俺様奴隷と美しい恋をする為に茨の道を参ります

しゃむ

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Ⅹ.煮え切らない想い【百年河清、高嶺之花】

Après l'effort, le réconfort.

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 当然の事ながら、私は返す言葉を見失う。


確かに私は、母様を愛していた。

ただ、母様は私に、愛があったのかは分からない。


そう考えたら、返す言葉など無くなってしまった。


 俯き気味になんとか出た「そうね」の一言を聞いたカインが
不思議そうに首を傾げた。



「お前の両親も、この皇宮にいるのか?」

「いえ、おりません。天涯孤独の身ですので」

「……許せ」

「お気になさらず。済んだことです」



 どう足掻いても、時は戻らない。


大丈夫。

私には、まだ家族はいるもの。

オオトリが、いるもの。


 それなのに、私より儚げな顔をする殿下は、
思うよりずっと心優しい方のようだ。



「殿下も、お優しいのね」



 殿下“も”。


それは紛れもなく、レオを指した言葉だ。


この国の皇后にはまだ出会ったことはないけれど、
きっと聖母のような方なのだろう。

彼らを見ていれば、分かる。


……妾の子シャルと違って。



「カインだ」

「え?」

「俺様の名、貴様には特別によばせてやる」



 すると、カインはまた偉そうに言った。


この子“も”、随分と不器用な王子様のようね。



「……光栄です。カイン様」

「様など要らぬ。カインと呼べ。敬語もなしだ」



 ……レオにどこまでも似てるわ本当。


思わず、くすりと笑ってしまった。



「分かったわ、カイン」



 そう微笑めば、ハンっと鼻を鳴らしたカインは
どことなく嬉しそうにも見えて。


皇宮では、同い歳くらいの男の子なんてなかなか見ない。

きっとろくに話し相手なんかいないのだ。


私ごときでその欲が満たされるなら、
私からすれば十分な存在意義になる。


「アリア」
また微笑ましく見ていると、彼に突然名を呼ばれた。

ふっと視線を寄越し、彼を見る。



「喜べ。お前は俺様の――――」

「アリア」



 違う声で私の名が紡がれた瞬間、
得意げな顔をしていたカインの顔から、笑みが消えた。






【努力のあとで元気づけ】
Après l'effort, le réconfort.

(何を、言いかけたのかしら)
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