燦々と青がいた 〜3人のオメガが幸せな運命と出会うまで〜

鳴き砂

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第三章

アザミは嘲った 2

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「京、迎えに来たよ。」

 粘着質な声とともに、百合の花の香りが部屋に充満していく。嘉月は舌打ちしたい気持ちを堪えて、声の方を見遣った。

「てっきりあんたの弟子でも来ると思った。」

「何を言うんだ。迎えに来るのは番として当たり前だろう?」

御神が近づく度に百合の花の香りが強くなる。嘉月は思いっきり顔を顰めて「臭い」と言った。
途端に、シーツに両腕を押し付けられ首筋に歯を立てられる。

「や、やめろ!放せ!お前の匂い、嫌いなんだ!」

「番のフェロモンの香りを拒むなんて、本当に躾の甲斐があって嬉しいよ。」

 首元に顔を埋められて、囁かれる。思わず顔を背ければ、ガリッと首筋を噛まれた。

「痛っ・・・・」

「さあ、帰ろうか。二人の家に。・・・・あの一色という医者に目を付けられたら面倒だからな。」

 御神は強引に嘉月の腕から点滴の管を抜き取ると、横抱きにして病室を抜け出したのだった。

◇◇◇

 帰りたくもなかった家に連れ戻され、自室と称された調教部屋へと嘉月は連れ戻されてしまった。窓もない薄暗い部屋には似合わない、豪華な造りのベッドが変わらずに横たわっていた。そして嘉月は、ベッドヘッドの格子に手錠を括り付けられ、ベッドの上から身動きができない状態にされている。おまけに病衣は、ベッドに降ろされた途端に剥かれてしまい、生まれたままの格好にさせられた。

「本当にいい趣味してる・・・・」

自嘲気味に笑えば、柔らかな布を鼻に押し当てられた。鼻腔いっぱいに百合の花の匂いが広がる。

「うっ・・・・」

「京が私のフェロモンに慣れるように特注で作らせたんだ。この布には私のフェロモンの香りを液剤にしたものが、たっぷり染み込んでいるからね。」

 せめてもの抵抗にと脚で御神の身体を押しのけようとしたら、あっという間に鼻と口を覆うように布を頭の後ろで固定されてしまった。

「ううーっ」

「そう言えば、京は足癖も悪かったね。こちらも縛り付けておこうか。」

 御神は「いいかい?私に逆らって痛い目に合うのは京なんだからね?」と耳元でねっとりと笑ったのだった。


「ふっ、ん、んぅ、んんっー!!!」

 ぬちょぬちょと粘り気のある水音が、薄暗い部屋に響く。先刻から御神は嘉月のペニスを執拗に弄り回していた。鈴口から溢れた水滴を手のひらで塗りこむように亀頭の先端を擦りあげたり、その割れ目に舌を這わせてきたりする。

 否応なく吸い込んでしまう御神のフェロモンに酩酊するような気分であるにも関わらず、性器へダイレクトに感じる強い刺激に、身体は混乱していた。


 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い


 突然、強い力でグリグリとペニスの先端を分厚い手で摩擦された。嘉月の身体は彼の意思とは関係なく激しく震え、弓なりに背を仰け反らせる。

「んんんっーー!!!」

頭上でガチャガチャと手錠のぶつかる音が聞こえた。御神は一向に擦る動きを止めようとはせず、強烈な刺激を与え続けられる。下腹部から脳天にかけて凄まじい快感が走り、嘉月は勢いよく精液を吐き出した。

 しかし、それは一向に止まる気配がなく、それどころかビシャビシャと腹を汚していく。

「ん、ん、ん・・・・」

理解が追いつかない身体の変化に、ぶわりと涙が溢れた。堪えきれない唾液は覆われた布をしとどに濡らし、頬にも伝っていた。それが何とも無様に思えて、死にたくなった。

「京、これは潮だ。初めてだから驚いたのか。」

「ふぅ・・・・んぅ、ん・・・・」

 御神は嘉月の下腹部をそっと撫でた。そこには、まだ真新しい引き攣れた傷跡がある。それは、目の前にいる男の無理な性行為によってできた傷だ。しかし男は、愛おしそうにその傷跡を見つめるのだった。

「暫くは、京の中には挿れられないだろう?だから、今まであまり可愛がってこなかった場所を、と思ってね。例えば・・・・」

 そう言うと、御神はピンッと嘉月の乳首を弾き「こことかね?」と微笑んだ。

◇◇◇

 ようやく含まされた布を外された頃には、嘉月の身体は色々な体液が混じり合いドロドロに汚れされていた。そんな嘉月の惨状に、御神は満足気に目を細め、柔らかく頭を撫でたのだった。その手をどうにか振りほどき、嘉月はぐったりとシーツに身を沈める。


「触らないで・・・・」

 結局、一族から逃げ出した先にあった道は、変わることはなかった。御神にとっても自分は、ただの材料や道具でしかないのだ。

 一言、絶え絶えに呟き、嘉月は重い瞼を閉じて闇へと堕ちていった。

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