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バレンタインデー(2017Ver)
いとこも呆れる痴話喧嘩〔香帆と八尋編〕
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※なろうの方にのせていた過去のイベント小説です。3話形式の続き物
香帆は突然降りてきた感触に何も考えられなくなっていた。
「やっ・・・・んっん!!」
くらくらする。眩暈がする。
何も考えられない。
息苦しい。
何度も逃げても絡みついてくる唾液と熱。
時折濡れた唾液を塗りつけるように唇を舐めてくる熱が時に空気と共に冷たい風を吹き込んでくる。
それこそ蹂躙されるかと思うほど執拗に舌を吸い取られた。
「せん、ぱっ・・・や・・・」
いつもと、違う。
いつもは甘く唇と唇をくっつけるだけのキスなのに。
今されているキスは、いつになく唇が、のどが、全身が、それこそ、全てが飲み込んでくるような熱さ。
きっと、今の私は耳どころか全身が真っ赤に染まっているに違いない。
口の中で|卑猥(ひわい)な音を立てて彼の舌が蛇のように動き回る。
逃げようにも、後頭部を押さえつけられていて逃げられない。
唾液でいっぱいになるこんな感覚なんて知らなかった。
こんなにも激しいキスをまさか自分が受ける羽目になるとは思わなかった。
それも、こんな公衆の面前で。
恥ずかしい。
羞恥心が沸き上がる。
せめて、駅前じゃなかったら良かったのに。
(なのに、なんで、なんで・・・っ・・・)
息苦しさから、涙目が出そうになるが、八尋の攻勢は止まるところを知らない。それどころか、背中にまわしている腕が香帆の背中から脇へ這うように動いていく。
その腕が脇にきたその時太い指がそっとブラの感触を味わうように強めに押してきた。
手の動きが怪しいことに気づいた香帆は必死に逃げようと頭の回転を巡らせた挙句、ちらっと見えた八尋の足を思いっきり・・・・・踏んだ。
「いてっ!!!!!」
さすがの八尋も足を踏まれては、香帆を抑えていた腕も外れるというもの。ここぞとばかりに逃げた香帆は痛みに悶えている八尋の頬を目掛けて思いっきり叩いた。
「八尋先輩のっ・・・・バカっ!」
振り下ろした手は八尋の頬に命中し、手のひらが真っ赤になるぐらいじんじんとしびれていたが、香帆はこの公衆の面前でキスされたことに腹を立てていて、痛みなど。
蹲る八尋を余所に、近くで文句を言い喚く女性達の声が聞こえるが、今の香帆に怖いものなどない。
「あんた、何様なの!鬼人族の総長と恐れられているこの人を叩くだなんて!」
「んまぁ、キス一つされたぐらいで・・・・それぐらいで文句を言うだなんてよっぽど心が狭いのねぇ。」
「八尋が一人の女に満足するわけないでしょ。」
「貴方達は黙っていてください。これは、私と八尋先輩の問題です。」
「なんですって!!大体、そんな地味で平凡な格好で!不可侵とされていた八尋の隣を占領するだなんて!厚かましいことの上ないし、身の程知らずよ!」
ブチっと香帆の中で何かが切れた音がした。香帆の周りから一気に噴き出るオーラもどきを見た八尋は真っ青になっていたが、当の香帆はというと、眩いばかりの微笑みを見せていた。
あの兄達(※詳細は本編参照)を説教する時に対して見せていた菩薩のような微笑みは、八尋にとって地獄の入り口のパスポートも当然だった。何も知らない女性たちはただ喚いていただけだが、八尋は内心ヤバいと冷や汗を垂らしまくりだった。そんな彼に対して香帆は当然のように無情な判決を下した。
「・・・八尋先輩、この人達が私に近寄らなくなるようになるまで、何もかもお預けです!」
「香帆っ?」
「もちろん、バレンタインデーのプレゼントも渡しませんからっ!」
「ちょ、ちょっと待ってぇえええええ!!!」
ただでさえ、公衆の面前で公開ディープキスをされたのだ。こんなの恥ずかしくて居た堪れない。今すぐ離れるのが賢明だと言わんばかりに香帆は走って逃げた。
それに慌てて追いかけてきている八尋だが、足のこともあり、香帆の方にまだ分があった。何度引き離しても追いかけてくる八尋をしつこいと思いながら、香帆は隠れる場所を考えだした。
「っ・・・・あ、嵐ちゃんの店が近くにあったかも!」
場所を決めたとなれば後はそこへ行くだけだ。嵐のいるゲーム店へと向かった。
ダッシュダッシュで走りまくり、見えたのは某ゲーム店。店の入り口を抜け、嵐を探していると、ゲームソフトの整理の真っ最中だった。当然客や店員が注目して目立ってしまっている。
「いた、嵐ちゃん、かくまってくださいっ!!」
「はぁっ?香帆、なんでここに・・・・って何だよ、その後ろにいるオーラが禍々しい癖に無駄に整った奴は!?」
慌てふためく嵐を余所に、香帆は嵐を盾にして後ろに隠れた。唖然としていた嵐の目の前にはどす黒いオーラを出していた八尋が息を切らせて立っていた。
「・・・香帆、俺を巻き込むなっつーの。なんで鬼ごっこを?まさか、痴話喧嘩とか言うなよ。」
「嵐ちゃん・・・だって・・・八尋先輩話が悪いんですよ。」
「香帆・・・その男から離れて?なんでその男と親し気に話してんのー?」
「つまり、痴話喧嘩ってことね・・・くだらなねぇ、ちゃんと話し合えばいいだけじゃないか。」
「それができるぐらいなら、今、こんなことやっていませんよっ!」
ぎゃあぎゃあとうるさい2人に挟まれてげっそりとした顔をしていた嵐だったが、香帆は一向に嵐から離れる気配がない。それにイラっとした八尋が嵐を睨みつけるという悪循環に陥っている。
と、そこへ香帆も八尋も見覚えがない黄色いクマさんの着ぐるみを着た女性がソフトを持って話しかけてきた。嵐が反応しているあたり、知り合いのようだ。
「・・・・何やってんの、嵐君。」
「あっ、遙・・・これまたスゴイ着ぐるみで。」
「失礼な・・・って、この様子からして・・・もしかして三角関係っ!?わ、やだ・・・・スゴイね、嵐君も隅に置けないな・・・ってことは、え、もしかして、彼女がいるのに私を口説いていたの・・・うわ、最低っ・・・・・・・。」
「違うっ、違うから、違うから!!遙、待って、そんな目で逃げないで!俺は無実だから!二股とかそんなんじゃないし、違う違う、大マジで!」
嵐が、不審気な目で後退って店を出ていった遙を追いかけようにも、香帆がしっかりと腰を掴んで盾にしているので追いかけられない。ついにキレた嵐は後ろにいた香帆を引っ張って、八尋の前に立たせた。
「香帆、お前も俺の従妹ならちゃんと彼氏と話し合え!」
「でも、嵐ちゃん・・・・」
「黙れ!お前のせいで遙に誤解されてしまっただろうが。後で真帆達にも抗議しておくからな。おい、お前もこいつの彼氏ならしっかりと捕まえていろ、いい迷惑だ!」
嵐は香帆や八尋に対して怒鳴った後、エプロンを他の店員に押し付けて玄関の方へと走って行った。どうやらさっきの遙という女性を追いかけていくつもりらしい。
盾がいなくなった香帆は冷や汗を垂らしながら固まっていた。少しの間をおいて、我に返った八尋がおそるおそるというように抱きしめようとしてきたが、手を跳ね除けると、八尋がしょぼんとした表情になって項垂れた。それでも、退路をきっちりと断つあたりは抜け目ない。
「香帆・・・・お願いだから、逃げないで。何なの・・・さっきの顔がいい男は。」
「さっき、嵐ちゃんが言っていたことを聞いていなかったんですか?従兄ですよ。」
「従兄・・・・いとこって結婚できるよね・・・?」
「何バカなことを真顔で言っているんですか。とにかく、さっき言った通り、私に近寄らないでください。触らないで下さい。離れてください、別れてください。」
「ちょ、悪化したっ!?香帆さん、せめて別れるのはナシで!あいつらならすぐ処理するから!」
「別れても問題ないですよ。どうせ、私も元彼女になれば処理される側ですし・・・。」
「違うからね?香帆は別格だからね!というか、別れる気はこれっぽちもないからね!ああもう、もっと早くこの手段をとっておけば良かった・・・くそ。」
香帆がジト目になっていると、慌てたように八尋がスマホを取り出した。いきなりスマホって何をするつもりなのかと疑問を持った香帆の前で八尋は一瞬にして空気と声を豹変させた。
「あ、隆?俺の元彼女達全員の連絡先についてだけれど、もうほぼ把握済みだよな?え、一部だけまだ?そっちは後回しでいい。とにかく、今すぐにそいつらに対して、俺と香帆に今後一切近づかないように通達してくれ。もし、通達を無視するようであれば、法的手段をとるとも言っておけ。うん、そっちの手続きは並行で頼む。それでも文句を言ってくるようなら、鬼人族の総力を挙げて叩き潰すからそっちの準備も・・・ああ、頼む。」
香帆は滅多に見られないピリッとした空気に押されて下がったが、スマホを切ったとたん、八尋の声はいつもの甘い声に戻っていた。
「香帆、隆に今頼んだからちょっと待ってて~。くっそ、もっと早く準備しとけばよかった・・・。」
「・・・・法的手段って、そんなことができるんですか?」
「あ~、ここだけの話ね?隆が弁護士の息子なのー。だから、鬼人族に何かあった時はそっちにお願いして処理してもらっているんだよね~。」
「・・・後、間延びした声って・・・わざと、ですよね?以前はそんな口調じゃなかったですし。」
「・・・・・・じ、地ダヨー?」
「そこで、誤魔化しますか・・・解りました、お別れですね、龍野先輩。」
「待って待ってぇえええ!!話す、ちゃんと話すから見捨てないでぇえええ!」
だっと走り出した香帆の足にしがみつくイケメンはシュールだ・・・。
当の香帆は逃げようと必死で気づいていないが、店にいた誰もが注目している。(八尋は気づいているがそれどころじゃない。)
八尋が必死に正座して引き留めたこともあり、なんとか香帆をゲーム店の入り口に留めることに成功した。ちなみに攻防は約1時間続いた。(長いわ)
「うう・・・俺ね、この通り声がなんていいますかね、ちょっと威圧感あるデショ?」
「ああ、まぁ、結構鋭い声ですよね。」
「そうなのよー。でね、ブロッサムのマスターに言われたの、お前のその口調だと彼女に変な誤解与えかねないかって。だからいろいろ悩んでこうなったンデスヨ。」
「・・・・・彼女?」
「後、周囲に香帆が今までの女と違って特別な存在だって示すためにもいいんじゃないかって隆にも勧められて。・・・・・あのう、まだ怒ってますか・・・香帆さん?」
「あ、やっと解りました。彼女って、私のことだったんですね。もうすっかり別れた気分でいたのでつい聞き逃してしまいました。ああ・・・納得です。」
「いやいやいや、別れませんよー?別れないからねっ?別れていないからね!?」
完全にマイペースで淡々と言っている香帆にいよいよヤバいとばかりに八尋は汗びっしょりになった。そんなこんなで冷たい香帆の目線に晒されながらも八尋は着信を天の助けとばかりにスマホを取り出した。
「もしもし、どうしたのさ、隆・・・ああ、終わったの?なに、まだ一時間半ぐらいしか経ってないけど、意外に早かったね?え、小娘が手伝ってくれたって・・・ああそう・・ねぇ、香帆、登良野って何者なのー?彼女が入ってくれたからすごくスムーズに終わったって隆が言っていたんだけど。」
スマホを切って青い顔で聞いてきた八尋に対して、香帆はあっさりと答えた。
「・・・・オフレコでお願いします。莉里ちゃんは警視総監の娘ですよ。」
「ふぁっ、で、でも、警視総監とは名字がチガウよ・・・?」
「ええ、ご両親が離婚した関係で名字は母方の姓になっているんですよ。でも、お父さんとは定期的に会っているみたいですね。特に、娘は莉里ちゃんしかいないらしく、すごく溺愛されているみたいです。」
「隆ィ・・・お前も人のこと笑えないぐらいハードル高くないか・・・。」
乾いた笑いしかでないのも当然だ。とりあえず、八尋は隆に対して内心で黙とうを捧げることにした。
そんなこんなで未だにずるずると香帆を引き留めている八尋に対して、香帆はため息をついて、八尋と目を合わせて座った。(※八尋の正座は未だ継続中。)
「しかし埒があきませんね…そうだ、バレンタインプレゼントあげるので、手切れ金代わりに・・・。」
「却下、却下ですよ、香帆さんっ・・・・あの女どもについては解決したんで、もう問題ないとおもうんですがねっ?」
「そもそも、どうしてあの人達が群がってきたんですか?まるで先輩がいるって解っていたみたいでしたよ・・・。」
「あれ、そういえば・・・なんでだろう・・・・。」
八尋も今気づいたとばかりに、首を傾げた。香帆としてはそれが解決しない限りまた同じようなことが起こると思っていたので、それが解決するまではお断りだと拗ねた。
八尋がもう一度隆に電話するためにスマホを取り出そうとしたその時、甲高い声が聞こえてしまい、眉間に皺をよせた。もちろん、香帆も一瞬にして無表情になっている。現れたのが朝に会ったボインなお姉さんの一人だったからだ。
「八尋、さっきの隆からのメールはどういうことなのっ?やっぱり、その小娘が原因なのかしら?」
「・・・・・・・・お呼びですよ、龍野先輩。」
「香帆さんや、ここは無視するのが正解ですよ・・・。こんなヤツと目を合わせちゃいけません。」
「そうだ、お姉さん、どうして龍野先輩が駅前に現れることが事前に解ったんですか?」
「あら、知らないの?SNSのサークルに『鬼神族総長の恋路を見守る会』っていうのがあって、そこに情報が載っていたのよ。えっと・・・ほら。」
余裕からか、親切にスマホで取り出して見せてくれるお姉さん。複雑ながらも、スマホの画面を覗いてみると、とある文章が目に入った。
『明日はうちの総長が学校の帰りがてら彼女とデートする日だよっ☆でも、明日総長は学校へいかないからいつもの駅前集合パターンだろうな。あ、やっぱり、16:30に駅前の噴水広場で待ち合わせだ。はー、いつも愚痴を聞かされてばっかりだし、バレンタインなんだから今度こそ最後までちゃんとデートして欲しいなぁ~。』
文章を読み終えた2人はスマホをお姉さんに返しつつ、無言で微笑みあった。
「・・・元凶は隆ってことで確定ダネー。というか、なんていう余計な情報を載せるのさ・・・。」
「というか・・・先輩は『恋路を見守る会』の存在を知らなかったんですか?」
「知っていたらこんなの許すわけない・・・そんな目を向けないでクダサイ。隆にすぐに消すように命じておくから。」
「・・・はぁ。今回は先輩のせいじゃないみたいですから許します。でも、次はないですよ。」
「ありがとー。香帆、大好き~っ!!」
ようやく笑顔を見せた香帆に抱きついた八尋もホッとしたとばかりに嬉しそうな顔になっている。何かなんだかわからずに唖然としていたお姉さんが我に返って怒鳴りだしたが、それより先に八尋の眼光が鋭く光った。
「・・・そんなこと・・・より・・・ひぃっ?」
「・・・・・隆からの忠告に従え。今回は情報をくれた礼として見逃すが、次はない。ととっと俺達の前から失せろ。」
ことばを詰まらせながらも引きさがったお姉さんを見送った香帆は、がっくりと肩を落とした。
「そういえば、バレンタインデーでしたね。色々ありすぎてもうどうでもよくなりましたよ。」
「いやいやいや、デートだからね、楽しみにしていたんだから、せめてプレゼントだけでもっ!」
必死に懇願する八尋をじっと見た後、香帆は辺りを見回してからもっと近づくようにと手招きした。それに首を傾げつつも疑問を持たずに従う八尋がちょっと狼っぽく見えてしまったのは否定しない。
八尋先輩の顔が近づいてくるのを見計らってプレゼントを目の前にぶら下げた。
「ハッピーバレンタインです、八尋先輩。」
「・・・っ・・・・香帆っ!!!」
「さて、帰りますね。」
「まさかの展開!!うう・・・今夜は頑張ろうと思ってたのに・・ぃ・・・!」
「え、今夜って・・・まさか、何かするつもりだったんですか・・・」
「えっと・・・まあ、カップルらしいことを・・・ごにょごにょ・・・」
「・・・っ・・・失礼しますっ!」
「待って、待って!!今夜は諦めるから、せめて、家までは送らせてぇええ!!危ないから、ねっ、お願いだから待ってぇえええええ!!」
「いやあぁああ!またこのパターンですかっ!?」
と、とりあえず・・・帰り道もダッシュで帰る羽目になったことと、結局、最後まで八尋先輩が一緒だったということは付け加えておきます。
ちなみに、八尋先輩へのプレゼントはお揃いのマグカップですよ。まぁ・・・嫌がらせにチョコブラウニーもつけておきましたけど。
・・・とりあえず、虎矢さんには莉里ちゃん経由でお仕置きですね。まぁ・・・多分というか、確実に八尋先輩からもお仕置きを受けることになるでしょうけれど。
香帆は突然降りてきた感触に何も考えられなくなっていた。
「やっ・・・・んっん!!」
くらくらする。眩暈がする。
何も考えられない。
息苦しい。
何度も逃げても絡みついてくる唾液と熱。
時折濡れた唾液を塗りつけるように唇を舐めてくる熱が時に空気と共に冷たい風を吹き込んでくる。
それこそ蹂躙されるかと思うほど執拗に舌を吸い取られた。
「せん、ぱっ・・・や・・・」
いつもと、違う。
いつもは甘く唇と唇をくっつけるだけのキスなのに。
今されているキスは、いつになく唇が、のどが、全身が、それこそ、全てが飲み込んでくるような熱さ。
きっと、今の私は耳どころか全身が真っ赤に染まっているに違いない。
口の中で|卑猥(ひわい)な音を立てて彼の舌が蛇のように動き回る。
逃げようにも、後頭部を押さえつけられていて逃げられない。
唾液でいっぱいになるこんな感覚なんて知らなかった。
こんなにも激しいキスをまさか自分が受ける羽目になるとは思わなかった。
それも、こんな公衆の面前で。
恥ずかしい。
羞恥心が沸き上がる。
せめて、駅前じゃなかったら良かったのに。
(なのに、なんで、なんで・・・っ・・・)
息苦しさから、涙目が出そうになるが、八尋の攻勢は止まるところを知らない。それどころか、背中にまわしている腕が香帆の背中から脇へ這うように動いていく。
その腕が脇にきたその時太い指がそっとブラの感触を味わうように強めに押してきた。
手の動きが怪しいことに気づいた香帆は必死に逃げようと頭の回転を巡らせた挙句、ちらっと見えた八尋の足を思いっきり・・・・・踏んだ。
「いてっ!!!!!」
さすがの八尋も足を踏まれては、香帆を抑えていた腕も外れるというもの。ここぞとばかりに逃げた香帆は痛みに悶えている八尋の頬を目掛けて思いっきり叩いた。
「八尋先輩のっ・・・・バカっ!」
振り下ろした手は八尋の頬に命中し、手のひらが真っ赤になるぐらいじんじんとしびれていたが、香帆はこの公衆の面前でキスされたことに腹を立てていて、痛みなど。
蹲る八尋を余所に、近くで文句を言い喚く女性達の声が聞こえるが、今の香帆に怖いものなどない。
「あんた、何様なの!鬼人族の総長と恐れられているこの人を叩くだなんて!」
「んまぁ、キス一つされたぐらいで・・・・それぐらいで文句を言うだなんてよっぽど心が狭いのねぇ。」
「八尋が一人の女に満足するわけないでしょ。」
「貴方達は黙っていてください。これは、私と八尋先輩の問題です。」
「なんですって!!大体、そんな地味で平凡な格好で!不可侵とされていた八尋の隣を占領するだなんて!厚かましいことの上ないし、身の程知らずよ!」
ブチっと香帆の中で何かが切れた音がした。香帆の周りから一気に噴き出るオーラもどきを見た八尋は真っ青になっていたが、当の香帆はというと、眩いばかりの微笑みを見せていた。
あの兄達(※詳細は本編参照)を説教する時に対して見せていた菩薩のような微笑みは、八尋にとって地獄の入り口のパスポートも当然だった。何も知らない女性たちはただ喚いていただけだが、八尋は内心ヤバいと冷や汗を垂らしまくりだった。そんな彼に対して香帆は当然のように無情な判決を下した。
「・・・八尋先輩、この人達が私に近寄らなくなるようになるまで、何もかもお預けです!」
「香帆っ?」
「もちろん、バレンタインデーのプレゼントも渡しませんからっ!」
「ちょ、ちょっと待ってぇえええええ!!!」
ただでさえ、公衆の面前で公開ディープキスをされたのだ。こんなの恥ずかしくて居た堪れない。今すぐ離れるのが賢明だと言わんばかりに香帆は走って逃げた。
それに慌てて追いかけてきている八尋だが、足のこともあり、香帆の方にまだ分があった。何度引き離しても追いかけてくる八尋をしつこいと思いながら、香帆は隠れる場所を考えだした。
「っ・・・・あ、嵐ちゃんの店が近くにあったかも!」
場所を決めたとなれば後はそこへ行くだけだ。嵐のいるゲーム店へと向かった。
ダッシュダッシュで走りまくり、見えたのは某ゲーム店。店の入り口を抜け、嵐を探していると、ゲームソフトの整理の真っ最中だった。当然客や店員が注目して目立ってしまっている。
「いた、嵐ちゃん、かくまってくださいっ!!」
「はぁっ?香帆、なんでここに・・・・って何だよ、その後ろにいるオーラが禍々しい癖に無駄に整った奴は!?」
慌てふためく嵐を余所に、香帆は嵐を盾にして後ろに隠れた。唖然としていた嵐の目の前にはどす黒いオーラを出していた八尋が息を切らせて立っていた。
「・・・香帆、俺を巻き込むなっつーの。なんで鬼ごっこを?まさか、痴話喧嘩とか言うなよ。」
「嵐ちゃん・・・だって・・・八尋先輩話が悪いんですよ。」
「香帆・・・その男から離れて?なんでその男と親し気に話してんのー?」
「つまり、痴話喧嘩ってことね・・・くだらなねぇ、ちゃんと話し合えばいいだけじゃないか。」
「それができるぐらいなら、今、こんなことやっていませんよっ!」
ぎゃあぎゃあとうるさい2人に挟まれてげっそりとした顔をしていた嵐だったが、香帆は一向に嵐から離れる気配がない。それにイラっとした八尋が嵐を睨みつけるという悪循環に陥っている。
と、そこへ香帆も八尋も見覚えがない黄色いクマさんの着ぐるみを着た女性がソフトを持って話しかけてきた。嵐が反応しているあたり、知り合いのようだ。
「・・・・何やってんの、嵐君。」
「あっ、遙・・・これまたスゴイ着ぐるみで。」
「失礼な・・・って、この様子からして・・・もしかして三角関係っ!?わ、やだ・・・・スゴイね、嵐君も隅に置けないな・・・ってことは、え、もしかして、彼女がいるのに私を口説いていたの・・・うわ、最低っ・・・・・・・。」
「違うっ、違うから、違うから!!遙、待って、そんな目で逃げないで!俺は無実だから!二股とかそんなんじゃないし、違う違う、大マジで!」
嵐が、不審気な目で後退って店を出ていった遙を追いかけようにも、香帆がしっかりと腰を掴んで盾にしているので追いかけられない。ついにキレた嵐は後ろにいた香帆を引っ張って、八尋の前に立たせた。
「香帆、お前も俺の従妹ならちゃんと彼氏と話し合え!」
「でも、嵐ちゃん・・・・」
「黙れ!お前のせいで遙に誤解されてしまっただろうが。後で真帆達にも抗議しておくからな。おい、お前もこいつの彼氏ならしっかりと捕まえていろ、いい迷惑だ!」
嵐は香帆や八尋に対して怒鳴った後、エプロンを他の店員に押し付けて玄関の方へと走って行った。どうやらさっきの遙という女性を追いかけていくつもりらしい。
盾がいなくなった香帆は冷や汗を垂らしながら固まっていた。少しの間をおいて、我に返った八尋がおそるおそるというように抱きしめようとしてきたが、手を跳ね除けると、八尋がしょぼんとした表情になって項垂れた。それでも、退路をきっちりと断つあたりは抜け目ない。
「香帆・・・・お願いだから、逃げないで。何なの・・・さっきの顔がいい男は。」
「さっき、嵐ちゃんが言っていたことを聞いていなかったんですか?従兄ですよ。」
「従兄・・・・いとこって結婚できるよね・・・?」
「何バカなことを真顔で言っているんですか。とにかく、さっき言った通り、私に近寄らないでください。触らないで下さい。離れてください、別れてください。」
「ちょ、悪化したっ!?香帆さん、せめて別れるのはナシで!あいつらならすぐ処理するから!」
「別れても問題ないですよ。どうせ、私も元彼女になれば処理される側ですし・・・。」
「違うからね?香帆は別格だからね!というか、別れる気はこれっぽちもないからね!ああもう、もっと早くこの手段をとっておけば良かった・・・くそ。」
香帆がジト目になっていると、慌てたように八尋がスマホを取り出した。いきなりスマホって何をするつもりなのかと疑問を持った香帆の前で八尋は一瞬にして空気と声を豹変させた。
「あ、隆?俺の元彼女達全員の連絡先についてだけれど、もうほぼ把握済みだよな?え、一部だけまだ?そっちは後回しでいい。とにかく、今すぐにそいつらに対して、俺と香帆に今後一切近づかないように通達してくれ。もし、通達を無視するようであれば、法的手段をとるとも言っておけ。うん、そっちの手続きは並行で頼む。それでも文句を言ってくるようなら、鬼人族の総力を挙げて叩き潰すからそっちの準備も・・・ああ、頼む。」
香帆は滅多に見られないピリッとした空気に押されて下がったが、スマホを切ったとたん、八尋の声はいつもの甘い声に戻っていた。
「香帆、隆に今頼んだからちょっと待ってて~。くっそ、もっと早く準備しとけばよかった・・・。」
「・・・・法的手段って、そんなことができるんですか?」
「あ~、ここだけの話ね?隆が弁護士の息子なのー。だから、鬼人族に何かあった時はそっちにお願いして処理してもらっているんだよね~。」
「・・・後、間延びした声って・・・わざと、ですよね?以前はそんな口調じゃなかったですし。」
「・・・・・・じ、地ダヨー?」
「そこで、誤魔化しますか・・・解りました、お別れですね、龍野先輩。」
「待って待ってぇえええ!!話す、ちゃんと話すから見捨てないでぇえええ!」
だっと走り出した香帆の足にしがみつくイケメンはシュールだ・・・。
当の香帆は逃げようと必死で気づいていないが、店にいた誰もが注目している。(八尋は気づいているがそれどころじゃない。)
八尋が必死に正座して引き留めたこともあり、なんとか香帆をゲーム店の入り口に留めることに成功した。ちなみに攻防は約1時間続いた。(長いわ)
「うう・・・俺ね、この通り声がなんていいますかね、ちょっと威圧感あるデショ?」
「ああ、まぁ、結構鋭い声ですよね。」
「そうなのよー。でね、ブロッサムのマスターに言われたの、お前のその口調だと彼女に変な誤解与えかねないかって。だからいろいろ悩んでこうなったンデスヨ。」
「・・・・・彼女?」
「後、周囲に香帆が今までの女と違って特別な存在だって示すためにもいいんじゃないかって隆にも勧められて。・・・・・あのう、まだ怒ってますか・・・香帆さん?」
「あ、やっと解りました。彼女って、私のことだったんですね。もうすっかり別れた気分でいたのでつい聞き逃してしまいました。ああ・・・納得です。」
「いやいやいや、別れませんよー?別れないからねっ?別れていないからね!?」
完全にマイペースで淡々と言っている香帆にいよいよヤバいとばかりに八尋は汗びっしょりになった。そんなこんなで冷たい香帆の目線に晒されながらも八尋は着信を天の助けとばかりにスマホを取り出した。
「もしもし、どうしたのさ、隆・・・ああ、終わったの?なに、まだ一時間半ぐらいしか経ってないけど、意外に早かったね?え、小娘が手伝ってくれたって・・・ああそう・・ねぇ、香帆、登良野って何者なのー?彼女が入ってくれたからすごくスムーズに終わったって隆が言っていたんだけど。」
スマホを切って青い顔で聞いてきた八尋に対して、香帆はあっさりと答えた。
「・・・・オフレコでお願いします。莉里ちゃんは警視総監の娘ですよ。」
「ふぁっ、で、でも、警視総監とは名字がチガウよ・・・?」
「ええ、ご両親が離婚した関係で名字は母方の姓になっているんですよ。でも、お父さんとは定期的に会っているみたいですね。特に、娘は莉里ちゃんしかいないらしく、すごく溺愛されているみたいです。」
「隆ィ・・・お前も人のこと笑えないぐらいハードル高くないか・・・。」
乾いた笑いしかでないのも当然だ。とりあえず、八尋は隆に対して内心で黙とうを捧げることにした。
そんなこんなで未だにずるずると香帆を引き留めている八尋に対して、香帆はため息をついて、八尋と目を合わせて座った。(※八尋の正座は未だ継続中。)
「しかし埒があきませんね…そうだ、バレンタインプレゼントあげるので、手切れ金代わりに・・・。」
「却下、却下ですよ、香帆さんっ・・・・あの女どもについては解決したんで、もう問題ないとおもうんですがねっ?」
「そもそも、どうしてあの人達が群がってきたんですか?まるで先輩がいるって解っていたみたいでしたよ・・・。」
「あれ、そういえば・・・なんでだろう・・・・。」
八尋も今気づいたとばかりに、首を傾げた。香帆としてはそれが解決しない限りまた同じようなことが起こると思っていたので、それが解決するまではお断りだと拗ねた。
八尋がもう一度隆に電話するためにスマホを取り出そうとしたその時、甲高い声が聞こえてしまい、眉間に皺をよせた。もちろん、香帆も一瞬にして無表情になっている。現れたのが朝に会ったボインなお姉さんの一人だったからだ。
「八尋、さっきの隆からのメールはどういうことなのっ?やっぱり、その小娘が原因なのかしら?」
「・・・・・・・・お呼びですよ、龍野先輩。」
「香帆さんや、ここは無視するのが正解ですよ・・・。こんなヤツと目を合わせちゃいけません。」
「そうだ、お姉さん、どうして龍野先輩が駅前に現れることが事前に解ったんですか?」
「あら、知らないの?SNSのサークルに『鬼神族総長の恋路を見守る会』っていうのがあって、そこに情報が載っていたのよ。えっと・・・ほら。」
余裕からか、親切にスマホで取り出して見せてくれるお姉さん。複雑ながらも、スマホの画面を覗いてみると、とある文章が目に入った。
『明日はうちの総長が学校の帰りがてら彼女とデートする日だよっ☆でも、明日総長は学校へいかないからいつもの駅前集合パターンだろうな。あ、やっぱり、16:30に駅前の噴水広場で待ち合わせだ。はー、いつも愚痴を聞かされてばっかりだし、バレンタインなんだから今度こそ最後までちゃんとデートして欲しいなぁ~。』
文章を読み終えた2人はスマホをお姉さんに返しつつ、無言で微笑みあった。
「・・・元凶は隆ってことで確定ダネー。というか、なんていう余計な情報を載せるのさ・・・。」
「というか・・・先輩は『恋路を見守る会』の存在を知らなかったんですか?」
「知っていたらこんなの許すわけない・・・そんな目を向けないでクダサイ。隆にすぐに消すように命じておくから。」
「・・・はぁ。今回は先輩のせいじゃないみたいですから許します。でも、次はないですよ。」
「ありがとー。香帆、大好き~っ!!」
ようやく笑顔を見せた香帆に抱きついた八尋もホッとしたとばかりに嬉しそうな顔になっている。何かなんだかわからずに唖然としていたお姉さんが我に返って怒鳴りだしたが、それより先に八尋の眼光が鋭く光った。
「・・・そんなこと・・・より・・・ひぃっ?」
「・・・・・隆からの忠告に従え。今回は情報をくれた礼として見逃すが、次はない。ととっと俺達の前から失せろ。」
ことばを詰まらせながらも引きさがったお姉さんを見送った香帆は、がっくりと肩を落とした。
「そういえば、バレンタインデーでしたね。色々ありすぎてもうどうでもよくなりましたよ。」
「いやいやいや、デートだからね、楽しみにしていたんだから、せめてプレゼントだけでもっ!」
必死に懇願する八尋をじっと見た後、香帆は辺りを見回してからもっと近づくようにと手招きした。それに首を傾げつつも疑問を持たずに従う八尋がちょっと狼っぽく見えてしまったのは否定しない。
八尋先輩の顔が近づいてくるのを見計らってプレゼントを目の前にぶら下げた。
「ハッピーバレンタインです、八尋先輩。」
「・・・っ・・・・香帆っ!!!」
「さて、帰りますね。」
「まさかの展開!!うう・・・今夜は頑張ろうと思ってたのに・・ぃ・・・!」
「え、今夜って・・・まさか、何かするつもりだったんですか・・・」
「えっと・・・まあ、カップルらしいことを・・・ごにょごにょ・・・」
「・・・っ・・・失礼しますっ!」
「待って、待って!!今夜は諦めるから、せめて、家までは送らせてぇええ!!危ないから、ねっ、お願いだから待ってぇえええええ!!」
「いやあぁああ!またこのパターンですかっ!?」
と、とりあえず・・・帰り道もダッシュで帰る羽目になったことと、結局、最後まで八尋先輩が一緒だったということは付け加えておきます。
ちなみに、八尋先輩へのプレゼントはお揃いのマグカップですよ。まぁ・・・嫌がらせにチョコブラウニーもつけておきましたけど。
・・・とりあえず、虎矢さんには莉里ちゃん経由でお仕置きですね。まぁ・・・多分というか、確実に八尋先輩からもお仕置きを受けることになるでしょうけれど。
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