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藤田社長の構想(3)
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藤田社長からの『借入れは三千万円。条件は十年間、金利は二・五%。その内容で支店長の決裁を取ってくれ』との要請は、少々きつい金利ではあったがなんとか対応できそうな水準だったことから、小池さゆりは
「早速進めていきます!」
と感謝の気持ちを込めて藤田に回答した。
小池の懸命の努力は実を結び、事は四週間後には最終段階まで進んだ。
三月二十日の「土地・建物の決済日(=不動産が田山敦子から藤田社長名義に移る日)」の午前十時に、下関支店の小会議室に当事者全員が集まった。そこは広さ二十畳ほどで、重厚な机を挟み革張りの椅子が八脚配置されていた。
参加者は藤田社長、田山敦子、司法書士の川村、不動産業者の今井、そして銀行からは今回の件を完全に任された小池さゆりが一人参加した。
川村は藤田建設がいつも使っているお抱えの司法書士、また、今井は藤田建設グループであるエフケイ不動産の営業部長だった。
開始から二十分後、
「えーっと、今回の物件の売買契約書、ならびに皆さんの印鑑証明書や土地建物の権利書・・・・すべて整いました。問題ありません」
司法書士の川村はそう言ったうえで、
「小池さん、融資を実行し、そのお金を藤田社長の口座へ入金してください。十分以内にできますか」
「分かりました。大丈夫です」
小池は事前に打ち合わせていた融資課の係長に
「すべて整いましたので、融資の実行をお願いします」
そう会議室から内線で連絡した。そして参加者全員に言った。
「今回の三千万のご融資は、一旦は藤田社長の普通預金口座に入りますが、即座に田山敦子様の普通預金口座に送金されます。そしてその入金を確認した高谷支店では即刻、融資金の一括返済の手続に入ります。皆様に置かれましては通帳を記帳されてそれらの入出金をご確認ください。よろしくお願いします」
全員が『納得』と言う顔でうなずいた。
「私はこれから、法務局に出向いて、土地建物の名義変更の手続きに行ってまいります」続けて
「では、お先に失礼いたします」
司法書士はそう言い残して支店を後にした。
藤田も別件で忙しいとのことで
「では、私も失礼させていただきます。後は宜しく頼みましたよ」
そう小池に言い、ミーティングルームを出た。銀行出口まで見送りに出た小池に対し、小声で言った。
「もし、私が全額自分のポケットマネーから出すなんて言ってたあかつきには、おたくの支店長が私のところに飛んできて『定期の解約はご勘弁を・・・・』ついでに『わが支店は、今期、融資量が少々伸び悩んでおりまして・・そのォ・・・ご協力を、なんとか・・』って言われているところだよ間違いなく。支店長は、ウチらの袖を引っ張って『そこを一つ、よろしく(お願い)』が上手だからね(笑)」
「いろいろとお世話になって、すいません。藤田社長は支店長の胸のうちも十分にご察しなんですね」
そう言って小池さゆりもフフフッと自然な笑顔を作った。
そして朝から一仕事終えた藤田は、『じゃあ』という言葉を残してくるりと背中を見せ、愛車の白いBMWに乗り込んで支店を後にした。
「早速進めていきます!」
と感謝の気持ちを込めて藤田に回答した。
小池の懸命の努力は実を結び、事は四週間後には最終段階まで進んだ。
三月二十日の「土地・建物の決済日(=不動産が田山敦子から藤田社長名義に移る日)」の午前十時に、下関支店の小会議室に当事者全員が集まった。そこは広さ二十畳ほどで、重厚な机を挟み革張りの椅子が八脚配置されていた。
参加者は藤田社長、田山敦子、司法書士の川村、不動産業者の今井、そして銀行からは今回の件を完全に任された小池さゆりが一人参加した。
川村は藤田建設がいつも使っているお抱えの司法書士、また、今井は藤田建設グループであるエフケイ不動産の営業部長だった。
開始から二十分後、
「えーっと、今回の物件の売買契約書、ならびに皆さんの印鑑証明書や土地建物の権利書・・・・すべて整いました。問題ありません」
司法書士の川村はそう言ったうえで、
「小池さん、融資を実行し、そのお金を藤田社長の口座へ入金してください。十分以内にできますか」
「分かりました。大丈夫です」
小池は事前に打ち合わせていた融資課の係長に
「すべて整いましたので、融資の実行をお願いします」
そう会議室から内線で連絡した。そして参加者全員に言った。
「今回の三千万のご融資は、一旦は藤田社長の普通預金口座に入りますが、即座に田山敦子様の普通預金口座に送金されます。そしてその入金を確認した高谷支店では即刻、融資金の一括返済の手続に入ります。皆様に置かれましては通帳を記帳されてそれらの入出金をご確認ください。よろしくお願いします」
全員が『納得』と言う顔でうなずいた。
「私はこれから、法務局に出向いて、土地建物の名義変更の手続きに行ってまいります」続けて
「では、お先に失礼いたします」
司法書士はそう言い残して支店を後にした。
藤田も別件で忙しいとのことで
「では、私も失礼させていただきます。後は宜しく頼みましたよ」
そう小池に言い、ミーティングルームを出た。銀行出口まで見送りに出た小池に対し、小声で言った。
「もし、私が全額自分のポケットマネーから出すなんて言ってたあかつきには、おたくの支店長が私のところに飛んできて『定期の解約はご勘弁を・・・・』ついでに『わが支店は、今期、融資量が少々伸び悩んでおりまして・・そのォ・・・ご協力を、なんとか・・』って言われているところだよ間違いなく。支店長は、ウチらの袖を引っ張って『そこを一つ、よろしく(お願い)』が上手だからね(笑)」
「いろいろとお世話になって、すいません。藤田社長は支店長の胸のうちも十分にご察しなんですね」
そう言って小池さゆりもフフフッと自然な笑顔を作った。
そして朝から一仕事終えた藤田は、『じゃあ』という言葉を残してくるりと背中を見せ、愛車の白いBMWに乗り込んで支店を後にした。
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