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XI.オセロのように色を変え続ける【翻雲覆雨、悪逆無道】
Aux grands maux les grands remèdes.
しおりを挟む「敵地に丸裸で突っ込む馬鹿はいねぇ」
なぁ、アリア。
唐突に開いた扉と共に彼は威風堂々とその姿を現した。
多くの、直属の兵を引き連れて。
「今の言動、全て記録させてもらった」
「……強い矛には、強い盾、ってわけか」
これで言い逃れは出来まいと彼は二人を睨めつける。
その彼の姿を唖然として見ていた表情を崩し笑ったシャルは
私を矛と呼び、目の前に立つレオを盾と、比喩した。
彼には言うなと言われた
アリシアとの約束を破ったと思われるだろうが
私は彼女との約束は何一つ破ってはいない。
だって、レオには“言ってはない”から。
ついでに言うのであれば全てでは無いが
オオトリに言ってしまったのだって
彼は、“部外者じゃない”から。
なんなら、本当のことなんてオオトリには伝えていないわけで。
私は、約束を破ってはないわよ、アリシア。
これで、役者は揃った。
あとはあなたの仕事よ、レオ。
その意の視線をレオへ向けると
彼は小さく頷いて彼らへ視線を戻した。
「……罪人を捕らえろ」
弁明の余地を無くしたオオトリは、
何も言わずに彼の言葉に従った。
呆然と何かを見つめている、オオトリは今何を思うのか。
私に目を合わそうともしない彼は
抵抗もなく潔くその両手を差し出して。
鎖に繋がれる彼を、私は黙って見ることしか出来なかった。
「惨めだなぁ」
そう笑うシャルの声に、意識が覚醒して。
平手打ちなど可愛いものではなく
握り締めた拳を振り上げた瞬間。
私の腕を掴んで制止させたレオが、
シャルの前に立ち優雅に座る彼を見下ろした。
「シャル、貴様も同罪だ。
暫くその身、捕らえさせてもらう」
「なっ……!? 僕は何もしていないだろう!!
全て聞いていたなら、そんなこと分かって、」
「法は犯していなくとも、
お前がしたことは俺に対する立派な準反逆行為だ。
極刑にならずしても罰は、免れない」
少なからず心苦しいものはあるだろうに
声色も表情もひとつ変えず淡々と告げたレオに
シャルは大きく目を見開いた。
念願だった彼の余裕の仮面が外れた瞬間だというのに
悪態のひとつもついてやれないこの状況が酷くもどかしい。
ざまぁみなさい。
そう思う反面、私は視線を落とした。
「……仰せのままに、“皇帝陛下”」
わざとらしく彼を皇帝陛下と呼んだシャルは、
その動揺を見せたのは一瞬で。
その顔に再び笑みを灯しながら、両手首を差し出した。
【大きな問題にはそれなりの対策を】
Aux grands maux les grands remèdes.
(何一つ、喜べない勝利ね)
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