7 / 12
7
追 及
しおりを挟む
定期預金の「満期通知書兼計算書」の氏名欄には『佐藤大悟 様』と書かれてあった。
「高村、この佐藤大悟さんの全ての預金明細を端末から取ってくれ。そしてウチの担当が誰かを今すぐ見るんだ」
「わかりました」
佐藤大悟、歯科医
支店からの借り入れはない。
預金だけのお客様で、銀行用語で言う『純預金先』だった。
高村がすべての預金明細を端末からとり、田中に渡したが、そこには定期 五百万円など存在しなかった。あるのは普通預金に十八万円程度。それに積立預金が残高八十万円だった・・・・。
「この預金者の担当は?」
「大野主任です」
支店長も早々に出勤してきた。
これを受けて、二人は端末からのデータを分かりやすく整理して、支店長と一緒に応接室に入っていった。
二十分の時が流れた。
しばらくして、行員の出勤時間となった。
渦中の大野も、八時半に出社してきた。そしてそのまま、二階にある営業課の自分の机に向かおうとしていた。
それを見て、田中は階段途中で大野を呼び止めた。そして、その上司の村山にも応接室に至急来るように指示した。
応接は五人座れば窮屈となる部屋だった。
「大野主任、これに見覚えはないかね」田中が言った。
営業課長の村山が覗き込んだ。しかし彼はすぐには理解できていないようで、きょとんとしていた。
一方、当の本人・大野はやや斜め上を見つめ、ふうっと息を吐いて、そしてうつむいた。
「どうなんだ、話したまえ」
「・・・・・・・・」
「じゃあ聞くが、この計算書は君が作ったのかね」
「・・・・はい」
「では、次に聞きたいのだが、五百万と言う金を、歯科医の佐藤さんから実際に預かったのか」
「・・・・預かりました」
「で、いまそのお金はどこにある。君が持っているのか」支店長が聞いた
「・・・・持っていません」
「な、なんだと・・・自分で使ったのか!」
「いいえ・・・・」
「なら何なんだ!」
田中が厳しい語調で問い詰めた。
「高村、この佐藤大悟さんの全ての預金明細を端末から取ってくれ。そしてウチの担当が誰かを今すぐ見るんだ」
「わかりました」
佐藤大悟、歯科医
支店からの借り入れはない。
預金だけのお客様で、銀行用語で言う『純預金先』だった。
高村がすべての預金明細を端末からとり、田中に渡したが、そこには定期 五百万円など存在しなかった。あるのは普通預金に十八万円程度。それに積立預金が残高八十万円だった・・・・。
「この預金者の担当は?」
「大野主任です」
支店長も早々に出勤してきた。
これを受けて、二人は端末からのデータを分かりやすく整理して、支店長と一緒に応接室に入っていった。
二十分の時が流れた。
しばらくして、行員の出勤時間となった。
渦中の大野も、八時半に出社してきた。そしてそのまま、二階にある営業課の自分の机に向かおうとしていた。
それを見て、田中は階段途中で大野を呼び止めた。そして、その上司の村山にも応接室に至急来るように指示した。
応接は五人座れば窮屈となる部屋だった。
「大野主任、これに見覚えはないかね」田中が言った。
営業課長の村山が覗き込んだ。しかし彼はすぐには理解できていないようで、きょとんとしていた。
一方、当の本人・大野はやや斜め上を見つめ、ふうっと息を吐いて、そしてうつむいた。
「どうなんだ、話したまえ」
「・・・・・・・・」
「じゃあ聞くが、この計算書は君が作ったのかね」
「・・・・はい」
「では、次に聞きたいのだが、五百万と言う金を、歯科医の佐藤さんから実際に預かったのか」
「・・・・預かりました」
「で、いまそのお金はどこにある。君が持っているのか」支店長が聞いた
「・・・・持っていません」
「な、なんだと・・・自分で使ったのか!」
「いいえ・・・・」
「なら何なんだ!」
田中が厳しい語調で問い詰めた。
0
あなたにおすすめの小説
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
料理がマズいと言われ続けて限界がきたので、もっとマズいものを作って差し上げたら旦那様に泣かれてしまいました
九条 雛
恋愛
和平の証として魔族の元へと嫁がされたエルネットは、作った料理が不味いと毎日なじられ続けていた。
それでも魔族の慣わしとして、家族の口へと入る料理は彼女が作らねばならないらしい。
侯爵家の令嬢で、料理をしたことがなかった自分が悪いのだと努力を続けるエルネットだったが、それでも夫は彼女の料理を不味いと言い捨て、愛人の元へ通いに行くと公言する。
ほとんど限界を迎えていた彼女の中で、ついに何かがプツリと切れた。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる