乗るの?」
「そうか。俺たち、自分たちの分しか箒を用意してもらってないや」
リリアの問いに、クラウスが頭をかく。
「兄上の馬車に乗せてもらうがいい。兄上はそのために馬車を待機させているのだろう」
確かに、ルキウスの馬車は止まったままだ。
「ってことは、キースたちはこのまま家に戻るのか? ここからならリュオールの王都に向かうより早い。引き返すなら今だぞ」
クラウスが水を向ける。
「僕は……」
キースは迷う。
ジャガーノートと共に行きたい。
しかし、ここにはメリーがいる。
彼女を連れて敵地同然のリュオールに赴くのは危険が大きい。
「メリー。もう一度聞くよ。僕がこのままリュオールに向かうと言ったら、君はどうする?」
「もちろん、キース様に付いていきます!」
「なら、君をブラウン家の本邸に送り届けた後、僕がルキウス殿下とリュオールへ向かったら?」
「キース様に見つからないよう、こっそりと後を追います!」
――――やはりメリーはアホの娘だった。
「それって、こっそりって言わなくない……?」
「自分から思いっきりバラしてるし……」
オゼットとステイルが肩をすくめる。
その場のほぼ全員が苦笑した。
「私からも一つ。――――メリー・ルーク。貴様にとって、キース・ブラウンとは何だ?」
「私にとってキース様は、世界で一番大切なご主人様です!」
メリーは胸を張って言い切る。
キースは顔が熱い。
「……キース・ブラウン。同じ質問だ。――――貴君にとって、メリー・ルークとは?」
キースは少しだけ息を整え――――
「メリーは僕にとって――――世界で一番大切な女の子です」
キースが漢を見せた。
「キャー、キャ~ッ! もうキース様ったら!」
メリーは歓喜のあまり右腕をぶんぶん振り回し、キースの顔面をポカポカ殴り始める。
「……そうか」
ティゼルの反応は薄い。
だが、その返答には満足していた。
彼は生徒たちの間を抜け、馬車に乗り込む。
「キース。ならば彼女も共に連れて行くがいい」
「「「――⁉」」」
「貴君はその者の力を見誤っている。もし真に彼女を想うなら、同じ高さから彼女を見よ。――――主人を想う従者の力は、貴君の想像をはるかに超える」
その一言に、続いて乗り込もうとしていたヴァネッサの動きが一瞬だけ止まる。
すぐに彼女はいつもの席に着き、扉が閉まった。
間もなく馬車が発進する。
「今のは一体……?」
キースが何気なくつぶやくと、フラットが応じた。
「ただ守るだけでなく、互いに背中を預け合ってこそ真のパートナー。――――殿下は、そうおっしゃりたかったのだろう」
「パートナー……」
キースが再びメリーを見る。
「キース様……」
幼い日々を思い出す。
貴族として育てられた自分と、平民として育てられた彼女。
故意に取り違えられた血の繋がらない双子。
幼い二人の間に、上下も主従もなかった。
いつの間にか“貴族と平民”という名の線が引かれ、キースは彼女を下に見るようになっていた。
偉ぶりはしなかったが、守る役は自分だと勝手に決めつけていたのだ。
「メリー。僕はまだ父上たちには遠く及ばない。未熟な僕には、側で支えてくれるパートナーが必要だ」
キースは膝をつき、目線を合わせる。
「その役目を君に頼みたい。君以外は考えられない。これは命令じゃない。僕個人の願いだ。――――メリー・ルーク嬢。僕のパートナーとして、共に戦地へ向かってくれまいか?」
差し出された右手。
「……」
反応は遅い。
だが、迷いはない。
「わたくしことメリー・ルークは、いついかなるときもあなた様のお側に――――」
メリーの口調が変わる。
空気が凛と張りつめた。
生徒たちが目を見開く。
「例え死の運命にこの身が引き裂かれようと、我が魂はあなた様と共に――――」
彼女はキースの手を取った。
「元よりこの命はあなた様のために在《あ》るもの。――――わたくしは、どこまでもあなた様と共に参ります」
キースは、その手の甲に口づけを落とした。
互いの想いが結ばれた瞬間、世界は二人だけのものとなる。
生徒たちは見惚れて、息を呑んだ。
「すごい……、メリーちゃん……」
「まるで貴族同士の“婚礼の儀”を見ているようだ……」
レミとフラットがささやく。
「……話はまとまったな。じゃあ二人も、今から俺たちジャガーノートの一員だ」
クラウスが割り込み、二人の肩を同時に抱く。
キースとメリーは少し照れた。
「メンバーはこれで十人。バランス的にも悪くない数だ」
ゲイルが指を折る。
「そういえばメリーちゃんって、どんな魔法が使えるの?」
エニスがたずねる。
「メリーは基礎魔法なら一通り使えるよ。さすがに飛行魔法は無理だけど」
キースが代わりに答える。
「で、でも……! キース様が学院に行っている間に、治癒魔法も少し使えるようになりました!」
必死に〝足手まといじゃない〟とアピールするメリー。
「マジかよ……。独学で基礎魔法を全部……?」
クラウスが目を丸くする。
「しかも治癒魔法なんて、学院でも使える人は多くないのに……」
「メリーちゃん。やっぱりすごい」
リリアとレミが頷く。
「この中で、治癒魔法を使えるのは何人くらいだ?」
「確かレミとフラット――――それと、ゲイル」
「……意外にいたな」
オゼットとステイルが肩をすくめ、メリーががっくり肩を落とす。
「気にすることはない。治癒魔法の使い手は一人でも多い方がいい」
キースの一言で、メリーの瞳がまた輝く。
「それじゃあ、俺たちもそろそろ行くか」
「そうだな。これ以上、ルキウス殿下をお待たせするわけにはいかない」
クラウスとフラットが声を掛け、準備が進む。
一方その頃、ティゼルたちは――――
「「……」」
馬車の中は静かだった。
ティゼルとヴァネッサは、ほとんど口を利かない。
「……副隊長、すまなかった。そなたに例の計画を黙っていたのは、そなたの力を侮ったからではない」
ティゼルは言葉を探す。
ルキウスの言ったケジメとは、まさにそれだ。
「そなたに全てを話せば、そなたは必ず私と運命を共にする道を選んだはずだ。だが、それでは意味がない。戦は何が起こるかわからない。道中で命を落としたかもしれない。――――それだけは避けたかった」
「……」
言わんとするところは、ヴァネッサにもわかる。
だが彼女が口を閉ざしていた理由は、それだけではない。
「殿下。私はもう――――我慢の限界です……」
「……?」
「今一度、殿下に申し上げます。――――殿下。どうかお許しを」
「っ――⁉」
同じ頃、上空では――――
「……なあ、フラット」
馬車上空を箒で飛ぶクラウスが、隣を飛ぶフラットにささやく。
「シンクたちが乗ってる馬車――――やけに揺れてないか?」
フラットは視線を落とし、そっと目を逸らした。
「……あまり野暮なことは、口にするもんじゃない」
「……やっぱ、そういうことかよ」
クラウスは察する。
「なあ、ステイル。あの副隊長さん、どれくらいだと思う?」
「――――85・58・85」
「わぉっ! なんというビューティフルバディ!」
オゼットが箒の上で一回転。
「いいな~、シンクのヤツ……。今頃、あのクールビューティーな姉ちゃんと、あの中で……」
「……いかがいたしますか、オゼット隊長?」
「……行くっきゃないでしょ!」
二人は馬車へ降下しようと姿勢を変える――が。
「こらっ、二人とも! 副隊長さんの邪魔しないっ!」
後ろからレミが、二人の箒をがっしり鷲掴みにする。
「わっとっと――。別に邪魔なんかしねえよ」
「俺たちはただ、副隊長さんの美しい肢体を拝みに――――」
「………………………折るよ?」
レミがにっこり。
だが手には凄まじい力。
「お、オゼット隊長! 私は速やかな撤退を推奨いたします!」
「了解だ、ステイル隊員! 俺もまだ死にたくねえ!」
「……よろしい。次に何かしようとしたら――――今日が二人の命日だからね♪」
箒からレミの手が離れ、二人はするすると後ろへ下がった。
「男子って、ほんっとサイテー……」
リリアがぼそり。
「この場合、下の二人も悪いけど――――ここは大人しく見守るのが筋かな」
ゲイルが苦笑する。
「……ところで、ゲイル。――――下の二人って、あの中で何やってんの?」
「「「……」」」
エニスの無邪気な問いに、全員が沈黙。
「それはもちろん――!」
「子どもをこしらえて――!」
「ふんっ!」
次の瞬間、二人の男子生徒はレミの拳骨で、はるか下の地面へ叩き落とされた。
――――南無。
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