【R18】第二王子と妃の夫婦事情

巴月のん

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45)お約束の展開へ

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この日の目覚めはいつもと違った。なんだか吐き気を感じて首を傾げたその時、隣で寝ていたザンがぼんやりと起き上がってきた。

「ザン、おはよう」
「珍しいな、お前が。随分はやいようだが、眠れなかったのか?」

ザンが言う通り、普段はこんなに早く起きはしない。それだけに自分でも意外だったが、吐き気を感じていたことを思い出し、洗面所に行くといってはベッドを出た。

「うう、気持ち悪いよう」

むーと唸るアリアにザンは眉間にしわを寄せながら服を着ていた。

「そんなに気持ち悪いなら、医師に診てもらったほうがいいんじゃないのか」
「うっ、でも薬は嫌だなぁ・・・」
「早めに治しておけば薬もいらんだろうが、さっさと行くんだな」

ぶっきらぼうながらも、心配そうに言ってくるザンにしぶしぶと頷いたアリアはシャラを呼んだ。

「聞いてると思うけれど」
「かしこまりました、すぐに手配いたします」
「シャラ、念のためにラティスもつれていけ。転移装置も持たせてくれ」
「承知しました。結果がわかり次第、ラティスを向かわせます」
「・・・シャラとザンも結構ツーカーだよね」

ツーカーの意味が解らず首を傾げている二人に対し、アリアはもういいと首を振ってため息をついた。
今日は本当に余裕がないな・・・と思いながら、着替えに向かう。ちなみにザンはその間にしぶしぶながら兵団を引き連れて討伐に行った。ザンがいなくなった後、食欲もないことから朝ごはんも食べずにシャラと共に医務室へと向かうアリアの足取りは重かった。

「・・・というわけなんです」

パープルは少々歳を召した女性ではあるが、アリアの専属医師でもある彼女は皇族専属の女医でもあるため、腕は確かと評判。皇后陛下の担当もしていることから頼りになることもあり、アリアは事情を説明しやすかった。ドアの後ろで控えているシャラもアリアの健康チェックの資料を持参して、いろいろと質問に答えてくれていた。

「アリア様の熱は平均35度台ではありますが、最近は36度になることもざらで・・・」
「食欲はどうですか」
「ここ数日はよくお食べになっておられます。夜食も少々食べておられるせいか体重も増加の傾向に」
「シャラ、あまり言いすぎないで!」
「事実でございます」
月隠つきがくれの方はどうでしょうか」
「えっと…あれ?」
「そういえば最近聞いておりません。アリア様は不順の時も多いので、そこまで気にしてはなかったのですが」
「そうね、ザンの記憶がなかった時もストレスからか不順だったし、気にしてなかったけれど…」
「以前お倒れになった時も一時は妊娠かと騒ぎになりましたが、結局は体調不良による不順でしたね」

シャラの言葉に、ふと自分の子どもと会ったことを思い出した。ザンとの子どもが欲しくないわけじゃない。だが、お互い魔力が高いせいもあり、子どもができにくい身体であることから、あまり気にしないようにしていた。おそらくザンの方でも同じだろう。

(・・・いや、ザンの方はどちらかというと消極的かな。お前が欲しいなら作ってもいいとさえいうほどだから)

ザンはもともと淡泊な性格で、他人をあまり気にかけない。ただし、例外がアリア自身に関わることだと気付いたのはここ最近のことだ。政略結婚がまさかの恋愛結婚だとは本気で思いもよらなかった。そういう意味では、自分の父にそっくりな人を選んだとも言える。

(そういう意味では複雑・・・)

アリアがぼーっとしていた時、パープルが診断書を見ながら口を開いた。

「ふむ、アリア妃の今の状況はつわりの症状に近いですね。しかしながら、以前倒れた時のこともあるので断定はできないですね。それから、妊娠の可能性があるので機械で調べることはできませんわ」
「ああ…ということは、薬も無理というわけでしょうか?」
「あ、それは良かった…」
「ご心配無用ですわ、妊婦にも対応する薬がございますので」
「全然良くなかった!」
「さしあたり、アリア様は安静に過ごしていただくことを最優先なさってくださいませ」

がっくりと肩を落としたアリアと対照的にシャラがほっとしたように明るくなった。薬を処方してもらう約束をしてから医務室を出た二人はドア前を守っていたラティスに声をかけた。

「ラティス、終わったよー」
「お疲れ様っス、いかがでした?」
「二回目の妊娠疑惑が起こりましたー」
「・・・おおう、それはザン殿下が固まりますね」
「そして、また安静に!と騒ぎだすかと」
「うー。でも、多分これ妊娠じゃないと思うな」

変なところで確信が持てるアリアだが、単なる勘だけで言っていると思われたようで、シャラもラティスも首を振っている。解せぬといいたげなアリアだが、シャラやラティスから見れば、今までの行動を顧みろ!と言いたいぐらいである。
ラティスはため息をつきながらも、すぐにザンに連絡すると言っては転移装置で消えていった。
そして、シャラは薬をもらうために書類をもらいに行った。(薬草室に行って薬を調合してもらう必要があるため)

シャラを待つ間、廊下にあるソファーに座って待っていたアリアは壁にもたれて目を瞑った。どうにも気持ち悪さが止まらない。やけに唾液が出ていることも気になった。

「ふう・・・」
「もし、失礼ですが、アリア妃ではございませんか?」
「え、ええ…確かにおっしゃる通りですが、何か用事がおありでしょうか?」

声につられて瞼を開くと、ドレス姿のかわいらしい女性が立っていた。気づかわしそうに声をかけてくれた彼女に精いっぱいの笑みで返そうと立ちあがったその時、いきなりの痛みが襲ってきた。
後頭部に感じた痛みと共に薄れゆく意識の中聞こえたのは、彼女の震える声だった。



「あ、あなたが悪いんですのよ、わ、私のザン様を横から奪ったのですから!!!」

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