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第45話 公務員2人の場合
しおりを挟む「では、次は私たち公務員組みの話でもしましょうか」
「そうですね、最終的な仕事の内容や必要な工程の一部に異なる点がありますが、その道のりには重なる点は多いですし、まとめてお話ししましょう」
るあちゃんの職業説明が終わり、次に話し始めたのは、警察官の苦掘 美鈴ちゃんと、地方公務員の宇井 市代さんの二人。
突発的に始まった職業説明会も後半戦に入ったが、たったひとりの受講生である四条 静子ちゃんは、まだまだ真面目な表情で大学ノートにメモを取っている。
おそらく学校でも同じようにノートを取っているのだと思うが、綺麗ながらも可愛らしい字で、ところどころにカラーマーカーが引かれたり、おそらく話してくれている人のデフォルメされたイラストであろうキャラクターが描かれていたりと、あとで見返しても楽しくなりそうなノートになっているのが見て取れた。
「まず、公務員になるためには、大学卒業は殆ど必須と捉えていいと思います。厳密にはそうでない場合もありますが、将来的に人を指導するような立場を目指していくためにも、大学卒か、欲を言えば大学院卒の学歴は欲しいですね」
「民間企業に就職する場合でも、やはりそれなりの役職を目指す場合はそれなりの学歴を求められることが多いようですから、経済的に問題がなさそうであれば、大学は卒業しておいて損はないのではないでしょうか」
「確かになぁ……もちろん、中卒や高卒で活躍している人はいるし、昔と比べたら、企業もその辺りにあまり固執しないようになってきているみたいだけど、未だにそれを採用基準にしている会社があるってのも事実だ」
「いやー、ホントそれっすよね。あと、単位が足りないとかの理由で留年とかもしない方がいいっすよ、実際にそれで苦労した俺っちが言うんだからこれは間違いない」
「え? お前、留年してたのか?」
「あははー、まぁ、ちょっと飲みサークルの活動が忙しくて……」
「……それは普通にお前が悪い」
「私はグラビアアイドルの仕事関連とかで色々あって、大学を途中で辞めちゃってるんだけど、就職先とか関係なく、学校で出来た友達と話すのは楽しかったから、出来れば卒業まで通いたかったなぁーって思うよ」
「YO! そうは言っても、高卒のオレでも食っていけてたし、人の上に立つとかこっちから願い下げだから我が人生に悔いはないYO! まぁ、俺より良い給料もらってる奴らは軒並み俺より良い学歴だったのが、ちょっと悔しかったけどYO!」
「なるほど……まとめると、将来目指したい人生次第ではあるけど、特に進学しない理由がなさそうなら、進学した方がよさそう、という感じですね」
美鈴ちゃんや宇井さんから学歴の話題が出て、俺や錬が感想を言うと、るあちゃんにキーヤンもそれに続く。
皆が皆、自分の意見を好き勝手に言っているから全然まとまりがないのだが、静子ちゃんはそんなバラバラな意見をうまくまとめて吸収したようだ。
「……それで、就職先によってはその限りではないかもしれませんが、もし公務員を目指すなら、受けることになる試験がそれなりにありますから、進学した後ももちろんですが、進学する前、今の内から勉強の方は真面目に取り組んでおいた方がいいですね」
「一般教養の知識だけでなく、警察官を目指すならそのための専門知識、地方公務員などを目指すなら地域の制度や改善したい点などの意見を面接で求められることもありますから、目指したいことに対する勉強を頑張れる人でないと難しいかもしれません」
「そういえば、公務員の試験では論文を求められるって聞いたことがあるんだけど、あれって本当なのか?」
「ええ、そうですね、災害対策や、環境問題、地域活性化など、その時に出題されるテーマに沿った論文が求められます」
「まじか、じゃあやっぱり大学進学は必須だろ、高校じゃ論文の書き方なんて習わなかった気がするぞ? 今はどうなのか知らないけど」
「え? 論文って学生が書いたりするんすか?」
「お前、大学卒業したんだよな?」
「したっすけど?」
「あれ……論文を書かされない大学ってあるのか?」
「……公務員の試験には、教養と論文と面接がある、と」
その後も、美鈴ちゃんや宇井さんの進路相談に対して、俺たち他の連中が茶々を入れ、それを静子ちゃんがノートにメモする。ということを繰り返した。
この辺りから、そういえばネココのやつが静かだなと思ったんだが、視線を彷徨わせてみると、どうやら公務員二人の話は彼女の興味をそそらなかったようで、いつの間にやら静子ちゃんの膝に頭を乗せて眠っていたようだ。
何とも羨ま……自由気ままなやつだが、まぁ、彼女の出番は終わっているし、ペンを持つ方とは違う手でその頭を優しく撫でている静子ちゃんも楽しそうなのでいいだろう。
「HEY! YO! ついにオレの出番がやってきたぜ!」
そしてやってきた、進路相談会の最終局面……最後のエントリーである彼は、いったいどんな話をしてくれるのだろうか。
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