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復讐の丸刈りエンド

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(そろそろ頃合いだな……)

 攻撃を食らうと同時に自己回復スキルで負傷を癒やし、1vs50(たぶん)の乱戦を戦い続けてきた。

 こちらも痛みと疲労によってメンタルがボロボロだが、根気強く戦い続けたおかげでハーピー達も殆どが怪我を負っている。

 最初の頃に【血牙】を食らったハーピーなんかは、止血のやり方や概念を知らないのかそれともそんなことを考える知能がないのかわからないが、すでに出血多量で満身創痍である。

 重傷を負ったハーピー達は真っ青な顔面を妖精達によってぷにぷにと弄ばれたり、怪我している部位に息を吹きかけられたりと、とても可哀想な状況になっていた。

【血液支配】

 しかしその状況は、俺にとっては大きな不安要素である妖精を楽に倒すことができる大チャンスなのだ。

(くらえ!)

 妖精達のおもちゃと化した負傷ハーピーたちの流した血を操り、縄を形成。作り出した縄を遊びに夢中になっている妖精の首に巻きつけ、思い切り締め上げる。

「ぎゃっ!」
「っ!」
「かっ!」

 妖精へ攻撃したことが伝わったのか、厄介なことにハーピー達の攻撃が激化した。しかし、妖精への攻撃は決して辞めない。奴らの首の骨が折れるか窒息死するまで続けるつもりである。

(クソ痛え……一旦逃げるか)

 攻撃に被弾する回数が増え、流石にしんどくなってきた。周囲を周回させていた血球を破裂させ、その隙に上空へと一時撤退。

 空での戦闘を有利にするため、ハーピー達が流血した血を地面から巻き上げ、上空で細かく分裂させて解放する。

 敵の血を利用しているため、コストは少しの魔力のみ。かなりコスパ良く血の雨を降らせることができたな。

 先程まではあまりに激しい乱戦のせいで上空に逃げる隙も血の雨を降らすこともできず苦しい戦いが続いていたが、全てはこの時のためである。

 多くのハーピーに【血牙】を使うことで大量の血液を継続的に流血させ、その血を利用して攻撃を行う。それが、今回のピンチを乗り越えるために考えた作戦である。

(自分の血でやられる気分はどうだ? キモティーか? オラ!)

 ハーピー達は必死にこちらに接近しようとするが、血で羽が濡れていること、地面にある血全てからの攻撃を警戒しなくてはいけなくなったため、なかなか接近できずにもがいている。

 しかし、その中でも被害が少なかった個体は上空へと飛び上がって襲いかかってくるのだが、数体程度ならば近接戦闘でも余裕である。

【身体強化・血】【血牙】

(愚かスギィ~! 自分達の流した血に散々苦しめられてるのにまた流血しちゃってさ、バカなのカナ?)

 近寄ってきた挙句しっかりと流血のデバフを付与され、ふらふらと地上に落ちていくおバカなハーピーをひとしきりバカにしていると、妖精を締め上げていた縄が役目を果たし終わったようだ。

 少しグロテスクな感触が伝わると同時に、縄に伝わっていた抵抗感が綺麗に無くなった。つまり、ポキッと折れたのである。何がとは言わないが。まあともかく、無事に厄介な妖精を討伐できてハッピー。

 残るは、距離が離れたせいで何もできずにいる木偶の坊トレントニキと、群れることしか脳がない満身創痍のブスハーピーネキが50体。

 こちらは空の有利を取り戻したし、スキルによって肉体は全回復している。それに、不安要素は排除した。

 ここからは、蹂躙の時間である。

【血液支配】【自己強化・血】

 空中からモンスター達を見下ろした俺は、気合を入れて4つの小血円斬を生成した。

(お前ら全員、丸刈り決定だよーん)

「「キ、キエェェェェェェェェェェェ!」」
「……(ハゲは嫌。仲間たちみんなハゲた。自分はただの木、自分はただの木……)」

(キモチェェェェェェェェァァァァ!)

 恐ろしき血のバリカン。まるでマインク◯フトの整地。経験値トラップである。快楽に溺れた俺が全てを刈り尽くすのに、そう時間はかからなかった。


【ステータス】
名前 なし
種族 ハイ・ブラッドバット
レベル 30/30『進化可能』
体力 F
魔力 E
攻撃力 F
防御力 F
素早さ F

スキル 
超音波:50 『進化可能』
吸血:50 『進化可能』
血牙15
自己回復・血:29
自己強化・血:33
血液支配:25



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