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夫からの電話
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十年近く前に自署と自分の実印を押した保証関連の書類をめくりながら、真理子は東郷に聞いた、
「最悪の時の、アパート売却での一括返済はなんとか避けるとしても、この毎月の返済を続けて行くとしたら、私はいくら銀行に返済しなければいけないのですか」
「現状では月々十五万円のご負担になります。で、この状況が残り十年は続くことになります。但し、入居者数が今後も減るようでしたら・・・それ以上の負担も予想されます」
真理子は驚きの表情を見せた
「えっつ?十五万円!そんなの無理です!絶対に!。私はパートですよ、手取り九万円の、それも子供を抱えて・・・。銀行の方で返済の猶予とか出来ないのですか?他にも金利を安くするとか!」
「ん・・・・」
彰司は即答を控えた。
「入居者の斡旋とかは無いのですか銀行からは!」
数秒置いて彰司は口を開いた
「おっしゃることは重々わかります。しかし、銀行は不動産屋ではありませんので」
真理子の後ろにいた子供からは先ほどから笑顔が消えていた。そして母親のセーターを両手でギュッと掴んだまま、その不安そうな顔を母親の後ろに隠してしまった。
「あなたが・・いいえ銀行がおっしゃることはよくわかりました。今日にも明日にも・・という事では無い様ですので、今晩にでも母と話をしてみます」
「よろしくお願いします。またこちらから・・ご連絡を差し上げることになろうかと思います」
そう言って、彰司は荒木家を後にした。
荒木邸訪問の翌日、お昼前に彰司が営業から戻った時、机の上にメモが置いてあった。それは一階の庶務係からのものだった。
『荒木さんとおっしゃる方から電話がありました。午後一時から一時半の間に必ず電話をくれと言う事でした。(※かなり怒っておられました)』
それを見るや、あわてて庶務係に内線を入れた。
「ああ、東郷ですが。電話の件・・・かけてきたのは男性?」
「そうです。なんか激怒されていました。電話は必ずお願いしますよぉ」そう言って電話は切られた。
(誰だ?荒木さんのご主人か・・?!)
午後一時ちょうどに彰司は指定された番号に電話を入れた。
「もしもし、西都銀行 高谷支店の東郷でございます」
途端に強烈な九州言葉の怒号が電話越しに伝わってきた。
「おまえかっ!あーっ!!西都銀行の東郷っちゅうのは(東郷というのは)!」
その声は、耳を離してもビンビン響いてきた。
「きのうウチに来たらしいな。おーっ!それも夜のメシ時に!もう一回オレにも要件をゆうてみい!(要件を言ってみろ)」
彰司は相手を刺激しないようにと、極めて丁寧に、そして簡潔に話しをした。
それを聞いた相手は
「そんな事をおまえ、いきなり押しかけて!それも子供もいる前で!オレが家に帰った時に女房は泣いていたぜ!」
その電話のやり取りを見ていた課長の高尾が
「どうした東郷?荒木さんは激昂しているのか?」
彰司はスマホを手で覆い
(後で報告します)と小さく言った。
「最悪の時の、アパート売却での一括返済はなんとか避けるとしても、この毎月の返済を続けて行くとしたら、私はいくら銀行に返済しなければいけないのですか」
「現状では月々十五万円のご負担になります。で、この状況が残り十年は続くことになります。但し、入居者数が今後も減るようでしたら・・・それ以上の負担も予想されます」
真理子は驚きの表情を見せた
「えっつ?十五万円!そんなの無理です!絶対に!。私はパートですよ、手取り九万円の、それも子供を抱えて・・・。銀行の方で返済の猶予とか出来ないのですか?他にも金利を安くするとか!」
「ん・・・・」
彰司は即答を控えた。
「入居者の斡旋とかは無いのですか銀行からは!」
数秒置いて彰司は口を開いた
「おっしゃることは重々わかります。しかし、銀行は不動産屋ではありませんので」
真理子の後ろにいた子供からは先ほどから笑顔が消えていた。そして母親のセーターを両手でギュッと掴んだまま、その不安そうな顔を母親の後ろに隠してしまった。
「あなたが・・いいえ銀行がおっしゃることはよくわかりました。今日にも明日にも・・という事では無い様ですので、今晩にでも母と話をしてみます」
「よろしくお願いします。またこちらから・・ご連絡を差し上げることになろうかと思います」
そう言って、彰司は荒木家を後にした。
荒木邸訪問の翌日、お昼前に彰司が営業から戻った時、机の上にメモが置いてあった。それは一階の庶務係からのものだった。
『荒木さんとおっしゃる方から電話がありました。午後一時から一時半の間に必ず電話をくれと言う事でした。(※かなり怒っておられました)』
それを見るや、あわてて庶務係に内線を入れた。
「ああ、東郷ですが。電話の件・・・かけてきたのは男性?」
「そうです。なんか激怒されていました。電話は必ずお願いしますよぉ」そう言って電話は切られた。
(誰だ?荒木さんのご主人か・・?!)
午後一時ちょうどに彰司は指定された番号に電話を入れた。
「もしもし、西都銀行 高谷支店の東郷でございます」
途端に強烈な九州言葉の怒号が電話越しに伝わってきた。
「おまえかっ!あーっ!!西都銀行の東郷っちゅうのは(東郷というのは)!」
その声は、耳を離してもビンビン響いてきた。
「きのうウチに来たらしいな。おーっ!それも夜のメシ時に!もう一回オレにも要件をゆうてみい!(要件を言ってみろ)」
彰司は相手を刺激しないようにと、極めて丁寧に、そして簡潔に話しをした。
それを聞いた相手は
「そんな事をおまえ、いきなり押しかけて!それも子供もいる前で!オレが家に帰った時に女房は泣いていたぜ!」
その電話のやり取りを見ていた課長の高尾が
「どうした東郷?荒木さんは激昂しているのか?」
彰司はスマホを手で覆い
(後で報告します)と小さく言った。
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