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Ⅷ.すれ違う心【揣摩臆測、暗雲低迷】
Qui se ressemble s’assemble.
しおりを挟む「まさか、君が本当に来てくれるとは思わなかったよ」
「……気まぐれよ、ただの」
「それでも、嬉しいよ。ありがとう」
客間に通されて、そう微笑むのはシャル。
目の前に置かれた紅茶の水面に映る自分の顔をじっと眺めて
独り言のように呟いた。
「……貴方は、一体私の何がいいの?」
「ん?」
「正妻にするとまで言った、真意は何?」
紅茶から目を離して、
正面に座る彼を半分虚ろになりながら見つめる。
カップを手に持って口元まで近づけていた彼は
上目遣いをするように私に視線を送りふっと笑った。
「僕はね、今まで兄さんに全てを奪われてきたんだ」
「……それは、王位継承権のこと?」
「それも、あるかな」
第二王子である彼は、第一王子である彼が没するまで
その権利は回ってこない。
そのことかと問えば、彼は言葉を濁した。
カップをテーブルに戻したシャルが、
私から顔を逸らして窓の外を眺めながらひとつひとつを
思い出すように話し始める。
「何をしても、どこにいても、優秀な兄と比較されて。
容姿だって、頭脳だって兄さんには勝てない。
その上、想い人まで奪われて」
「……もしかして、アリシア様?」
「よく知ってるね。アリシアと会った事があるの?」
「……まぁ」
随分と、複雑な三角関係ね。
一人で、苦笑した。
「そう」
私の短い答えに一言で返した彼はソファを立って。
「だからね、兄の大事なものを、奪ってやろうと思って」
そう言って、近づいた私の肩を押して、
背をソファに打ち付けさせた。
【似た者は集まる】
Qui se ressemble s’assemble.
(その悪い顔は、兄譲りなのね)
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