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XIII.現実味を帯びる【色相世界、荘周之夢】
La poule ne doit pas chanter devant le coq.
しおりを挟む「起きたか」
陽の眩しさに目を覚まし、
重々しい瞼を開ければ目の前に見えるは愛しい彼の姿。
自分の片腕を頭の下に敷いて、
逆の手で私の頭を撫でたレオは
どうやら先に起きて私の寝顔を見ていたらしい。
……本当、いい趣味してるわ。
「起こしてくれれば、良かったのに」
そんな恨み辛みを開口一番、遠回しにぶつける。
「まだ寝ててもいい」
そう言って、平然と微笑んだ彼は
やはり故意的に起こさなかったようだ。
「人の寝顔見て楽しい?」
「お前の寝顔なら、永遠に見ていられる」
「あらそう。それは、一生起きなくてもいいってこと?」
「……なら、逆に聞いてやるよ」
お前は、俺の顔が一生見られなくなってもいいのか?
呆れたようにそう笑ったレオに、口を尖らせる。
普通にそれは嫌だと言えばいいものを、
わざわざ遠回しな伝え方をする彼は
本当に性格がよろしくない。
皮肉で返してやったつもりが、
完全にしっぺ返されて。
そんな感じなら、
次からは、是が非でも起きてやらないんだから。
言うより早く、子供みたいに顔を背けると
くすくすと擽ったく笑ったレオには伝わったみたいだ。
「……まぁ、でも」
「ん……?」
すると、何やら含みのある言い方をしながら
おもむろに体を起こした彼は私を見下ろして。
わざとらしくリップ音を鳴らした口付けを
寄越してきたかと思えば、
「“姫”は、“王子”のキスがあれば、目を覚ますからな」
恨めしくも美しい笑みを貼り付けたまま言われたそれに
私のフラストレーションは、当てどころを失っていった。
【雌鶏は雄鶏をさしおいて歌ってはならない】
La poule ne doit pas chanter devant le coq.
(……勝てないわ、どこまでも)
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