世界の意思にさようなら

ラゲク

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第一章 災害からの脱出

第2話 食料

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 闇の中、懐中電灯だけが頼りだ。 

恐怖心を押し殺しながら、音のなった方向に進むと、原因が分かった。



災害の原因になった巨大樹だ。



「また、巨大樹ですか。」

「そうですね、原因がわかりましたし帰りましょう。」

ぼくは早く帰りたかった。何とも言えないが、いやな気がする。

「待って! この木……」

山田さんが何かに気がついたのか、帰ろうとしたぼくの足を止めた。

「この木、なんか妙に生々しくないか?」

「な……生々しい?」

何を言っているのか最初わからなかったが、よく見てみると、言っている意味が分かった。

 

 肉だ……



植物と動物の生肉をパソコンの合成ソフトで混ぜた様な質感、汗でもかいているのか濡れている。



「なんて奇妙なんだ。」

「ちょっと、山田さん木の枝でつつくのは! とりあえず、自衛隊の人よんできますね!」

「おう! たのむは……あ!」



 ばきばき ぼきぼき



頭が真っ白になった。山田さんがいなくなった。

目の前にいる口だけの化け物はなんだ?

こっちに……





「――さん、トガさん!」



 誰かが、ぼくの名前を呼んでいる……



眠っていたのだろうか、意識がはっきりしてきた。

「トガさん! 良かった……目が覚めたのですね。今、お医者さんよんできますね。」

この天使の方は、 ユズキミナ さん、ぼくと同じ区画にいる女子大生ですごくかわいい。

けど、今はそんな変態的感動に、癒されている場合ではない



 全身が熱くて、痛い……



「トガさん、お身体の方はどうですか?」

「全身が痛くて、あと熱もあるようです。」

「なるほど、特に外傷とかもなさそうですし、風邪でしょうな!解熱剤あとで渡しますので、しっかりと寝て休んでください。」

「はあ……」



医者との会話は数分で終わった。忙しいのはわかるが、もうちょとなんか………

仕方ないか。

 

 その後、ぼくのいる区画担当の自衛隊の人に、色々と質問された。

どうやら、山田さんの行方が分からないらしい……。だが、ぼくは何も覚えていない、

ぼくは山田さんと一緒に、見回りに行って……

その後の記憶はぶっつりと途絶えている。



 とりあえず寝させてくれ……



「あ、すみません トガさん疲れていると思うので、今日はこのぐらいにした方が……」



 ミナさん……あなたは女神ですか!



この絶望的な状況、状態において、彼女の姿はまさに女神そのものだった。



 彼女のおかげもあって、そのあとすぐに寝床につくことができた。

もちろん行方不明の山田さんのことは気になるが、今日のところはもう寝よう。



 身体がそう言っている。



 「――さん トガさん! 起きて下さい!」

「ん? ミナさん? どうしたの……」



いつの間にかすっかり朝になっていた。

かなり乱暴な目覚ましだなぁと、思いながら呑気に目覚めた。



「すみません、急に起こしてしまって……お身体の方は大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫ですけど」

「病み上がりですみません! でも来てください!」



そう言うと、彼女はぼくの腕を引っ張てきた。

いつもの天使の彼女からは想像できないほど力強かったので驚いた。



「な、何かあったの?」

「……佐藤さんが……殺されていたんです。」

「え! 佐藤さんって別に恨まれるような人じゃないと思うけど……」

「かなりひどい殺され方だったそうで、とにかく皆さん広場に集まってます。」

ぼくは、重い体を起こし広場にむかった。



 広場についた時には、すでに大勢人が集まっていた。

広場の中心にいるのは自衛隊の人で、今回の佐藤さんの事件に関しての

ことでみんなを集めた様だった。

「――今回の事件に関しては、我々が全力で捜査しています。犯人特定まで皆さん気を引き締めてください。」



 途中からなので、詳しい話がわからない……



「先日の山田さんの行方不明に何か関係あるのか?」

民衆の中から不安の声が上がる……、自分も気になっていていた事だ。全く関係ないとは思えない。

「その件も含めて捜査中です。」



「なんだよそれ」

「これじゃあ夜寝れねえじゃねえか!」

「自衛隊と警察はなにやってんだよ」



今まで何とか保っていた表面張力が溢れ始めている。みんな被災生活で精神的に参っている中、今回の事件が起きたのだ。仕方のないことだと思う。

 

 まあ、昨日の事件の被害者が今ここにいるんだけどね。

 

「君、そういえば 昨日の山田さんの事件に関わっていたよね?」

「え、あいやその……」

声がどもる

「トガさんは被害者ですよ! それに昨日は身体が悪かったので、ずっと寝ていたのですよ。」

「お、おう…」

かばってもらってうれしいけど、ちょっと恥ずかしい……
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