俺様な極道の御曹司とまったりイチャイチャ溺愛生活

那珂田かな

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高地柚子について4

彰吾が起床し、柚子のメールに気づいた時は、すでに昼を回っていた。
今日は一緒にな時間を送るつもりだったのに。
前日、仕事を終わらすために、深夜まで仕事をしていたのが、仇となった。
相手が夜遅くまで帰ってこないのでは、意味がない。
彰吾は、暫し悩んでいたが、意を決したように言った。

「しかたない。行くか」


彰吾が店の中に入ると、ママである瑞樹が出迎えた。
「いらっしゃいませ、槇村様。お久しぶりね」
彰吾は瑞樹を一瞥し、柚子を探す。柚子はカウンターのスツールに座り、驚いた顔で彰吾を見ている。
それもそうだろう、行くとは連絡していなかったから。
彰吾は柚子に近寄ろうとしたが、瑞樹に腕を掴まれた。
「会えて嬉しいわ。いっぱいお話しましょ。こちらの方も一緒に」
瑞樹は彰吾と、その後ろにいた竹城の腕を掴んでテーブル席まで連れていく。
相変わらず強引だな。しかし抵抗すれば、何言われるかわかったものではない。
彰吾は黙ってついていく。
「お飲み物はどうされます?」
「ウイスキー、ロック」
「私はウーロン茶を」
二人が注文すると、瑞樹自身がてきぱきと準備をする。
「あと、シャンパン。店の奴らに振舞ってくれ」
「あら、あいかわらず太っ腹ねえ!」
瑞樹は満面の笑みを浮かべる。すかさず竹城が耳打ちした。
「若、あまり見栄を張られるのはどうかと…」
「五月蝿い。あと、ここでは若って言うな」
彰吾は鋭い声で竹城に言った。
彰吾は柚子を盗み見ると、カウンターの客と楽しそうに話をしていた。
彰吾は小さく舌打ちする。
柚子が他の男と話しているのを見るのは、やはり冷静でいられない。
今すぐに連れ去ってしまいたい。
だがそのためには、瑞樹きょうてきをなんとかしなければならない。


「乾杯!」
「…」
彰吾と瑞樹のシャンパングラスが、カチンと音をたてた。瑞樹は一気に喉へと流し込む。
「ああ、美味しい。こんなに美味しいお酒は久しぶり」
彰吾も一気にシャンパンをあおった。
甘ったるさが喉にまとわりついてくる。彰吾はウイスキーでその味を消し去った。
竹城はちびりちびりとウーロン茶を飲んでいる。
瑞樹は、また自分のグラスにシャンパンを波々と注ぎ、一気に飲み干す。そしてグラスについた口紅を拭った。
「で、今日はどんな悪巧みをお考えなの?槇村様」
瑞樹は口元に笑みを浮かべながらも、探るような眼で彰吾を見ている。
「悪巧みとは失礼でしょう。若…いえ、社長は、仕事終わりに、ただ飲みに来られただけです」
竹城は慇懃無礼な態度で瑞樹に言った。
瑞樹はすかさず品をつくる。
「あら、そうだったの?私、てっきりユズカちゃんを連れ去る気かと。
ごめんなさい、疑っちゃって」
やっぱりこっちの気持ちなど、見透かされてるな。彰吾は思った。
瑞樹はこの店で唯一、俺たちの関係を知っている人物だ。
そして柚子の、もう一人の母親ともいえる人物だった。
「連れ去らないから、柚子を呼べ」
「束縛しすぎると嫌われますよ。槇村様」
瑞樹は言った。
「束縛なんかしていない」
「そう?ユズカちゃんから色々相談受けたんだけど。あれ、嘘だったのかしら」
何を相談したんだ、あいつは。彰吾は内心焦った。
「あの子は普通の子よ」
瑞樹は唐突に言った。
「この世界にいるのが不思議なくらい普通の子なの、だから…」
瑞樹は娘を心配する母親のような目で言った。
「あの子の心を弄ばないで」
瑞樹と彰吾は少しの間、見つめあう。
「弄ぶつもりはない。今までも、これからもな」
彰吾は言った。
「だから、柚子を呼んでくれ」
瑞樹は少し苦笑すると、席を立った。
「約束ですよ。嘘だったら許しませんからね」
瑞樹は捨て台詞を残し、柚子を呼びに行く。

嘘などついてどうなる?弄んでどうなる?
そんなことをしても、誰も得をしない。柚子も、そして俺自身も。

ふと、竹城を見ると、鳩が豆鉄砲喰らったような顔で彰吾を見ていた。
「なんだ?どうかしたか」
「いえ、若の歯の浮くようなセリフを聞いて…その、驚いただけです」
「…うるさい」
彰吾はウィスキーを飲もうとしたが、グラスの中は既に空だった。

柚子は瑞樹の指示を受け、彰吾の元に近づいてくる。
その姿に、彰吾は思わず目を見張る。
場所のせいだろうか。妖艶な色気を感じた。
やはり、連れ去ってしまおう。ほかの奴らに気取られないように。

ふと、彰吾は思い出した。
初めて会った、あの日を。




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