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I and demon
芦屋志路
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8月の初旬、世間が夏休みムードに包まれる中、どうも不吉なニュースがテレビやSNSで話題になっているようであった。
「今回で3人目ですかー。なかなか捕まりませんね、犯人」
朝のテレビニュースを見ながらこんなことを言うのは、サンズ株式会社(仮)の事務員兼清掃担当の常呂紘代だ。
「まだ犯人がいるとは決まってないよ、紘代くん。想像だけで物事を言うのは君の悪い癖だな」
こう返すのはサンズ株式会社(仮)のサンズ社長。金髪グラサン自称日系フランス人の見た目不審者だ。
「あんまり紘代を悪く言わないでやってください社長。泣かれたら慰めるの俺なんですよ」
そしてこう注意するのはサンズ株式会社(仮)の実務担当こと芦屋志路こと俺である。
俺達は今現在、ボロビルの2階を借りた場所で朝食を摂とっている。コーヒー、トースト、目玉焼き、一般的な朝食だ。
部屋にはソファーが2つあるくらいであり、壊れかけの電灯と飾り気のないコンクリ製の壁やタイルのせいでエラく殺風景に見える。
「本人の前で言うことじゃないですよそれ……。まあ、僕が涙脆いのは事実ですが……」
見かけによらず大食いな紘代は、本日3枚目のトーストを平らげながらそう指摘した。
綱世は少女に間違われても仕方の無いほど美しい顔立ちをしているが、実際は列記とした男性であり、ただの健全な男子高校生だ。Hな本とか隠し持ってるに違いない。
「少しおちょくっただけだ。気にすんな」
「気にしますよぉ」
いじいじしている紘代は放っておき、俺は本題へと取り掛かるべく、わざわざ早朝に俺を呼び出した社長に目を向ける。
「それで、今日はなんの用があって呼んだんですか?」
ああ、忘れていたよ。なんて聞き捨てならない事を呟きながら、社長は今朝届いていたばかりの新聞をこちらに投げ渡し、こう問いかける。
「その中に、かなり不可解な事件が1つある。探してみたまえ」
不可解な事件……ねぇ。
とりあえず国内の事件に絞り、そしてその中から俺達の仕事に関連のありそうなものだけを拾い出す。
その結果残った記事は、「女結婚詐欺師逮捕」の記事と先程も話題に上がっていた「仲多市三人行方不明」の記事であった。
「俺の見た感じではこの2つですね」
社長はコーヒーをずずずっと啜り「少し温いな」とお小言を言った後、正解を告げた。
「それで、どっちが今回の仕事と関係してるんです?」
そう問うと、その言葉を待っていたと言わんばかりのニヤケ顔でこう言った。
「どっちもだよ」
「どっちもって。詐欺と失踪じゃ全然関連性がありませんよ?」
と、横で話を聞いていた紘代が口を開く。
確かに、字面を見る限り、この2つの事件には全く関連性がない。詐欺師も行方不明者も全員が女性だと聞くし、これでは加害者と被害者の関係も成り立たない。
となると、考えられるのは。
「悪魔憑きですか」
「ピンポン。両方とも、ある悪魔憑きが関係してるようだね」
「それで俺を呼んだってことですね」
その通り。と社長はニヤニヤ笑いを続けながら頷く。悪魔憑きという単語を聞いて、紘代も納得したようだった。
「やってくれるかい。芦屋くん」
「それを聞くのは意地が悪いですよ、社長」
「すまないね。こういう性分なもので」
まったく反省してなさそうな金髪は、目的地等必要な情報の一通り書かれた紙を手渡す。
「あ、それと。今回は君に助っ人を用意したからね」
「は?助っ人?」
「うん。今回の事件にピッタリの人物さ」
ええー。面倒くさそうな臭いしかしないんだが。
「いや、別にいいですよ。俺あんまり人と関わるの得意じゃないし、何より危険ですし」
そんな俺の言葉をちゃんと聞いていたのか、社長は「いいからいいから」の一点張りで俺を無理矢理仕事に向かわせるのだった。
「ていうか、悪魔憑きが関係してるってことは犯人いるんじゃないですか!!」
紘代、お前の怒りは正しい。
「今回で3人目ですかー。なかなか捕まりませんね、犯人」
朝のテレビニュースを見ながらこんなことを言うのは、サンズ株式会社(仮)の事務員兼清掃担当の常呂紘代だ。
「まだ犯人がいるとは決まってないよ、紘代くん。想像だけで物事を言うのは君の悪い癖だな」
こう返すのはサンズ株式会社(仮)のサンズ社長。金髪グラサン自称日系フランス人の見た目不審者だ。
「あんまり紘代を悪く言わないでやってください社長。泣かれたら慰めるの俺なんですよ」
そしてこう注意するのはサンズ株式会社(仮)の実務担当こと芦屋志路こと俺である。
俺達は今現在、ボロビルの2階を借りた場所で朝食を摂とっている。コーヒー、トースト、目玉焼き、一般的な朝食だ。
部屋にはソファーが2つあるくらいであり、壊れかけの電灯と飾り気のないコンクリ製の壁やタイルのせいでエラく殺風景に見える。
「本人の前で言うことじゃないですよそれ……。まあ、僕が涙脆いのは事実ですが……」
見かけによらず大食いな紘代は、本日3枚目のトーストを平らげながらそう指摘した。
綱世は少女に間違われても仕方の無いほど美しい顔立ちをしているが、実際は列記とした男性であり、ただの健全な男子高校生だ。Hな本とか隠し持ってるに違いない。
「少しおちょくっただけだ。気にすんな」
「気にしますよぉ」
いじいじしている紘代は放っておき、俺は本題へと取り掛かるべく、わざわざ早朝に俺を呼び出した社長に目を向ける。
「それで、今日はなんの用があって呼んだんですか?」
ああ、忘れていたよ。なんて聞き捨てならない事を呟きながら、社長は今朝届いていたばかりの新聞をこちらに投げ渡し、こう問いかける。
「その中に、かなり不可解な事件が1つある。探してみたまえ」
不可解な事件……ねぇ。
とりあえず国内の事件に絞り、そしてその中から俺達の仕事に関連のありそうなものだけを拾い出す。
その結果残った記事は、「女結婚詐欺師逮捕」の記事と先程も話題に上がっていた「仲多市三人行方不明」の記事であった。
「俺の見た感じではこの2つですね」
社長はコーヒーをずずずっと啜り「少し温いな」とお小言を言った後、正解を告げた。
「それで、どっちが今回の仕事と関係してるんです?」
そう問うと、その言葉を待っていたと言わんばかりのニヤケ顔でこう言った。
「どっちもだよ」
「どっちもって。詐欺と失踪じゃ全然関連性がありませんよ?」
と、横で話を聞いていた紘代が口を開く。
確かに、字面を見る限り、この2つの事件には全く関連性がない。詐欺師も行方不明者も全員が女性だと聞くし、これでは加害者と被害者の関係も成り立たない。
となると、考えられるのは。
「悪魔憑きですか」
「ピンポン。両方とも、ある悪魔憑きが関係してるようだね」
「それで俺を呼んだってことですね」
その通り。と社長はニヤニヤ笑いを続けながら頷く。悪魔憑きという単語を聞いて、紘代も納得したようだった。
「やってくれるかい。芦屋くん」
「それを聞くのは意地が悪いですよ、社長」
「すまないね。こういう性分なもので」
まったく反省してなさそうな金髪は、目的地等必要な情報の一通り書かれた紙を手渡す。
「あ、それと。今回は君に助っ人を用意したからね」
「は?助っ人?」
「うん。今回の事件にピッタリの人物さ」
ええー。面倒くさそうな臭いしかしないんだが。
「いや、別にいいですよ。俺あんまり人と関わるの得意じゃないし、何より危険ですし」
そんな俺の言葉をちゃんと聞いていたのか、社長は「いいからいいから」の一点張りで俺を無理矢理仕事に向かわせるのだった。
「ていうか、悪魔憑きが関係してるってことは犯人いるんじゃないですか!!」
紘代、お前の怒りは正しい。
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