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26)悩み事は二人で
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「・・・・・って、ザン?聞いてる?」
「・・・・・・・・・・。」
朝ごはんを食べながら、眉間にしわを寄せているザンに質問した。さっきから話しかけているのに、心あらずといった様子なのだ。上の空でいたザンに対して、アリアは膨れだした。
「もういいや、仕事に行く。」
「え、あ、もう食べたのか?」
「・・・・・とっくに食べ終わったよ。じゃあね。」
「あ、ああ。」
食べ終えたアリアはザンに冷たい視線を向けた後、仕事に行くと部屋を出て行った。ザンは我に返り、アリアの機嫌を損ねたことにやっと気づいた。
「しまった。考え事していたから・・・ポトス。」
「はい、ここに。」
「アリアに昼は一緒に食べられるかどうか聞いておいてくれ。俺も仕事へ行く。」
「かしこまりました。しかし、ザン様はタイミングが悪い。アリア様へのプレゼントを考えていたのでしょう?」
「ああ。そろそろ誕生日だからな。あれには毎年驚かせられているから、今年こそはと思ってもなかなか。」
ザンがため息をついている頃、アリアは書斎で拗ねまくっていた。
「もう・・・ザンのバカバカバカバカ。」
その不機嫌な様子を見ている職員は触らぬ神に祟りなしとばかりに沈黙を貫いている。そうでなくても、かつては魔王として名を馳せていた王子についての不満だ。それを肯定したと思われたら大ごとになりかねない。かといって、妃であるアリアの機嫌を損ねても困る。よって、沈黙を選ぶしかなかった。
幸いにして、アリアは周りに当たることはなかった・・・唯一の兵士を除いては。
「ねぇ、ラティス。どう思う?ザンが上の空だったんだよ。いつもならそんなことないのに。」
「はは・・・・仲がいいようで何よりだと。」
「どこがっ!?」
「文句言いながらいちゃついてるじゃないですか。前に廊下で喧嘩していたかとおもえば、最後はのろけ合戦じゃなかったですか。」
「あ、あれは・・・ザンが意地悪なことをするから。」
しどろもどろになっているアリアをよそにラティスは遠い目になった。意地悪なこととは、言うまでもなくキスのことで。さすがに最後まではなかったようだが、人前じゃいやだとのたまったアリア妃の叫びからして、マンザラではなかったのではと思う。
未だに遠い目になっていたラティスと真っ赤になっていたアリアをよそにドアがノックされる。入ってきたのはポトスだった。
「どうしたの、ポトス。」
「ザン様から、昼食をご一緒できないかと打診がきております。よろしければお願いしたく。」
「ラティスに連れて行ってもらうから結構ですと伝えてくださいっ!」
「「アリア様っ!?」」
この時、ラティスとポトスの思いはひとつになった。ザン殿下の機嫌が急降下になる可能性が高い!と。ラティスは慌てて、アリアになんとか説得を試みた。ワンテンポ遅れたポトスもまたそれに乗っかった。
「ちょっと待ってくれ、アリア様。どうせなら、殿下と一緒に外へ出かけられては?」
「そうでございますよ!言っちゃ悪いですが、ザン様の方がよっぽど護衛に役立ちます。何より・・・」
「「ザン様(殿下)の機嫌を損ねられては、我々が困ります!」」
「貴方達、そういう時だけ息がぴったりになるのね。」
あきれ果てたアリアだが、考えを翻すなんてことは考えてないようだ。必死にあれこれ説得するが、二人とも徒労に終わった。ラティスは打ちひしがれて、床に倒れ込んだし、ポトスは顔を真っ青にさせて誰かに通話で連絡を取っていた。
アリアはそんな二人を放置して、再び仕事に戻ろうとした。二人はよろめきながら部屋をでていった。特にポトスなどは「気が重い、仕事に行きたくない、むしろ家にこもりたい」と言いたいことだけ言いたい放題。胃を抑えるようにして蹲ってもいたがスルーした。
アリアがしばらく無言で仕事に集中していると、職員たちがいつの間にか集まって何やら話し合っていることに気付く。
「このワンダーギフト、かなりすごいぞ。」
「ああ、これは芸術的なものだ。」
「魔法でもここまで再現できるかどうか・・・。」
「どうしたの?」
わいわいと職員が集まっていることに気付いたアリアは声をかけた。職員もアリアに気付いて、手にあったワンダーギフトを渡してみせた。アリアは目を見張り、懐かしいと呟いた。
「あら、懐かしいわね。これは真珠っていうのよ。女性にアクセサリーとして人気があったわ。」
「しんじゅというのですね?キラキラしていて綺麗ですね。それにアクセサリーなら納得だ。ネックレスにしても、ピアスにしてもよい感じだな。」
小さい真珠の玉について話し合っている部下たちをよそに、アリアは呟いていた。
「これ、ザンに見せたいなぁ・・・。」
思い立ったら居ても立っても居られず、真珠をリストに登録した後、ほんの少しだけ借りることにした。
ただ、ポトスに行かないといった手前、昼は我慢しなければならない。
そわそわしながらも、アリアはラティスに話しかけていた。
「ザンはどこにいるかわかる?いや、昼は別に一緒に行かなくてもいいけれど、見せたいものがあるから、それだけでもと思って。」
「早急に調べます。」
当然のように魔力感知を求められたラティスは、静かに目を閉じた。その瞬間、風が吹き荒れ、ラティスが魔力を発動させていく。そして、少しずつサーチの範囲を広げていった。
「あ、いました。どうやら皇太子様とご一緒のご様子です。」
「あ、そうなの。うーん・・・じゃあ、夜にするわ。」
皇太子であり、ザンの兄にあたる人であれば失礼はできないと思ったアリアは、会いに行くのをあきらめた。その代わり、夜にちょっと様子を見ようと決め、ラティスを引きずって街へと降りていった。
もっとも、ザンとの再会は夜どころか、すぐに訪れることになるのだが。
「・・・お前はいい度胸をしているな?人妻を拉致し、甘味で釣るとは。」
「いやいや、誤解を招く言い方をやめてくださいっ!!それに、拉致されたのは俺の方ですっ!」
涙目になりながら魔王というオーラをかぶったザンを必死に説得するラティスだが、それで止まるような魔王ではない。
珍しく、アリアもザンの魔力がピリピリしているのに気づいている。しあkし、自分からはなかなか切り出しにくいといったいところだろうか。
「ザン、ラティスはザンの代わりに付き合ってくれているのよ。」
「・・・ほう。その割には親密な。」
「そんなことないと思うけれど・・・とにかく失礼なことはしないでね。そうでなくてもフードで目立っているんだよ、私達・・・・。」
アリアのいうとおり、忍びの時には必ずフードをかぶって目や髪が見えないようになっていた。それはラティスはもちろん、アリアについても同様だった。
。
ザンは一通りラティスで遊んだ(?)後、アリアの隣の席に座った。そして暑苦しいからと、座っている場所に結界をはってくれた。
「アリア、昼ごはんをこいつと食べるぐらいなら俺と食べろ。」
「ええ・・・・。」
アリアが嫌そうな顔をすると、ザンは思い出したように慌てだした。
「まさか、朝のことを怒っているか?だとしたらすまん。少々、考えごとをしていたから。」
ザンの言い訳を聞いたアリアは一瞬きょとんとしたが、すぐに表情を暗くして落ち込んだ。
「・・・もういいもん。」
「いや、アリアにも関わる話だから、聞いてくれ。最初からお前に相談していればよかったことだ。ごめんな。」
ザンはそういうと、拗ねているアリアを引き寄せて、膝へとのせた。ザンの胸にもたれてすっぽりとザンの懐に入ったアリアは抗議しようとしたが、キスで返り討ちにされて泣きそうになっていた。
「もういい・・・それで、相談って?」
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