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その展開はいらなかったですわ!
しおりを挟むうふふふ、この世界はいいわね~♪
欲しかったゲームが売り切れで悔しかったから、他の女が持っていたのをひったくって逃げていた途中でトラックに引かれた時は「わたし終わたwwww」って思ったけれど・・・
神様は私を見てくれていたようで、私を転生させてくれたのよ!!
しかも、その欲しかったゲームの前作で私がすっごいやり込んでいた奴よ!
まさか、『我が愛しのSOULへ~永遠の愛を誓いますAHN☆~』のヒロインがこのあたしだなんて・・・ぐふふふ、あー嬉しい!!
運命だって思ったけれど、ぐっと我慢したわ。だって、少しでもセリフを間違えたら行きたいルートを辿れなくなって、本命とくっつくことができないかもって思ったもの。
だから、慎重に頑張ったわ。そして、やっと学園で本命たる王子様と会えたのよ。最近は悪役令嬢の転生だかでヒロインが悪役になるパターンもはやっているって聞いたわ。だから、より慎重に忠実に進めてきたのよ。幸い、悪役令嬢はテンプレの如く私をいじめてくれたから助かったけれど、念には念をっていうじゃない?ちょこっと私も手伝ってやったわ。
「もうすぐ卒業パーティー・・・そこで王子様が婚約している令嬢に婚約破棄を告げて、私に結婚を申し込んでくださるのよね。しかも、そこでき、キスまで・・・!!」
あのシーンは何度も繰り返しみたもの。もう今でも頭に焼き付いて離れない。
あのきらびやかな王子様の真剣な顔にセリフ・・・。まさか間近で、しかも私が言われることになるだなんて!!
本当に三日後が楽しみだわ!!
そうそう、ドレスもちゃんと選ばないとね・・・
グッとこぶしを握り締めていた私はくるくるまわりながらも、クローゼットを開けてあれこれとドレスを選んでいた。柄にもなく、前世で習っていたバレエを踊るぐらいには浮かれていたと思う。
そんな時だ、お父様から連絡があったのは。
なんと、夜に内密で訪問してくるのだという。あの王子様が!!
まさかとおもったのだけれど、王子様が本当に訪問してきたものだからもうびっくりものである。
(だって、こんなのゲームの中に出てなかったもの。これは何、隠しイベントかなんかなのかしら?)
でも王子様に会えるのは嬉しいとばかりに、喜んで客間に招き入れてお茶を差し出した。
「来ていただけて嬉しいですわ、ウラギリーノ殿下」
「突然の訪問で申し訳ない、バレッータ令嬢」
フードを外し、金髪のショートに青い瞳を曝け出す王子様の姿はやっぱり美男子でため息がでてしまうほど。
この王子様につりあうようにと、清楚な姿を保ってきたのよ。満足されないってことは絶対ないはず!!
「いえいえ。それで、どうかしまして?」
「・・・前に話をしただろう?あの話を・・・撤回したいと」
「え・・・な、何故ですの!?」
まさかの裏切り!!?あの婚約者をぼろくそに言っていた王子様が何故そんなことをおっしゃるのか理解できない。
だって、先日おっしゃっていましたわよね?
『本当にどうにかしてほしいよ、あの煩さを。僕はあの人のああいうところが好きじゃないんだ』
『今日もあの人は蔑ろにしてくれたよ・・・何故きちんと見てくれないのか』
『プレゼントだって自由に選びたいと思うよね。あれこれと彼女からうるさく指定されたり具体的なことを言われるのは面倒だな』
あれだけ愚痴っておいて、今更婚約者とやり直したいとかそんなことは口が裂けても癒えないはず!
「ちょっと待ってくださいませ。あの話というと、パーティーで彼女に婚約破棄を申し渡すことですわよね?」
「いや、それは予定通り行うつもりです」
紅茶を優雅に飲みながらも、そんなことを言ってきた彼の考えは理解できない。しかし、彼の視線は真剣だった。つまり、婚約破棄は絶対にするということだ。
「え?で、ではどういうことですの?」
「まぁ、いわゆるあれだね、婚約発表についてですね」
「あ、そ、そういうことでしたか・・・それは何故とお聞きしても?」
「もちろんいますぐに説明しましょう。そのためにここにいるのだから」
それならば問題はない。あのパーティーで婚約破棄された後はエンドロールに向かうので、特にシナリオがあるわけではない。だから、自分の結婚に支障があるわけではなく、後からでも婚約はできるわけで。確かに問題はまったくないけれど、何故それを今日言うのか気になって聞いてみた。すると、王子は少し迷いながらも口を開いた。
「うん、僕たちのことを姉上に相談したって言っただろう?」
「ええ、覚えていますわ」
「姉上曰く、反対はしないけれど、婚約破棄をしたすぐ後だと二股したみたいで外聞がわるいからもう少ししてから婚約したらどうかというんだ」
「ああ、確かに・・・」
(思いだした・・・そうだよ、王子様には姉と弟が一人ずついたんだったわ。姉弟の方はモブ雑魚だったからすっかり忘れていたけれども。まぁ、王位継承者ではないこともあって、別に問題視してなかったのよね)
「だろう?少なくとも、僕の妻となるべく人にはできるだけ恥となるような話題は避けたいと思うんだよね」
「そ、そうですわよね!!そういうことならわかりましたわ」
そうよ、私は未来の王妃になるんだったわ。この男爵令嬢(ヒロイン)がシンデレラのように王子様に愛され、この国の王妃となる未来が待っていることを考えれば、少しぐらいは待てますわよね。
「ああ、君が聡明で助かった。では、またパーティーで君と会えることを楽しみにしているよ」
「ええ、私もですわ・・・!!」
彼の説明ももっともだと納得し、ついでにパーティーの衣装についても会話してから別れを告げあった。まさかのハプニングもあったけれど、これで彼と結婚できると思えば、些細なトラブルよね・・・!!うふふふふと笑いを抑えきれず、布団の中でも思いだし笑いしてたことは内緒ですわよっ!!
(そうよ、今思えば・・・この時に矛盾に気付くべきだったわ・・・私のアフォ!!!)
そして、待ちに待ったパーティー・・・!私は王子様に褒めてもらったオレンジのドレスを着て、王子様の後ろでひっそりこっそりと隠れて待っていた。
もちろん、悪役令嬢に攻撃されないためという体裁のためよ!
「そんな、私がその令嬢を虐めたというのですか!?」
「非常に残念だが、その通りだ。メヒエル令嬢・・・君の愚行は我が妻となる人間の行為としては目に余る。残念ではあるが、この場を借りて、君との婚約の解消を宣言する!」
「そんな!!お言葉ではありますが、その令嬢はっ!!」
「黙れ。バレッータ令嬢はお前のような卑しい行動はしていないぞ」
「で、では、せめて教えてくださいませ!!この王族に認められた婚約者である私を差し置いてその令嬢と仲良くなさる理由を!!」
必死に懇願してくるメヒエル令嬢の言葉に周りがひそひそと囁きあう。私もまた震えながら王子の後ろに引っ付いていた。
が、私の内心はパニック状態で今の展開の先を予想できず真っ青になっていた。幸い王子に気付かれなかったから良かったようなものの・・・。
(何よこの展開!!こんなのセリフにあったかしら?!え?ちょっとずれているだけよね?まさか私がざまぁされる展開じゃないわよね!?)
「お、王子様・・・!」
「心配いらないよ、バレッータ令嬢・・・いいかい、彼女は素晴らしい人だ。それに成績も優秀なんだ。だからこそ、父上や母上にも納得していただいている」
「まぁ、それは本当に!?」
「ああ。君は国母にふさわしいと母上も言っていらした」
「嬉しいっ、私・・・祝福されないとばかり・・・!」
そんなわけないだろうと王子様がハンカチで私の涙を拭ってくれている。ああ、これでキスさえあれば完璧なのに・・・!!
(なんてことを思っていた私アフォ、これも立派なフラグだったっていうのにぃ!!)
私が慰められていた時に悪役令嬢は王子の命令で引きずり出され、、会場から退出させられていた。ざわついていた周りも王子の説明によって納得したのかすぐに落ち着いていた。これでゲームをクリアしたも当然とほっとしていた私はうっとりと王子様を見つめていた。
「ふう・・・これで、君を婚約者にしてあげられる。もう少しで手続き終わるから待っていてね」
「も、もちろんですわ!」
「でも、本当に良かったよ。これで僕の役目も終わりだしね」
「・・・はい?」
ダンスをしながら王子様はほっとした表情だったが、呟きの意味はついぞ教えてくれずにその夢のような一日は終わった。
そして、その日からさらに三日後、私は両親ともに王城に呼び出された。ついに婚約できる日がくるのだと思うと心躍るわ~♪
扉を開けてさあ、王子様とご対面!と思ったのに、そこに立っていたのは・・・会ったこともない人だった。
「ああ、待っていたよ、マイハニー!!」
キラキラと星のエフェクトを撒きちらす、豚のような体形で汗を拭いていた見知らぬ人間だった。もう少しほそければ間違いなく美男子だったであろうその人の顏はそばかすとにきびとホクロだらけ。金髪に青い目、それになぜか王子しか着ない服を体重100kgは超えていると思しき人が着ているのには嫌な予感を感じたが、両親の反応は違っていた。
「おお、お久しぶりです、ホントーノ様!」
「ええ、久しぶりですわね、少し御瘦せになったようで良かったですわ」
「お久しぶりです」
「え、あの・・・?」
訳が解らないとばかりに両親を眺めていると、きょとんと二人とも首を傾げていた。しかし、ホントーノ殿下だけは解っているよとばかりににこにこと話しかけてきた。
あの、その、近寄らないでくださいますかね、ちょっと歯磨きがないこの時世ですからなにぶんちょっとその・・・匂いますのよ?
「ああ、無理もありません。僕が少々体調が悪くてなかなか会えなかったのが悪いのです。それにしても、弟が言っていたとおり美しくて明朗な方だ。これならば我が妻にもふさわしい」
「おおっ、ウラギリーノ様はそのような報告をしてくださったのか」
「ええ。我が姉も弟もすごく彼女のことをほめてくださっていました」
はっはっとお互いに笑いあう両親とデブ・・・もとい、王子の話しの流れから察するに・・・
もしや、もしや・・・いや、考えたくないけれど・・・この方が・・・
嫌な予感を感じるも、勇気を振り絞って話を聞いてみればやっぱりだった!!
「もしかして、私の結婚相手というのは・・・」
「あっ、申し遅れました。私、王太子のホントーノ・ジェリックと申します。私がいろいろと忙しい間、学園の方は双子の弟であるウラギリーノに任せていましたが、大丈夫だったようでよかったです」
三人とも否定する気ゼロな笑顔でのたまってくださったお陰で私のライフはZEROになりました。
「・・・・オーマイゴットぉおおおお!!!!!!!!」
余談
誰と誰の会話でしょうかねー(棒読み)
「うまくくっついたみたいでよかったわ。これで私もあなたも大丈夫だと思うわ」
「さすが姉上。しかし、彼女が気付かなくてよかったです」
「私やあなたも転生者だってことに?いやーあの子が気付くわけないでしょう」
「・・・まあ、姉上はゲームをひったくられた上に巻き添えで死にましたからね」
「そういうあなただってトラックの運転手だったでしょ。あの女の両親に多額の賠償金払えと責められて自殺したって聞いたわ。あの女の信号無視が原因だというのに災難だったわね」
「・・・生まれ変わってまであのへんな女に関わるとは思わなかったです。ほんと、一生気付かずにいてもらいたい」
「まー彼女も王妃になりたいんだし、無下に婚約破棄なんてことにはならないでしょう。私は嫁に行くし、貴方も婿養子として領主になるんでしょう。まさにみんなハッピーエンドってやつよね~」
「(それは少し違うと思うが・・・まぁいいとしよう)」
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