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XVI.疑惑を追い求める【追根求底、真相究明】

Il faut de tout pour faire un monde.

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 サラサラと解かれていく謎に、いい加減頭痛を覚え始める。


というか、彼はそれを明かして平気なのだろうか。

カインやアリシアですら恐れを抱き
口を噤んでいたというのに。


まぁ、シャルが打首になってもいいだなんて
思った張本人が心配することではないのだけれど。



「……でも、貴方が第二王子なんでしょう?
貴方の言う通りなら、その、キースは……?」

「違うよ。僕は実のところ第二じゃない。
公的に言うと、第三王子だ。

でも、第二と名乗ることを強いられてる」

「どういう、こと?」



 本日何度目かの意味の問いかけ。

嫌な顔ひとつせず、シャルは次々と秘密を漏らし続ける。



「皇族の中ではね、双子は忌み子として捉えられるんだ。
まぁ、同じ顔の王子が二人もいたら皇宮内が大混乱だからね」



 ……まぁ、そうよね。


当たり前の話だ。

それは、分かった。

分かったけど、その先を、
聞きたくないと思ってしまうのはきっと、私だけではない。


 でもシャルは、ろくに慈悲もなく言葉を連ねた。



「寸分の差といえど、後から生まれたのが運の尽き。
キースは、第一王子である兄の影として生きることを強いられた」



 都合のいいように使われてきた、人権も何も無い王子だよ。


嫌な勘ほど、当たるものは無い。

聞きたく、なかった。


 しかし、知りたいと思ってしまったのは自分で。

シャルに、罪は無い。



「これが、この帝国の裏事情だ。
だから、第一王子は身内以外に顔を明かさない。
奴隷商を取り締まる側の人間が、
奴隷使ってるなんて知られたら大反乱が起きかねないからね」



 流れるような説明に頷いて見せたはものの。

私は、目を荒ませた。






【世界を作るにはすべてが必要だ】
Il faut de tout pour faire un monde.

(あぁもう。本当に、馬鹿正直な男だ)
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