仮想現実・夢見る少女

神城 リーナ

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4章.エンジェルリップ

24.エンジェルリップ「羽ばたいたエンジェル」

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 達也さんは各部署に連絡してCM撮影の人員を集めている。
 凄い人数がドンドンとこの広い撮影室に人が集まってきている。一体何人の人達がこの撮影に携わるんだろう。その中で私一人撮られるのって凄く恥ずかしい・・・・。
 私は達也さんに集められた人達と一緒に、達也さんから撮影の内容をの説明をうける。
 
「『エンジェルリップ』のCM撮影は4つの其々のパートに分けて撮影します。
 
イメージの流れは、内気な女の子が悩みながら歩いていて、その自分の体から天使の姿をしたもう一人の自分が出てきて悩みながら歩いている自分に『エンジェルリップ』塗ります。
 
すると、その少女の周りは一面の花畑になって少女は天使の姿に変身してその花畑を飛び回るって設定で撮りたいと思います。
 
咲ちゃんの心境に置き換えて説明すると
 
まずAー1シーンは、咲ちゃんが考え事をしながら道を歩いているシーンです。
 咲ちゃんは少し思い詰めた感じの表情で歩いてください。例えば誰か好きな人がいてその人に思いを伝えたくてどうしたら伝わるか悩んでるって感じかな!
 
そして次のシーンはA-2シーン
 そんな悩んでいる姿を見かねた天使の咲ちゃん、つまり咲ちゃんの心の形が『エンジェルリップ』を塗ってその好きな人に振り向いてもらおうと思ってエンジェルリップ』を悩みながら歩いている自分に塗るって感じです。
 このシーンは天使の衣装に着替えてから撮ります。
 天使の姿で自分にエンジェルリップ』を塗るわけですが、咲ちゃんは一人しか居ませんから自分が居ると思って誰も居ない空間に向かって『エンジェルリップ』を塗らないといけないので結構難しいです。
 
そして次のシーンはA-3シーン
 此処のシーンは『エンジェルリップ』を塗った後、天使へと変身していくシーンです。
 感じとしては、大好きな人に思いが伝わって嬉しくて両手を広げたまま思わず大好きな人に飛びついちゃう感じで演技してください。
 
そして次のシーンはA-4シーン
 天使の衣装に着替えた後、天使に変身した咲ちゃんがお花畑の花吹雪が舞う中を飛び回るシーンです。
 大好きな人に思いが伝わって嬉しいって気持ちが溢れ出して止まらないって感じで大好きな人の周りを飛び回る感じで演技してください。
 
シーンの撮影順番は
 A-1悩んで歩いているシーン
 A-3天使に変身するシーン
 A-2『エンジェルリップ』を自分に塗るシーン
 A-4花吹雪の舞う花畑を飛び回るシーン
 という順番で撮影して行きます。
 
達也さんは
 「じゃ~シーンA-1から行きま~~~す。咲は少し悩んだ感じで歩いてみて!」
 そう言って私に指示を出している。
 
少し思い詰めた感じの表情で歩く感じ・・だよね。
 
例えば誰か好きな人がいてその人に思いを伝えたくてどうしたら伝わるか悩んでるって感じって達也さん言ってたな・・・
 
私は達也さんがこんなにも好き!!
 出会って数時間なのに、こんなにも好きになっちゃった。
 

苦しい・・この思い、いくら言葉で言い尽くそうとしても言い尽くせない。
 ホントに私はどう・・したら良いんだろう・・・
 
私は無意識にそんな事を考えていた。
 
「カーーート!!、シーンA-1 OK」
 「咲ちゃん今の表情最高だったよ」
 「いい表情してたね」
 
・・・
 
え・・私、撮影されてたの?
 いつの間に撮影開始してたの?
 
達也さんを見ると、達也さんは右の奥のガラスばりの部屋の方を見てお辞儀をしている。
 私もそのガラス張りの部屋の方を見たけれどボヤけてよく見えない、どうも二人の男性が立ってこっちを見ているみたい。そしてその横にも2~3人人が居るのかな?
 
達也さんがクライアントさんって言ってた人達ってあの人達なのかな?
 私には関係ないわ。私は達也さんに言われたように動くだけ。
 今の私は素人。演技なんて出来るはず無いもの!!
 
じゃ~シーンA-3
 『エンジェルリップ』を塗った瞬間に空に向かって飛び出すような感じで演技してください~~。
 
私は達也さんに向かって
 
「達也さん、お願いがあるんですけど、私が演技する正面に立っててもらえませんか?」
 ってお願いをする。
 達也さんは不思議そうな顔をしながら
 「良いけど、俺が居ても役にたたないと思うんだけど・・」
 と言いながらも私の5メートルくらい前の正面に立ってくれる。
 
私はそれを確認して、私の一番欲しい物が私の前に有る。
 私は満面の微笑みで・・・
 
そう
 
私を見て!!
 
こんなにも貴方を愛している!
 
私は貴方が欲しい!!
 
そう思いながら、達也の胸目掛けて一気に飛んだ。
 
「達也~だ~~い好き~~」
 
そう・・心の中で叫びながら・・・
 私が達也に抱きとめられた瞬間
 
「カーーーート!シーンA-2 OK~」
 
撮影所全体にその言葉が木霊した。
 「咲、無茶するな~でも最高だったよ」
 達也は私に向かって言葉をかけてくれた。
 お世辞でも、そう言ってもらえると嬉しいな!
 
全ての撮影が終わったのは2時間位してからだった。

つづく・・・
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