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3 砂漠化の謎を探る
3-13.ふたりで身を立てる
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「……見つからないよ」
「この書架じゃないんだわ。あっち見てくる」
「俺、少し休憩してていい?」
文書慣れしていないニコが、諦めるのは早かった。分厚い本を書架に戻し、はあ、と深いため息。
「いいわよ。見つかったら、声をかけるわ」
「うん、ごめん。……館長さん、ここの本って……」
新たな本は手に取らず、ニコは扉の前で私たちを待つ館長に、話しかけに行く。ニコらしい振る舞いだ。
穏やかなニコの声と、館長の低くて渋い声との応酬を聞き流しながら、私は本を探す。王城の設計図のようなものが見たい。あの城が建て替えられたという話は聞かないから、王都に城が構えられた時代のものを探せばよいはずなのだ。
「……微妙……」
王都の構造がいかに素晴らしいか、いかに恵まれた土地か、王城がどのような技術を使って作られたのか。そう賛美する文章は出てくるが、王城の内部構造を図にした本というものは、なかなか出てこない。
この奥の書架にも、配架するのを避けられているのだろうか。いくら王都の有力者しか来ないとはいえ、彼らが謀反を起こさないとは限らない。
手に取る本、手に取る本、どれも目的のものではない。関心を引く内容のものはたくさんあって、本当はそのまま読み進めたいところだが、心を鬼にして棚に返す。
「これも、書いてないわ」
たくさんの文字。その中に、お目当てのものは、一向に見つからない。
「ねえ」
「ひぃっ!」
いきなり背後から声をかけられ、心臓がびくんと跳ねた。
「急に話しかけないでよ、ニコ」
「ごめん、ごめん。館長さんが、王城について知りたいなら、絵本はどうかって」
「絵本?」
何を言っているのかと思うものの、ニコは大真面目な顔をしている。
「そう。お城はあれだけ広いし、きっと、中もそれなりに複雑だと思わない?」
「そうね」
「王城に住む王子様とかお姫様は、小さい頃、お城の中で迷わないように、絵本で勉強するんだってよ」
「そうなの……」
相変わらず扉の前に控えている館長を見ると、ぱちんとウィンクが返ってくる。キザな仕草だ。
「館長さんの受け売りなんだけどね」
そうだろう。さっきのウィンクが答えだ。ニコは館長の茶目っ気に気づかなかったらしく、そのまま書架に視線を向ける。
「絵本、絵本……」
「……あ、これかしら」
「見つけるのが早いね、イリス」
こういったことは、ニコより私の方が、少し得意だ。
取り出したのは、古びた絵本。薄くて、意識して探さないと、見落としてしまいそうな代物だ。表紙には、ドレスを着た女の子の絵。
「おしろのあるきかた……」
「いかにも、だね」
ページを捲る。
ごく普通の、かわいい、子供向けの絵本だった。
お姫様がある日、自分の部屋から、「冒険」に出る。廊下に出て、使用人に元気よく挨拶をしたり、料理人におやつを分けてもらったりする。
元気に挨拶をしましょう、という教訓じみたストーリーだ。城の床に赤い絨毯が敷かれているのはわかったが、そんなことがわかってもあまり意味はない。
お姫様は、楽しくなって、どんどん階段を下る。どんどん、どんどん。
挿絵は少しずつ暗くなり、怪しげな雰囲気に変わっていく。お姫様はそれに気づかぬ様子で、嬉しくなって、スキップしながら歩いている様子が描かれている。
やがてお姫様は、見たこともない扉の前まで来た。扉に手をかけると、ゆっくり開いた扉の隙間から、眩い光があふれてくる。
宝物かも、と思って、お姫様は扉を勢いよく開ける。
「すると、青い光が目を刺して、お姫様は、目が見えなくなってしまいました……?」
目に手を当てて無くお姫様。父である王と、母である王妃が、優しく彼女に言葉をかける。だから、地下には行ってはいけないんだよ、あそこには王都のすべてがあるからね、と。
「王都の、すべて」
「後味の悪い終わりかただね……」
ニコの言う通りだ。ほんわかした、小さな子供の冒険物語かと思っていたら、いきなり目が見えなくなるなんて。
「要するに、王城の地下にはむやみに入るな、って言いたいのよね」
「何かあるのかな」
何かあるも何も、あるとしたら、決まっている。その答えを口に出すのは、憚られた。なぜなら、エヘン! とわざとらしい咳払いが響いたからだ。
「そろそろ、よろしいですかな?」
「あっ……はい」
私は、絵本を書架に戻す。
「すみません、長居してしまって」
「いえ。助言がお役に立ったのなら、何よりですよ」
ニコと館長が話す後ろを、私はついて歩く。二人はにこやかに、言葉を交わしている。私はニコの袖を引いた。
「ねえ、一列で歩くんじゃなかったの」
迷惑だから並んで歩くなと言ったのは、ニコだ。なのにニコは、「ああ、そうだったね」なんて生返事をして、館長と会話を続けている。
なんなの、人には駄目って言っておいて。
少しむっとしながら歩いていると、正面から、ターニアがやってきた。
「遅かったですね、皆さん。そろそろ、お声かけしようと思っていたんですよ」
「もう閉館だからね。すまないね、任せてしまって」
「いえ」
「もう、閉館なの?」
この図書館は、遅い時間まで開館している。閉館ということは、もうほとんど夜だ、ということだ。
「ほんとだ、もう暗くなるわね」
図書館を出てみれば、お日様はすっかり傾いている。
「長いこといたからね、あの場所に」
「気づかなかったわ、全然」
「イリスの集中力を改めて見直したよ、俺。館長さんと話しながら、何度か声をかけたのに、全然気がつかなかったでしょ」
「そうなの?」
本当に、話しかけられたことにすら、全然気づいていなかった。唖然とする私を見て、ニコはふっと表情を緩める。
「俺、嫌いじゃないよ、イリスのそういうところ」
「……ありがとう」
同じことでも、人によって、捉え方が違う。私のそういう非社会的なところを、ニコは温かく受け止めてくれる。
手の冷たい人は心が温かいなんて言い方もある。空を飛ぶ時に、こうして繋ぐニコの手は、温かい。それでいてニコは、心も温かい。何事にも例外はあるものだ。
だからニコといると、私は楽だ。余計な気遣いがいらない。
「ニコは、あの絵本、どう思った?」
「地下の青い光って、例の樹と、青い水と関係ありそうだよね」
「やっぱり、そう思うわよね」
ベンジャミンの言っていた「祖母の話」では、その大樹がどこにあるかまでは、判然としなかった。しかし、絵本の情報を加味すると、地下にあると思われる。
「それにしても、後味の悪い終わりかただったけれど」
「あの、王都のすべてって、どういうことかしらね」
「さあ……」
かつて王都は緑豊かな街ではあった。かといって、それが全てかと問われると、そうではない。
砂漠化した王都しか知らないニコは、ますますわからないはずだ。肩をすくめ、首を傾げるのみである。
「子供が無闇に地下に入るなっていう、強烈な教訓なのはわかったよ」
「ええ。正直言ってそれ以上は、憶測の域を出ないわ。結局、王城の内部は、何もわからなかったけれど……」
「多分俺たちは地下に出るだろうってことは、わかったから。それでいいよ、あとはなんとかしよう。ふたりで」
ニコが、私の手を掴む力を、僅かに強める。そこに、ニコの気持ちが表れている気がした。
「ふたりで、ね。王都の魔導士のあり方を変えたら、私たちは間違いなく、名を上げられるわ」
魔力石の生産を止めれば、魔導士は自らの力を高めざるを得なくなる。私たちにはノウハウがたくさんあるから、砂出しの皆にしたように、あれこれとアドバイスをすることができる。
私は、ニコとふたりで、身を立てるのだ。その目的に近づくには、おそらく、現時点で最適の道筋であろう。
「どういう名かは、わからないけどね」
「そうね」
道筋の最初に、王城へ侵入するということがある以上、それが汚名になる可能性もないではないが。
「ニコとなら、それを挽回するのも楽しいわ。捕まる時は一緒よ」
「ああ……こないだとは違って、ね」
「そう。離れたら困るわ」
監禁されたあの時、ニコさえ近くにいれば、どれだけ心強いと思ったことか。ニコは、私と繋いだ手を離し、代わりに肩に回した。
「俺は、イリスと離れたら死んじゃうからね」
「そういえば、そんな設定だったわ」
方便はどうであれ、お互いそう強く思っていれば、きっと、一緒にいられる。
ニコの魔法と、私の魔力。それが合わされば、ひとりではできないような大きな力だって、生み出せる。どんな状況に置かれても、きっと大丈夫。
「そういえば、イリス。俺と館長さんの会話を、聞いてた?」
肩越しに話題を変えるニコ。私は首を振った。
「たぶん聞いてないわ。どの会話?」
「あの人、俺たちの話を、ずいぶんまともに聞いていたみたいでさ。『王城の内部なんて、どうして気になるんですかね』って、ずいぶん聞かれたよ」
「まあ、気にするわよね。ベンジャミンに問い合わせが入ったら、面倒なことになりそうだわ」
パトロール隊のふたりと、同じパターンだ。職務上彼らは、知り得たことを、上に確認したり、報告したりしなければならない。
ベンジャミンが、私たちが王城に行く気だと知ったら、かなり面倒なことになる。絶対に、ついていくと言い張るからだ。
「確実に決行するなら、今日かしらね」
「そうだね。今日なら、たとえベンジャミンさんが察しても、何もできない」
私とニコは、そこに意見の一致を見た。
日は傾いていると言っても、まだ人は多い。もう少し、時間を潰したほうがいい。
「銭湯にでも、寄ってみる?」
そこで私たちは、懐かしい砂漠の街を、回ることにした。
「この書架じゃないんだわ。あっち見てくる」
「俺、少し休憩してていい?」
文書慣れしていないニコが、諦めるのは早かった。分厚い本を書架に戻し、はあ、と深いため息。
「いいわよ。見つかったら、声をかけるわ」
「うん、ごめん。……館長さん、ここの本って……」
新たな本は手に取らず、ニコは扉の前で私たちを待つ館長に、話しかけに行く。ニコらしい振る舞いだ。
穏やかなニコの声と、館長の低くて渋い声との応酬を聞き流しながら、私は本を探す。王城の設計図のようなものが見たい。あの城が建て替えられたという話は聞かないから、王都に城が構えられた時代のものを探せばよいはずなのだ。
「……微妙……」
王都の構造がいかに素晴らしいか、いかに恵まれた土地か、王城がどのような技術を使って作られたのか。そう賛美する文章は出てくるが、王城の内部構造を図にした本というものは、なかなか出てこない。
この奥の書架にも、配架するのを避けられているのだろうか。いくら王都の有力者しか来ないとはいえ、彼らが謀反を起こさないとは限らない。
手に取る本、手に取る本、どれも目的のものではない。関心を引く内容のものはたくさんあって、本当はそのまま読み進めたいところだが、心を鬼にして棚に返す。
「これも、書いてないわ」
たくさんの文字。その中に、お目当てのものは、一向に見つからない。
「ねえ」
「ひぃっ!」
いきなり背後から声をかけられ、心臓がびくんと跳ねた。
「急に話しかけないでよ、ニコ」
「ごめん、ごめん。館長さんが、王城について知りたいなら、絵本はどうかって」
「絵本?」
何を言っているのかと思うものの、ニコは大真面目な顔をしている。
「そう。お城はあれだけ広いし、きっと、中もそれなりに複雑だと思わない?」
「そうね」
「王城に住む王子様とかお姫様は、小さい頃、お城の中で迷わないように、絵本で勉強するんだってよ」
「そうなの……」
相変わらず扉の前に控えている館長を見ると、ぱちんとウィンクが返ってくる。キザな仕草だ。
「館長さんの受け売りなんだけどね」
そうだろう。さっきのウィンクが答えだ。ニコは館長の茶目っ気に気づかなかったらしく、そのまま書架に視線を向ける。
「絵本、絵本……」
「……あ、これかしら」
「見つけるのが早いね、イリス」
こういったことは、ニコより私の方が、少し得意だ。
取り出したのは、古びた絵本。薄くて、意識して探さないと、見落としてしまいそうな代物だ。表紙には、ドレスを着た女の子の絵。
「おしろのあるきかた……」
「いかにも、だね」
ページを捲る。
ごく普通の、かわいい、子供向けの絵本だった。
お姫様がある日、自分の部屋から、「冒険」に出る。廊下に出て、使用人に元気よく挨拶をしたり、料理人におやつを分けてもらったりする。
元気に挨拶をしましょう、という教訓じみたストーリーだ。城の床に赤い絨毯が敷かれているのはわかったが、そんなことがわかってもあまり意味はない。
お姫様は、楽しくなって、どんどん階段を下る。どんどん、どんどん。
挿絵は少しずつ暗くなり、怪しげな雰囲気に変わっていく。お姫様はそれに気づかぬ様子で、嬉しくなって、スキップしながら歩いている様子が描かれている。
やがてお姫様は、見たこともない扉の前まで来た。扉に手をかけると、ゆっくり開いた扉の隙間から、眩い光があふれてくる。
宝物かも、と思って、お姫様は扉を勢いよく開ける。
「すると、青い光が目を刺して、お姫様は、目が見えなくなってしまいました……?」
目に手を当てて無くお姫様。父である王と、母である王妃が、優しく彼女に言葉をかける。だから、地下には行ってはいけないんだよ、あそこには王都のすべてがあるからね、と。
「王都の、すべて」
「後味の悪い終わりかただね……」
ニコの言う通りだ。ほんわかした、小さな子供の冒険物語かと思っていたら、いきなり目が見えなくなるなんて。
「要するに、王城の地下にはむやみに入るな、って言いたいのよね」
「何かあるのかな」
何かあるも何も、あるとしたら、決まっている。その答えを口に出すのは、憚られた。なぜなら、エヘン! とわざとらしい咳払いが響いたからだ。
「そろそろ、よろしいですかな?」
「あっ……はい」
私は、絵本を書架に戻す。
「すみません、長居してしまって」
「いえ。助言がお役に立ったのなら、何よりですよ」
ニコと館長が話す後ろを、私はついて歩く。二人はにこやかに、言葉を交わしている。私はニコの袖を引いた。
「ねえ、一列で歩くんじゃなかったの」
迷惑だから並んで歩くなと言ったのは、ニコだ。なのにニコは、「ああ、そうだったね」なんて生返事をして、館長と会話を続けている。
なんなの、人には駄目って言っておいて。
少しむっとしながら歩いていると、正面から、ターニアがやってきた。
「遅かったですね、皆さん。そろそろ、お声かけしようと思っていたんですよ」
「もう閉館だからね。すまないね、任せてしまって」
「いえ」
「もう、閉館なの?」
この図書館は、遅い時間まで開館している。閉館ということは、もうほとんど夜だ、ということだ。
「ほんとだ、もう暗くなるわね」
図書館を出てみれば、お日様はすっかり傾いている。
「長いこといたからね、あの場所に」
「気づかなかったわ、全然」
「イリスの集中力を改めて見直したよ、俺。館長さんと話しながら、何度か声をかけたのに、全然気がつかなかったでしょ」
「そうなの?」
本当に、話しかけられたことにすら、全然気づいていなかった。唖然とする私を見て、ニコはふっと表情を緩める。
「俺、嫌いじゃないよ、イリスのそういうところ」
「……ありがとう」
同じことでも、人によって、捉え方が違う。私のそういう非社会的なところを、ニコは温かく受け止めてくれる。
手の冷たい人は心が温かいなんて言い方もある。空を飛ぶ時に、こうして繋ぐニコの手は、温かい。それでいてニコは、心も温かい。何事にも例外はあるものだ。
だからニコといると、私は楽だ。余計な気遣いがいらない。
「ニコは、あの絵本、どう思った?」
「地下の青い光って、例の樹と、青い水と関係ありそうだよね」
「やっぱり、そう思うわよね」
ベンジャミンの言っていた「祖母の話」では、その大樹がどこにあるかまでは、判然としなかった。しかし、絵本の情報を加味すると、地下にあると思われる。
「それにしても、後味の悪い終わりかただったけれど」
「あの、王都のすべてって、どういうことかしらね」
「さあ……」
かつて王都は緑豊かな街ではあった。かといって、それが全てかと問われると、そうではない。
砂漠化した王都しか知らないニコは、ますますわからないはずだ。肩をすくめ、首を傾げるのみである。
「子供が無闇に地下に入るなっていう、強烈な教訓なのはわかったよ」
「ええ。正直言ってそれ以上は、憶測の域を出ないわ。結局、王城の内部は、何もわからなかったけれど……」
「多分俺たちは地下に出るだろうってことは、わかったから。それでいいよ、あとはなんとかしよう。ふたりで」
ニコが、私の手を掴む力を、僅かに強める。そこに、ニコの気持ちが表れている気がした。
「ふたりで、ね。王都の魔導士のあり方を変えたら、私たちは間違いなく、名を上げられるわ」
魔力石の生産を止めれば、魔導士は自らの力を高めざるを得なくなる。私たちにはノウハウがたくさんあるから、砂出しの皆にしたように、あれこれとアドバイスをすることができる。
私は、ニコとふたりで、身を立てるのだ。その目的に近づくには、おそらく、現時点で最適の道筋であろう。
「どういう名かは、わからないけどね」
「そうね」
道筋の最初に、王城へ侵入するということがある以上、それが汚名になる可能性もないではないが。
「ニコとなら、それを挽回するのも楽しいわ。捕まる時は一緒よ」
「ああ……こないだとは違って、ね」
「そう。離れたら困るわ」
監禁されたあの時、ニコさえ近くにいれば、どれだけ心強いと思ったことか。ニコは、私と繋いだ手を離し、代わりに肩に回した。
「俺は、イリスと離れたら死んじゃうからね」
「そういえば、そんな設定だったわ」
方便はどうであれ、お互いそう強く思っていれば、きっと、一緒にいられる。
ニコの魔法と、私の魔力。それが合わされば、ひとりではできないような大きな力だって、生み出せる。どんな状況に置かれても、きっと大丈夫。
「そういえば、イリス。俺と館長さんの会話を、聞いてた?」
肩越しに話題を変えるニコ。私は首を振った。
「たぶん聞いてないわ。どの会話?」
「あの人、俺たちの話を、ずいぶんまともに聞いていたみたいでさ。『王城の内部なんて、どうして気になるんですかね』って、ずいぶん聞かれたよ」
「まあ、気にするわよね。ベンジャミンに問い合わせが入ったら、面倒なことになりそうだわ」
パトロール隊のふたりと、同じパターンだ。職務上彼らは、知り得たことを、上に確認したり、報告したりしなければならない。
ベンジャミンが、私たちが王城に行く気だと知ったら、かなり面倒なことになる。絶対に、ついていくと言い張るからだ。
「確実に決行するなら、今日かしらね」
「そうだね。今日なら、たとえベンジャミンさんが察しても、何もできない」
私とニコは、そこに意見の一致を見た。
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