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第32話 花、時々手錠
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「これは一体……」
目が覚めると、そこには見慣れた天井があった。
それは紛れもなく俺の住む廃ビルの一室で、目を覚ます場所としては全く違和感を覚えたりしないのだが……身体の左右に、猛烈な違和感を感じる。
ギギギ、と、俺は錆びついたロボットのように顔を右側へ向けると、そこには、俺の右腕を枕代わりに、俺の太ももに足を絡めてスヤスヤと寝息を立てる静子ちゃんが。
ギギギ、と、今度は左側へと顔を向けると、こちらにも俺の左腕を枕代わりに、猫のように丸くなっているネココの姿。
うーん……どうやら俺は、左半身は霊体のまま、右半身だけ半実体化するという器用な特技を覚えたようだ。
……って、そうじゃなくて。
「これは一体、どういう状況だ?」
確か俺は、昨日、宇井さんから静子ちゃんの話を聞いて……そのまま眠れない夜を過ごして朝を迎えて……どうやら徹夜で夏休みの宿題を終えたらしい静子ちゃんがネココと一緒に遊びに来て……。
ああ……ちょっと休憩するだけのつもりで膝枕をしてもらって、そのままぐっすり寝ちゃったのか。
いやまぁ、女子高生に膝枕で頭を撫でられるという状況に加えて、ささやきASMRをされてしまった日には、寝落ちしない方がおかしいだろう。
しかし、しっかり敷かれた布団の上で寝ているところを見るに、膝の上で寝てしまった俺を確認した静子ちゃんが、布団を敷いてそっちで寝かせてくれたのだろう……本当に優しい女の子だ。
それで、静子ちゃんも徹夜したって言ってたし、眠くなって、一緒に寝た、と……ネココは……知らん、猫ってのは昼間でもよく寝る生き物だろう。
首だけ動かして外を確認すると、まだ日は高かったので、そこまで大げさな時間は経っていないように見える。
だが、あんまり寝すぎて、夜眠れないのは身体に悪いだろうし、とりあえず二人を起こした方がよさそうだな。
「おーい、静子ちゃん、ネココ、そろそろ起きろー」
「うーん……あと5分……」
「うぉっ」
俺があまり驚かせないようにと少し控えめに声をかけると、静子ちゃんは起きるどころか、そのまま右腕を俺の胸元を伝って左肩へと回してきて、先ほどよりもしっかりと抱き着かれる形になってしまった。
「うにゃー、ネココはまだまだ食べられるニャ……」
そしてネココの方も、静子ちゃんのご飯を食べている夢でも見ているのか、そんな寝言を言うだけで起きる気配はない。
右側からは現役女子高生に抱き着かれ、左側では逆に抱きかかえているような形で少女が丸くなっている……。
俺自身は何もしていないし、俺が望んでこんな状況になったわけでもないが……今この状況を写真にでも取られたら、そんな言い訳をさせてもらえる機会すら訪れず、問答無用で独房に放り込まれそうだ。
右側の胸元辺りに押し付けられている柔らかな感触は捨てがたいという気持ちは無くはないが、ここは誰かに見られる前にさっさと二人を起こさないと……。
「すみませーん、こちらに管野 錬が訪ねていたりしま……せん……か?」
と、そんなタイミングで、ノックもせずに外から窓をすり抜けて入ってくる、ミニスカポリス……。
まず、反射的に声のした方を見た俺と目が合い、次に彼女の視線は俺の右側へと移り、そして左側へと移った……。
「いや、あの、これはですね……なんというか、不可抗力と言いますか……」
「たっ……たた……た、逮捕ー!!!!」
そうそう、こういう時に限って、今一番会いたくない人物に出会ったりするもんだよなぁ……。
俺は自分自身に黙とうをささげると、いつも通り人の話に全く耳を傾けず、顔を赤らめて手錠を取り出し、俺をビシッと指さし叫ぶ美鈴ちゃんを見守った……。
目が覚めると、そこには見慣れた天井があった。
それは紛れもなく俺の住む廃ビルの一室で、目を覚ます場所としては全く違和感を覚えたりしないのだが……身体の左右に、猛烈な違和感を感じる。
ギギギ、と、俺は錆びついたロボットのように顔を右側へ向けると、そこには、俺の右腕を枕代わりに、俺の太ももに足を絡めてスヤスヤと寝息を立てる静子ちゃんが。
ギギギ、と、今度は左側へと顔を向けると、こちらにも俺の左腕を枕代わりに、猫のように丸くなっているネココの姿。
うーん……どうやら俺は、左半身は霊体のまま、右半身だけ半実体化するという器用な特技を覚えたようだ。
……って、そうじゃなくて。
「これは一体、どういう状況だ?」
確か俺は、昨日、宇井さんから静子ちゃんの話を聞いて……そのまま眠れない夜を過ごして朝を迎えて……どうやら徹夜で夏休みの宿題を終えたらしい静子ちゃんがネココと一緒に遊びに来て……。
ああ……ちょっと休憩するだけのつもりで膝枕をしてもらって、そのままぐっすり寝ちゃったのか。
いやまぁ、女子高生に膝枕で頭を撫でられるという状況に加えて、ささやきASMRをされてしまった日には、寝落ちしない方がおかしいだろう。
しかし、しっかり敷かれた布団の上で寝ているところを見るに、膝の上で寝てしまった俺を確認した静子ちゃんが、布団を敷いてそっちで寝かせてくれたのだろう……本当に優しい女の子だ。
それで、静子ちゃんも徹夜したって言ってたし、眠くなって、一緒に寝た、と……ネココは……知らん、猫ってのは昼間でもよく寝る生き物だろう。
首だけ動かして外を確認すると、まだ日は高かったので、そこまで大げさな時間は経っていないように見える。
だが、あんまり寝すぎて、夜眠れないのは身体に悪いだろうし、とりあえず二人を起こした方がよさそうだな。
「おーい、静子ちゃん、ネココ、そろそろ起きろー」
「うーん……あと5分……」
「うぉっ」
俺があまり驚かせないようにと少し控えめに声をかけると、静子ちゃんは起きるどころか、そのまま右腕を俺の胸元を伝って左肩へと回してきて、先ほどよりもしっかりと抱き着かれる形になってしまった。
「うにゃー、ネココはまだまだ食べられるニャ……」
そしてネココの方も、静子ちゃんのご飯を食べている夢でも見ているのか、そんな寝言を言うだけで起きる気配はない。
右側からは現役女子高生に抱き着かれ、左側では逆に抱きかかえているような形で少女が丸くなっている……。
俺自身は何もしていないし、俺が望んでこんな状況になったわけでもないが……今この状況を写真にでも取られたら、そんな言い訳をさせてもらえる機会すら訪れず、問答無用で独房に放り込まれそうだ。
右側の胸元辺りに押し付けられている柔らかな感触は捨てがたいという気持ちは無くはないが、ここは誰かに見られる前にさっさと二人を起こさないと……。
「すみませーん、こちらに管野 錬が訪ねていたりしま……せん……か?」
と、そんなタイミングで、ノックもせずに外から窓をすり抜けて入ってくる、ミニスカポリス……。
まず、反射的に声のした方を見た俺と目が合い、次に彼女の視線は俺の右側へと移り、そして左側へと移った……。
「いや、あの、これはですね……なんというか、不可抗力と言いますか……」
「たっ……たた……た、逮捕ー!!!!」
そうそう、こういう時に限って、今一番会いたくない人物に出会ったりするもんだよなぁ……。
俺は自分自身に黙とうをささげると、いつも通り人の話に全く耳を傾けず、顔を赤らめて手錠を取り出し、俺をビシッと指さし叫ぶ美鈴ちゃんを見守った……。
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