仮想現実・夢見る少女

6章.女装デート

179.女装デート「階段の前の緊張」

鮎香さんの家に着いたのは午前２時をとっくに回っていた。
って此処は鮎香さんの家って言えるのかな？

鮎香さんは渡辺第２病院の最上階で住んでるから正確には鮎香さんの家を借りて此処に住んでいるアリーシャと詩織の家って言うのが正確な表現なのかも！！

『１６年一緒に居て良くこの２人の間に子供が出来なかったわね！！』

と正直驚いている。
でもこの前の入学式の日インターネットの書き込みで地震の影響による歩道の崩落に巻き込まれたアリーシャ死亡の書き込みを見た時詩織は初めてアリーシャを愛してたって気づいちゃった位だから・・・

詩織は変にアリーシャを意識し過ぎているって感じだし、アリーシャはアリーシャで詩織の事は拒めない？って感じなのかな？
多分詩織の事は自分で面倒見なきゃいけないって義務感の方が強いのかも！！

まあこの二人の感情は

『良く解らない！！』

って言うのが正直なところなのだ。
さっき居た海岸の波打ち際で戯れるアリーシャと詩織の姿は仲の良い姉妹って感じだったし・・・

そういえば鮎香さんが言ってたっけ！！
『咲が居なければあの子達はただの仲の良い姉妹よ』

って！！
という事は？

『私は当て馬？』

詩織は私にアリーシャをとられるんじゃないかと心配してあんな行動しちゃってる？
否定できない所が辛いな・・・
車を降りるまでワイワイガヤガヤと私と達也のデートの準備の話をしていた三人だったけれど
車を降りた途端に三人とも急に無言になってしまった。
鮎香さん、アリーシャ、詩織、そしｔ私とバラバラに車の外に出たのだけれど私の動きに合わせて三人は次第に私の周りに集まってくる。そして自然と鮎香さん、私、アリーシャ、詩織の順番で隊列が出来ていてそのまま家の前の階段を順番に歩いて上がってゆく。


私を挟んで階段を上がってゆく三人から緊張感が嫌でも漂ってくるのを感じてしまう。

『真逆？』

もうあんな襲撃は無いハズよね？
一瞬私の心にそんな不安が過る・・

三人は何も言わないけれど・・

多分・・・

さっき此処で襲撃を受けて撃退したばかりなのだ。
だから、鮎香さん達３人は私を真ん中にして再度の襲撃が有ったとしても私を守れるように万全の体制を取っているのだと・・・思う。

つづく・・・