地縛霊おじさんは今日も安らかに眠れない

naimaze

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第65話 地縛霊おじさんは

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 最寄駅は、都心まで電車で二時間圏内。

 町の人口もそれなりに多く、駅の近くには大きなビルや商業施設も立ち並んでいる、決して田舎ではないが、都会と呼べるほどでもない場所……。

「……で、結局ここに住み続けることにしたんですか?」

 そんな場所にある廃ビルの1階で、俺たちは、掃除をして多少は綺麗になったその空間に、様々な装飾を施していた。

「ああ、解体の話は無くなったし、持ち主の雄二さんに正式な許可を貰ったし……あとは、まぁ、なんだかんだ住み慣れちゃったしな」

 作業を続けながらそんな質問をしてきた静子ちゃんに、俺はそう答える。

 結局、あれから俺は何故か、この廃ビルの敷地から出られるようになっていた。
 地縛霊ではなく、ただの幽霊になっていたのだ。

 もうこの廃ビルに縛り付けられる理由もないし、移動しようと思えば別にどこにだって住処を変えられる。

 だけど、住めば都というかなんというか、長いことここで暮らしていたせいか、騒音被害にあったりなんだりで嫌なことも多かったこの場所に愛着のようなものも湧いてしまっていたのだ。

「それに、雄二さんの話だと、ここはその内、どこよりも住みやすい場所になるんだろ?」

「はい、そうみたいですね。話を聞いた時は本当にビックリしました。まさか、叔父さんが幽霊さんたち向けの事業を始めるなんて」

 あの事件から雄二さんにどんな心境の変化があったのかは知らないが、彼は宇井さんと相談を重ねて、原宿に建ち並ぶ他のお店のように、この廃ビルを幽霊も利用できる施設として再利用ことにしたらしい。

 その一つとして、今俺が住んでいる真ん中の棟を幽霊も住めるマンションとして生まれ変わらせるそうで、改装工事が済めば、防音にもそれなりに配慮された、おしゃれなリノベマンションになるそうだ。

 彼の兄、静子ちゃんの父親も色々な事業のオーナーをやっていたらしいが、その弟である雄二さんも同じような仕事をしているようで、やると決めればそれを遂行するだけの力を持っているのだから……静子ちゃんの家系って、実はどこかの名家だったりするのか?

「静子にゃーん、レースのカーテン、取り付け終わったニャー」

 そんなことを考えていると、高所作業を任されていたネココがそのまま静子ちゃんの胸に飛び込んできて、そのまま子供のように抱き着いた。

 あの事件で目覚めたネココの能力は、予想通り、俺と同じ半実体化の能力だったらしく、そうと気づいても、物体を霊体化する方の力との切り替えがうまくいかず、ここまで自在に使い分けられるようになるまで相当な苦労をしたらしい。

「お前もすっかり新しい力を使いこなしてるなぁ」

「へっへーん、礼二くんにお尻を叩かれながら練習した甲斐があったニャ!」

「……礼二さんに、お尻を……?」

「え、あ、いや……それは……おい、ネココ、誤解を招くようなことを言うな!」

「ニャー! だって、本当のことだニャ! 静子ちゃん、ネココの愚痴を聞いて欲しいニャ……」

「ええ、後で詳しくお聞きしましょうか……礼二さんと一緒に……」

「いやー、俺は遠慮しておくよ……」

 勘違いしないで欲しいが、別に俺は何もいやらしいことはしていない。

 ただ、ネココがこの廃ビルの壁を使って、すり抜けずに押し続けるような練習をしている時に、なんだか壁の中間で中途半端に半実体化したようで、こちらに尻だけ突き出して壁にハマっている間抜けな姿をしていたので、爆笑しながらその尻を叩いただけだ。

 叩いたのはその場面でたまたま通りかかったあの時だけだし、そのあと普通に助けてやった上に、壁を霊体化すれば自力で抜け出せるだろとアドバイスもしてやったので、とりあえず許して欲しい。

「うぃーす、先輩、こっちは終わったっすよー」

「お、おう、俺の方もちょうど終わったところだ」

「? 先輩、なんか静子ちゃんが幽霊にも出せないようなオーラを出しながらこっちを睨んでるっすけど、何かあったんすか?」

「いやー、何もないぞー? さーて、あとは真ん中にカーペットを敷くだけだなー、さっさと取り掛かるぞー」

 俺はそう言って、冷たい視線を背中に受けながら、錬の肩を叩いて、その場を立ち去った……。

 長々と説明していなかったが、今ここで他の幽霊たちと総出で行っているのは、この廃ビル1階を、ちょっとした教会のような内装にする作業だ。

 まぁ、毎度のごとく、これも静子ちゃんが妙な行動力を発揮して実現することになったのだが……結論から言うと、幽霊カップルの結婚式を挙げることになった。

 その最初のターゲットは、もちろん、錬と美鈴ちゃんのカップルなのだが、メイクや髪のセットなどで少し前から席を外した美鈴ちゃんも含めて、こうして自分たちの手で式場を準備しているのだから、なかなかに斬新で人手のない結婚式だ。

 それもそのはずで、この世界には、幽霊が結婚式を挙げられる式場なんて存在しない。
 それどころか、幽霊の結婚を取り持つ神父様や牧師様も居なければ、幽霊の結婚を認める自治体も存在しない。

 よくある誓いの言葉に、死が二人を分かつまで、とあるように、宗教上の理由もあるのか、世間では幽霊の結婚は認められていないのだ。

 だけど……。

「そんなの絶対におかしいですっ! 悲しすぎますっ!」

 と異議を唱えた、世界の常識に反発する若者がひとり……。

 恋愛に対しては何故か普段の彼女からは考えられない行動力を発揮するその女子高生は、この廃ビルの持ち主である叔父に訴えかけ、幽霊界の地方公務員である宇井さんに相談して、殆どひとりでこの場をセッティングしてしまったのだ。

「相変わらず、一度やると決めたら、とことん無茶する子だよなぁ」

「ははは、先輩も大変な嫁さんを持ったっすねー」

「いや、俺と静子ちゃんは別にそういう関係じゃないから……」

「何言ってんすかー、あんなに大勢の前で告白大会をしておいてー」

「うぐっ……この、お前! 忘れろぉぉおおお!!!」

 俺は拳を振り上げながら、錬を追いかけまわす。

 確かに、あの日、あの時、静子ちゃんに好きだとは言ったが、別に、それが恋愛感情だとは言っていない……言っていない、よな?

 これは純粋に、なんというか……親心、みたいな……そう、保護者的な目線で、子供を愛する親の気持ちみたいなものであって……。

「YO! 男同士の追いかけっこなんて気持ち悪いだけだぜYOU!」

「いや、俺だって追いかけたくて追いかけているわけじゃ……お? キーヤン、意外とそういう服も似合うんだな」

「そうだろ? オレくらいになると、服の方がオレに合わせてくれんのYO!」

「身体の動きは合ってないっすけどね」

 いつも通りキレッキレのハンドサインをかましながら登場したのは、いつものジャラジャラとしたロックでパンクな服ではなく、ビシッとした白いタキシードに身を包んだ、キーヤンこと佐藤 吉一郎。

 錬が言うように、身体の動きはその服装に合っていないが、元々顔も整っていて身長も高いせいか、日本人が着るとどうしても着られている感が出てしまうタキシードを着ても、そういった違和感が出ないくらいには似合っている。

「それより、YOUたちもそろそろ着替えてきなYO!」

「あ、やば……そんな時間か……んじゃ、先輩、俺っちは着替えに行ってくるっす」

「おう、ビシッと決めてこい」

 そんな風に着替えに行くのを見送った錬はともかく、どうしてキーヤンが結婚式の参列者としてはふさわしくない白のタキシードなんか着ているのかと言うと……彼も錬と同じく、今日の主役だからだ。

「キーヤンも、よくこのタイミングで告白したよなぁ」

「おいおい、その原因を作ったのは誰だYO!」

「まぁ、俺か……」

 あの事件の後、静子ちゃんと俺の告白合戦の影響を受けたのか、俺の知らないところで、宇井さんとキーヤンが恋人として付き合うことになったらしい。

 宇井さんの方から告白したのか、キーヤンの方から告白したのかが気になるところなのだが、二人はプライバシーに関わることだからと言って黙秘を貫くし、その時のの反応を見ても、ちょっとどちらが言ったのか分からなかった。

 ……だがまぁ、なんか、とてつもなく甘酸っぱい雰囲気だけは伝わってきた。
 そしてそのあとすぐにこうして結婚式を挙げるんだから、電撃すぎる結婚だな。

 そうは言っても、美鈴ちゃんによると、二人の、仕事仲間以上、恋人未満な関係は長かったらしいし、彼女から見たら既に恋人を通り越して熟年夫婦みたいな関係だったらしいし、別にこの結果自体におかしなことは無いのだろう。

「お前さんはまだ着替えないのかYO!」

「え? 俺? まぁ、着替えなくは無いけど、俺はお前らと違って普通のスーツだからな。そんなに焦らなくていいだろ」

「HeyYo! スーツの新郎なんてカッコ悪いぜ?」

「だから、俺は別に結婚しないって……」

 全く、あの日から事あるごとに色々な奴らからからかわれて、めちゃくちゃ恥ずかしいぜ。
 その原因を作ったのは俺自身だが、静子ちゃんとはそんな関係じゃないし、もし仮にそうだとしても、彼女はまだ未成年だ……法的に結婚できないだろうが。

「でもそうだな、装飾も一通り終わったし、俺もそろそろ着替えてくるか」

「YO! ビシッと整えてくるんだぜ?」

「だから……はぁ……まぁ、髪型くらいは気を使ってくるよ」

 俺は背中に熱いハンドサインを受けながら、更衣室として使われている部屋へと向かった……。


 のだが……。


「どちらの服になさいますか?」

 更衣室で俺を迎えたのは、服飾店の店員のような、見知らぬ人。

 ラックに並べられていたのは、白、黒、ネイビー、ライトグレー、シルバーなど、色とりどりのタキシード。

「えっと……ここは新郎の控室じゃなくて、更衣室だって聞いたんですけど……」

「はい、久場 礼二様の更衣室兼、控室になりますっ」

「……」

 嵌められた……。

 静子ちゃんがこの結婚式のプランナーである時点で、気づくべきだった……。
 彼女が、この機会に、何もしてこない筈がない……。

「あー、ちなみに、注文していたレンタルスーツは……?」

「スーツ? 私はタキシードの注文しか承っていませんが……」

 くっ……。

 俺は確かに、あの日、静子ちゃんに結婚式に参列する服は持っているか聞かれて、持っていないと答えて、その場でカタログを開いた静子ちゃんに促されるようにして、地味で目立たないスーツを選んだはずだ……。

「じゃあ、レンタルの注文をしておきますねっ」

 と、何でもないような顔で言っていたから任せたのに……。
 ふたを開けてみれば、これか……策士過ぎるだろ……。

「どちらになさいますか? ちなみに、佐藤 吉一郎様は白、管野 錬様はネイビーを選ばれたようですので、その2つと被らない色がいいかと思われます」

 いや、まだだ……まだ取り繕える。
 この中でも目立たない色のタキシードを選んで、普通のネクタイをしたら、ギリギリ参列者として通用するはずだ……。

「あー、じゃあ、ライトグレーのタキシードで……タイは蝶ネクタイじゃなくて、普通のネクタイでお願いします……」

「普通のネクタイですか? もちろん、そちらもご用意していますが、蝶ネクタイの方が華やかですよ?」

「いや、いいんです、俺にはそっちの方が合ってるんで」

「そうですか、かしこまりましたっ。それにしても、2組同時の結婚式はたまに聞いたことがありますけど、3組同時の結婚式なんて珍しいですねー」

「あ、あはは……そうですねー」

 店員さんは悪くない……ここは無難に乗り切って、何食わぬ顔で、参列側に回ろう。


 ……と、思っていた時期が、俺にもありました。


「新郎の入場です」

 その声と同時に、結婚式は、厳かに始まった……。

 俺は、錬やキーヤンと一緒に、バージンロードを歩いていた……。

「……」

 ……だって、仕方ないじゃないか。

「続いて、新婦の入場です」

 扉が開き、花嫁が現れる……。

 綺麗な純白のウェディングドレスを身に纏った、美鈴ちゃん、宇井さん……そして……。

 ……静子ちゃん。

 その姿は、俺を騙すために他の二人よりも短い準備時間で整えることになったとは思えないほど美しくて……。
 多分、保護者的なひいき目とかも入っているのだろうが、他の二人よりもキラキラと眩しくて、この中で一番華やかな印象を受ける。

 美鈴ちゃんや宇井さんが一緒に歩いている人は、父親がいないため、職場の上司にお願いしたと言っていた。
 そして、静子ちゃんが一緒に歩いているのは、もちろん、叔父の雄二さん。

 静子ちゃんの隣に並びながら、俺の事をめちゃくちゃ睨んでいるが、彼も、今回の件の被害者だ……。
 俺と同じく、直前まで花嫁として参加することを知らされておらず、宇井さんの結婚式に参列するだけだと呼ばれてみれば、花嫁姿の静子ちゃんが待っていたそうだ。

 その時の心境は、たぶん、俺以上に心にダメージを負う物だっただろう……。

 だが……。

「わたしと一緒にバージンロードを歩いてください。お義父さん」

 なんて、ウェディング姿をした静子ちゃんに涙ぐまれたら、断ることなんて出来ないだろう。
 しかも、今までは叔父さん呼びだったのに、お義父さん呼びだ……効果は抜群だったに違いない。

 かくいう俺も……。

「こんな格好をしたわたしを、ひとりで放置するんですか?」

 なんて涙ぐまれて、そのまま流されてしまったたちだ……。

 まぁ……これは実際の結婚じゃない。
 法的な効力も無ければ、神父様の代わりを務めるのは、宇井さんの上司の知り合いらしく、見た目が一番それっぽいからというだけで連れてこられた一般幽霊だ。

 ここは教会じゃないどころか廃ビルの1階だし、俺たちが着ているタキシードやウェディングドレスを用意したのだって錬の職場の伝手だし、本当に何もかもが手作り感満載の、いわば、ままごとのようなものだ。

 ……だけど。

「新郎……病めるときも、健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」

「……誓います」

 俺のこの言葉に、嘘はない。

 結婚しているかどうかなんて関係なく、俺は静子ちゃんのことが好きだし、彼女の心が俺から離れるまでは、支えてあげたいと思っている。

 何度もそう言っているように、これは、たぶん、恋愛の気持ちが100%じゃない。

 もちろん、彼女は、女性として魅力的だし、そう言った面での好きという感情もある。
 だけど、彼女がもし俺から離れるなら、それで彼女が今よりも幸せになれるなら、それでもいいとも、思ってしまっている。

 それでも誓おう……。
 その時が来るまで、俺は、彼女のことを、愛を持って、支え続けると。

「新婦……病めるときも、健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」

「……はいっ、誓いますっ」

 リンドンと、どこから持ってきたのか、果たしてそれは持ってきていい物だったのか、ネココが持ってきた鐘が鳴り響き、俺たちの結婚を祝福する。

 指輪の交換は無い……。
 誓いのキスもない……。
 結婚証明書への署名も無い……。

 それでも、俺たちは確かに、その日、結婚した。

「幸せになって欲しいって言ったのは、礼二さんなんですから……幸せにしてくださいね?」

「ああ」

 全く……。

 廃ビルの解体で消えるチャンスもあって……それを乗り越えて地縛霊でも無くなったって言うのに……。


 ……俺はまだ、安らかに眠れないらしい。

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