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Ⅲ.そうして、再び愛し合う【愛執染着、愛多憎生】
L’amour est une passion qui ne se soumet à rien, et à qui au contraire
しおりを挟む愛なんて、くだらない。
ドレス落とし、肩を妖艶に見せた母様は
私を横目で見て蔑んだ。
母様を覆う彼の躰をひたすらに眺め、
もう見ていられないと目を強く瞑りかけた刹那。
「……え?」
彼は、重そうな体を起こして、
ふらふらとこちらへ歩み寄り、私の体を抱き締めた。
「な……」
口を開けて言葉を失う母様の前で、
私に体を預けるように抱きついてきた彼の体は
信じられないくらい熱い。
ゆっくりとその背に腕を回せば、
小さく息を吐いた彼は本当に辛そうで。
理性と本能の間で葛藤をしているのだと
しっかりと伝わった。
「もう、いいよ」
小声で呟くと彼は小さく頷いて私の体を離した。
見えた彼の美しい顔は
眉を顰め、酷く歪んでいて。
心が痛んだ。
「欲に勝るもの。これが、“愛”です。母様」
そして私は、全ての怒りを灯した瞳で
再び母様をねめつけた。
【愛が何かに負けることは無いが、
言い換えれば全てのものが愛に降伏する】
L’amour est une passion qui ne se soumet à rien,
et à qui au contraire, toutes choses se soumettent.
(愛は、そんな単純に計れるものではないのよ)
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