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しおりを挟むゴットロープがアルヤと『別れた』あと。
ゴットロープはフィアンマとも終わりを告げ、勢いに乗っていた。
身軽になった彼を追いかける令嬢は一定数おり、残り少なくなった学園生活に結婚の望みをかける令嬢たちは軽率に彼と関係を持ったようだ。
「あの銀髪縦ロールのお嬢さんの評判が悪かったのが良かったよね!! 私の方がお似合いよっていう頭と股の緩いご令嬢たちがたくさん湧いてくれたのも良かった、うん。実に美味しい」
ヨアンはマイナが久しぶりに作ってくれた『にくまん』を頬張りながらほくほく顔をしていた。
「噂は遠くから流したから、有象無象と駄目になったころ効いてくるよ」
「兄貴、にくまんは一人一個じゃないんですか、ズルいっすよ」
「僕は今日たくさん働いたからいいの」
「アルヤさんに持っていこうと思ってたのに」
「にくまんは、できたてじゃないと美味しくないでしょう?」
「そんなことないですよ、蒸かしなおせば元通りです」
「いーや、絶対できたてがいい……ってそうじゃなくて、まずは僕にお礼を言うべきだよね?」
「もちろんです!! 兄貴のお陰で結婚できそうです!! あざます!!」
「軽い……その前に噂を流したことへのねぎらいとか」
「それはもう、ものすごく感謝してます……でも、一番のお礼は僕がアルヤさんと無事に結婚することですよねー?」
「……わかってるじゃん」
「兄貴に愛されてる自覚あるんで!!」
「誤解を招く言い方やめてよね!?」
キャッ……
側を通ったメイドが小さく叫び声をあげ、頬を赤らめながら逃げて行った。
「ほら誤解された!!」
「些末なことですよー。それよりアルヤさんのにくまん……」
「もう、僕がマイナ様に頼んで、お茶会にアルヤ嬢を招いてくれるように伝えるよー。ついでに、アルヤさんの小説も読んでもらえば?」
「……なるほど?? 兄貴、さすっがスね!!」
マイナは無類の恋愛小説好きだ。
気に入ってもらえれば、卒業後のアルヤを支援してくれるかもしれない。
(コレッティ子爵家は創作活動に協力的だけど、卒業しちゃうと学園の図書館が使えなくなるから資料に困ると言っていたし……タルコット公爵家の蔵書量は凄いから大抵のものは揃ってるし、足りなければ購入してくれそうだよね??)
――などと、割と軽率にヨアンの提案にのってみたのだが、これがまたアルヤの可愛さが炸裂してカールを萌え転がすことになる。
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