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念願のスイーツ!
しおりを挟む「うわぁ……1週間でこんなにお金が……」
私は冒険者登録をしてから一週間が経ったある日、ギルドの受付で報酬を受け取っていた。この一週間は毎日魔物討伐クエストを受けて大量のお金を手に入れていた。その額はなんと500000ギルにもなっていた!
(これはちょっとやりすぎたかな……?)
確かにお金を稼ぐことは良いことなのだが、流石にこんなにお金をもらってしまうと罪悪感が湧いてくるのも事実だった。前世ではこれほどまで多くの金額を手にしたことはなかった上に、基本的に聖女の仕事の報酬は国庫に納める以外の使い道もなく、自分で自由に使えるお金が手に入ったのはこれが初めてだったのだ。
(でも、冒険者としてはまだまだ初心者だしね……まあ、いっか!)
冒険者として一人前になるためにも、お金をたくさん稼ぐことは悪いことではないはず。それに今日はお金に余裕もあるのでたまには贅沢をしようと思っていたところだ。だから私は少しだけならいいよねと自分に言い聞かせて冒険者ギルドを後にしたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇
「ここが……噂のケーキ屋さん……!」
街を歩いて数分、私がたどり着いた場所は帝都で有名なケーキ屋さんらしい。なんでも貴族からの注文を受けるほどの人気店らしく、とても美味しいと評判だそうだ。
(うわー、楽しみだなー!)
私はウキウキしながら店の中に入る。すると、そこには色とりどりのケーキが並んでおり、どれも美味しそうだった。
(どれにしようかな~?)
どのケーキにしようか悩んでいると、店員さんが私に声をかけてくる。
「いらっしゃいませ! お客様はご来店初めての方でしょうか?」
「はい! そうです!」
私が元気よく返事をすると彼女は微笑みながら話を続けた。
「かしこまりました。それでは当店でのルールを説明させていただきます」
そう言うと、店員さんは私にケーキの注文方法を教えてくれた。まず、この店ではケーキを1つずつ選んでから自分の好みに合わせてサイズを選ぶことができるらしい。そして、最後に支払いを済ませてから席に座ってゆっくりと食べることができるのだそうだ。
(へぇ~……それって凄く良いサービスだね!)
私は店員さんの説明を聞きながら感心する。特に自分の好みのサイズでケーキが食べれるというのは魅力的だ。
(それなら今日は1つずつ頼んでみようかな)
そう思った私は店員さんに注文を頼んだ。それから数分後、私の目の前には色とりどりの美味しそうなケーキが並んでいる。
(わぁ……! 美味しそう!)
私は思わず感嘆の声を上げた。目の前には美しい見た目のケーキが数多く並んでいる。その姿はまるで宝石箱のようで見ているだけで幸せな気分になった。そして、私がどれから食べようか迷っていると……
「いらっしゃいませー!」
そんな元気な声が聞こえてくると同時に店員が接客を始めた。どうやら新しいお客さんが来たようだ。
(あっ、新しいお客さんかな?)
私はちらりとそちらを見た。すると、そこに居たのは見覚えのある人物だった。
(あ……!あれはザインさんだ!)
私が彼の姿を見て驚いていると、店員さんが嬉しそうに彼に話しかけていた。
「ザインさん!お久しぶりですね!」
(えっ!?知り合いなの!?)
私は驚いてしまう。どうやらあの店員とザインさんは知り合いらしいのだ。だが、それに対して彼は少し面倒臭そうにしているように見えた。
(……なんかあんまり仲が良くないのかな……?)
私は店員とザインさんのやり取りを見て、そんなことを考えてしまう。しかし、すぐにそれは勘違いだと分かる。どうやら彼があまり嬉しそうにしていないのは接客中だからだったようで、注文を受けてからはいつも通りの明るい笑顔を浮かべていたからだ。
(なんだ……そうだよね……)
私は安心したような、少し残念なような気持ちになったが気を取り直してケーキを食べ始めることにするのだった。
(うん!やっぱり凄く美味しい!)
私が頼んだケーキはイチゴのショートケーキで甘さ控えめだが、それが素材の美味しさを引き立てていてとても美味しい。そして、私のおすすめだったチョコレートケーキも絶品だった。
(あ……あの店員のお姉さんがザインさんに話しかけてる)
私は横目で二人の様子を見ていた。どうやら彼女はザインさんに好意があるらしく、一生懸命アプローチしているようだ。
(凄いなぁ……ザインさんってモテるんだ……)
そんなことを考えていると、ザインさんがこちらを向いてパチっと目があった。彼と目が合った私は反射的に顔を逸らしてしまう。
(うう……なんか恥ずかしい……)
ただ目が合っただけなのに、胸はドキドキして顔も熱い。もしこの場に彼が居なかったらきっと恥ずかしさで逃げ出していただろう。
(でも……なんで逃げちゃうんだろう?)
どうして自分がこんなにも動揺しているのか私には分からなかった。だが、不思議とザインさんから目を離すことができない。
(あれ……?なんか今日ちょっと私変かも……?)
私がそんなことを考えていると、突然目の前に誰かが立ち塞がった気がした。咄嗟に顔を上げればそこに立っていたのはザインさんだった。
(えっ!?どうしてここに!?)
突然のことに私はパニックに陥る。すると、彼はニッコリと笑いながら私に話しかけてきた。
「マリア! 奇遇だな! よかったら持ち帰って一緒に食おうぜ」
(ええぇっー!?な……なんで私なんかに……?)
私が困惑していると、さらに追い打ちをかけるように彼が話しかけてくる。「ほら!早くこっち来て!」
そう言って彼は私の手を強引に掴んだかと思うとそのまま引っ張っていった。
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