俺様奴隷と美しい恋をする為に茨の道を参ります

しゃむ

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XIII.現実味を帯びる【色相世界、荘周之夢】

Honore les grands, ne méprise pas les petits.

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「アリア様」



 ノックの音と共に呼ばれた名に返事を送る。

カチャリ、と静かな音を立て入ってきたのは
足元を擦りそうな程長い丈のメイド服を纏った女性。


皇宮に仕えるただの炊事洗濯を行う
メイドの制服は膝下の丈なはず。


――――ってことは、皇族直属の使用人ね。



「……どなた?」

「本日からアリア様のお世話をさせて頂く
オリーブと申します」

「……そう。宜しくね、オリーブ」



 静かに頭を下げたオリーブは、
私より一回りは歳を重ねていそうで。

見たところ三十前半が妥当な感じだ。


生まれつきの色だろうか。

光に透けると金にも見えるブラウンの長髪を
項あたりで団子に纏めている彼女は、私の目を合わせ優しく微笑んだ。


 きっと、彼女は元々レオに仕えていたのだろう。

あの後、「使用人を寄越す」と言ってくれたレオに
“歳上の女性”がいいとワガママを告げたばかりに。


どこまでも私に甘い男ね、本当。



「素敵な、名前ね」

「……光栄です。ありがとうございます、アリア様」



 何か話題を、と変に気を遣ってしまって。

突拍子もなく名を褒めた私に、少し目を見張るオリーブ。


阿呆な令嬢、とでも思われていそうだ。



「でも実は、そんなにいい名前じゃないんです」

「え……?」



 私に気を遣ってくれたのか、否か。


話を掘り下げてくれたオリーブは
困ったように微笑んで椅子に腰掛ける私に近づいてきた。



「私の生い立ちを、少しお話してもよろしいでしょうか」



 その言葉に少し面食らいながら小さく頷くと、
「お供に紅茶でもお淹れしましょう」と彼女は
給仕台へ淑やかに歩みを進めた。






【偉い人は見上げ、偉くない人は見下さぬ】
Honore les grands, ne méprise pas les petits.

(とても気品があるわ。流石は皇族直属のメイド様)
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