鈍感王子の背徳なる性事情

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第四話

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「ティア、もう準備は終わったか?」
「はい、荷物はすべて積んであります」

 俺とティアは一週間の休暇を終えて、もう一度魔法学校の寮へ帰還するための準備に取り掛かっていた。

 魔法学校といえば聞こえがいいが、魔法使いの末裔とは貴族であり、いわば貴族の子らをまとめて集めたのが実態だ。
 入学試験らしいそれらはなく、平民階級の生徒が使用人以外ほとんどいない校舎は山の中にある。
 週末に二、三日休暇があったところで魔法や剣の訓練ぐらいしかできないため、月一度に一週間、行き帰りを合わせると9日間の休暇を使ってそれぞれ王都にある実家や宿屋へと帰っているのである。

 山の中にある理由は、それが一番安全という理由でだ。
 ノクターン王国は極東の国である。大陸でも東の海洋に沿った場所にあり、昔は王都は他国から一番離れた海辺にあったのだが、謎の天変地異で津波による大被害を受けてから、隣国に接する内陸側へと遷移した。

 そして学園があるのは現在の王都と海洋のちょうど間に位置する緑豊かな山の上。つまりそこが、津波だろうと戦争だろうと、一番安全だろうと言う判断からの設置であったらしい。

「まぁ、だからと言って毎度登り降りするのは面倒なんだがな……」
「ですがお兄様、あの何もない山で一週間も何もしないでいるのは勿体無いではないですか」

 声をかけて来たのは双子の弟の兄の方ネクトである。
 ちなみに弟たちの簡単な見分け方は髪の流れだ。右に流れている、故にネクトなのだ。

「だが今から半日馬車に揺られるだけと思えば退屈で仕方がないだろう」
「一週間ほとんど何もない学校に留まるよりはマシと考えるのが大半の意見だと思います」

 正論だが、だからこそつまらない。
 そもそも一週間の休日と銘打って本当のところは9日なのだ。2日分も、たった半日を馬車に乗るだけで消費するのはもったいないと思うのも大半の意見のはずだ。

「まぁ今回は秘策を用意したからだいぶマシになるだろうがな」
「秘策、ですか?」

 俺はネクトに披露するために杖を構えた。
 魔法を使うために杖の存在は必須ではない。だが、何故数多の魔法使いが杖を求めるのかといえば、魔力の集約が簡単になり、消費される魔力が抑えられるからだ。
 杖なしで魔法を使えば、余分に魔力を使ってしまうところ、杖ではその余分がなくなるという画期的なアイテムである。
 俺の場合は先祖返りらしくおそらく世界で見ても一番魔力を持つ生命体だから心配はないが、婆やに貰って愛着があるから使っているものだった。

 そして、俺は一言、異界の法を顕現する。

「《浮遊/フロートドラフト》」

 それは、一般では覚えることがまずないとされる未分類魔法である。何故覚えられないかといえば、教えることを許可されたものしか伝授できないとされているからだ。
 またこの魔法は生活から戦闘まで、汎用的な活用ができる高等魔法である。俺は婆やに教わったが、多分ネクトたちはまだのはずだ。
 そもそもネクトとラレスは適性ーー使える魔法の属性が偏っているためそもそも使えないのかもしれない。
 ちなみに魔法は必要な適性と術式の理解があれば誰にでも扱えるものなので、その難易度は術式の複雑性のみで左右される。

 とはいえ、先人たちが築いてきた魔法の形は、ただ暗記さえできればいいだけだから高等も初級も本質的には変わらない。
 むしろ新しく創造することが尊いものなのだ。

 その点でいえば初代ノクターン王から受け継がれる《避妊/リブート》は内容こそ下品に思えるかもしれないが、既存の魔法を超えた偉業として数えられる。

 俺も今までは条件を制限するくらいの改変しかできなかったが、《避妊/リブート》を知ったことで限定の使い方を覚えた。このままいつかは創造の領域に辿り着きたいものである。

 そして無事、魔法は成功したようだ。

「すごい……荷台を浮かせたんですか」
「ああ、それにこの魔法を使えばこんなことだってできる」
「きゃっ!?」

 浮遊させる魔法の存在は知っていても未知だったのだろう。
 驚くネクトに機嫌を良くして、今度はティアに魔法をかけた。ティアは突然な浮遊感に驚き、宙を舞ってから俺の思い描いていた軌道どおり腕にすっぽりと収まる。

「どうだ?」
「いえ、女性を無理やり抱き抱えて得意げにされても……」
「ノリが悪いやつだな」
「あ、あの……殿下。恥ずかしいので下ろしてください」
「ん? いやだ」

 照れているティアに笑顔で断ってやり、俺はそのまま荷台に飛び乗った。
 荷台は前と後ろで分かれていて、前は人が乗るためだけに個室化されている。
 中はいつも通り対面式で膝がぶつかりそうなくらい狭いが乗るのは俺とティアだけなのでそう考えればこの狭さも丁度いいものに思える。

「準備ができたら教えてくれ、どうせなら三人で行こう」

 乗り込む前に振り返って言えば、ネクトは神妙に表情を変えて頭をかいた。

「……お兄様は、その……変わりましたね」
「変わった? 俺の場合、今まで猫を被ってただけだぞ」

 じゃないと自由が少なかったからな。
 だが、昨日みたいに子供だけであればわざわざ隠す必要も感じなかった。だから遠慮しなかっただけだ。

「でも、今までより余裕のようなものを感じます」
「余裕か。考えたこともなかったが……」

 その時、俺は腕の中で大人しくしているティアを見た。
 鮮やかに光を反射させる桃髪で俺たちと似て異なる緋色の瞳。そして幼さと美しさを共存させた顔には困惑の色が浮かんでいる。
 そうか、変わったと言えば一番わかりやすい変化が一つだけあった。

 真剣に見つめてくるネクトに俺は笑って言った。

「強いて言うなら、俺もようやく大人になったからな」

 そう言ってからティアの額に口付ける。
 驚いて固まるネクトを可笑しく思いながら、ティアを連れ込んで扉を閉める。
 呆然とし、それからすぐに沸騰したように顔を真っ赤にさせたティアが何度か声を出すことに失敗してから口を開いた。

「あ、あの……」
「今回の馬車は楽しめそうだな」
「……っ」

 俺は嗜虐心を疼かせてティアの耳元で囁いた。
 15で精通。子供を作れる大人の体になった証拠ではあるが、真に大人になった瞬間はティアと一緒である。俺はティアという女を知り、ティアは俺という男を知った。
 ならばこの二人きりの状況でどうなるかなど想像も容易いことだろう。

 俺の『楽しむ』について理解したのか、ティアは顔を強張らせた。まだ手を出すつもりはないので無駄な警戒だったが、そんな待ち時間もすぐに終わった。
 こんこんと外から扉が叩かれてティアがビクッと体を跳ねさせた。

「お兄様、準備ができたので出発しようと思うのですが……」
「わかった。いつでも出して大丈夫だ」

 俺が扉から出て顔を見せると何故かネクトもビクッとしたが、そんなことよりだ。

「それでは学園までよろしくお願いします」
「お任せください」

 ネクトが御者に声をかけているのを見届けてから扉を閉める。
 俺はあえてティアの隣に腰掛けて前を向くが、いつ何をされるかわからないらしいティアはしきりにこちらを気にかけてチラチラと視線をよこしてきた。




 #



 少ししてから荷台が揺れた。
 だが、馬車特有の揺れは次の瞬間から全く感じられず、俺は浮遊の魔法が成功したことを理解する。準備は万端だ。

「さて……じゃあティア、スカートを脱いで俺の上に跨って座ろうか」

 ティアの緋の瞳が僅かに揺れ動く。
 本当に狭い空間なので、息遣いの変化もよく分かる。
 そして、緊張と羞恥を内混ぜにしたような顔にしてティアはゆっくりと立ち上がった。しゅるる、とスカートを脱ぐとスラリと伸びたきれいな脚が露わになる。
 また、秘所を守るための白い下着は、その中心に沁みで縦筋の模様を作っていて、ティアは恥ずかしさで目を潤ませながら薄く小さな唇を噛み締めてから背後を向いた。

「おぉ」

 目と鼻の先、そこには綺麗な形をした尻肉があった。
 下着で覆いきれない肉がはみ出て、それが太ももとの境界線をつくり尻のラインを作っている。

「その……失礼します」

 そう言って、ティアは下着だけの下半身を俺に向かって近づけて来た。もちろん、それは俺に押し当てるためではなく座るための行動であることには違いないが、前からでしか抱いたことがないから、尻というものの魅力に触れて興奮度が跳ね上がった。

 思わず己の雄の象徴が目の前の雌を食わせろと暴れん坊になる。
 ズボンの中で痛いぐらいに膨れ上がったそこに、ティアが乗った。

「くぅッ」
「ひゃんっ」

 上から押さえつけてくる柔らかな重しに俺はうめき声を上げながら耐えるしかなかった。
 ティアも座った場所に、固く膨らんだ肉棒の感触を得たのだろう。
 跳ね上がって離れていったティアをよそに、出す寸前で我慢してそれも危うくなった俺は腰のベルトを緩めてから、ようやく反り勃った一物を窮屈な場所から解放する。

「ーージルクニール様? どうかされましたか」

 俺の肉棒に釘付けになっていたティアは御者の声を聞いて正気に戻った。
 危うく一瞬で出してしまいそうになって、敗北感を覚えさせられて復讐心が芽生える。
 もちろんティアにそんなつもりがなく俺のただの八つ当たりなことは承知だが、あれだけ屈服させた雌にやられそうになって雄のプライドが許せなかったのだ。

「ーーなんでもない。気にせず馬の手綱を引いてくれ」
「そうですか……? 何かあればお声掛けくださいね」

 俺は御者に言葉を返しながら、口を自ら塞いだティアに「前のボタンを開けろ」と囁いた。

「…………ん……」

 するとティアは唾を飲み、胸元についていたボタンを一つ一つ外しはじめる。
 俺の目の前で脱ぐという行為に興奮しているのか、肌は既に上気して日の暑さを思い出させる火照りを見せていた。

 やがてティアはすべてのボタンを外し終わったらしく、俺はそんなティアの手を引き、もう一度膝の上に乗せる。今度はティアの両足を俺の足で内側から広げるように位置をとった。

「ひっ」
「おお……これは気持ち良いな」

 ぴとりと、露出させた熱く沸る雄棒を、下着越しにティアの尻肉に挟ませる。
 そして、ボタンが外れてはだけた胸に背後から抱きついて、大きくゆっくりと手のひらで乳首を転がした。

「……んっ♡」
「なんだ、すぐに固くなったな? そんなに気持ちよかったのかティア」
「ち、ちが……ぃ♡♡」

 ピンと立ち上がった乳首を指で弾いてやると、ティアがまずは一度果てた。だがそれでも俺は指で攻めるのをやめなかった。
 ……そろそろ頃合いだろうか。まだ馬車を発たせて10分もしていない。だが、途中馬や御者の休憩などを挟むためなるべく早いうちから場は仕上げておきたい。

「《遮音結界/サイレントフィールド》」

 まず音を消した。
 だがそれは外から入る声ではなく、この空間内から出ていく声だけを無音化したもので、密会によく使われる魔法だ。

「ジルクニール様?」

 そして、またも御者から声がかかった。彼には馬を引くという重要な役割が確かにあるが、それに加えて王族の体調管理も仕事にしている。
 時折、呻き声のようなものが聞こえれば馬車を止めてでも聞きたくなるだろう。俺はティアの胸を解放し窓を開ける。そこから顔を出せば遮音結界の範囲外になる。

「なんでもない! ちょっと虫が出て驚いただけだ」
「そうですか……?」

 立て続けに聞いて流石に疑問に思ったらしい。未だ心配そうに伺う姿が容易に想像できた。

 だから・・・、俺はティアの服を完全に剥くことにした。

「で、殿下……ぁ?」

 ティアも、何度も心配してくる御者の存在に気が気でない様子だった。いつ馬車が止められて中を覗かれるかわからない。その時自分が裸でいるのを見られたらと想像すると、羞恥心と恐怖心が混ざって込み上げてくるのだろう。

「ひう……ッ!? で、でん……かっ♡ ……はっ♡」

 俺は真っ赤になったティアの耳を口に咥えた。同時にコリコリと硬くなった乳首を優しく弄りながら、舌で耳筋を上から下へなぞるように舐める。

 快楽を逃がそうとしているからか僅かに仰け反ったティアを逃すまいと背後から両手を掴み脇を晒す姿勢にしながら、最後の準備を終わらせることにした。

「《魔法鏡/マジックミラー》」

 頭で浮かべていた魔法を発動する。
 その瞬間、目の前にあった荷台の中の景色が、フッと消え去った。
 そして目の前には、こちらへ振り返る御者の男の姿があった。

「えっ…………い、いやぁッ!?」
「ハハッ、喜んでくれて何よりだ」
「殿下ぁ! いやッ……いやですッ! 他の人にだけは……!」

 ティアが裸になった上半身を隠そうとするのを両腕を掴んで邪魔をする。
 はだけて見えてしまっている小さな胸を張らせると、今までいじられてきてピンと立った乳首が御者の目の前に晒される光景が出来上がった。思った通りの状況を生み出せたことに笑いが止まらなかった。

 まるで壁と屋根を無くした馬車の中で移りゆく景色を楽しみながら、ティアに露出させ喘がせているような状況だ。

「大丈夫だ、目を開けてちゃんと見てみろ?」
「……ゃぁ」
「ほら、あの男は本当にお前を見ているのか?」

 胸をはだけさせられ、いやいやと目を瞑るティアに前を見るように言う。
 ティアは俺の言葉に反応して恐る恐ると目を開けると、未だ後ろを伺うようにしている御者の姿にビクッと体を跳ねさせたが、少ししてようやくその目に理解の色が浮かんだようだった。

「あ……」
「ほらな、あの男は荷台にいる俺たちを気にしているだけで俺たちのことが見えてるわけじゃない」
「で、でも……」
「大丈夫、心配するな。俺がついてるし、気持ちよくして忘れさせてやる。遠慮せず気持ちよく喘げば良い」
「ひゃんッ!?」

 まだ納得のいかないらしいティアを黙らせるため、腕を解放して、空いた手を下着の中へと突っ込ませた。

「や……♡ あ、あぁ♡ いやぁ……ッ♡」

 ティアの股はもはや誤魔化せないほど湿っていた。くちゅくちゅと愛液で音を立て、筋を上から押さえつけるようになぞってやると大きく目を開いて、前に屈んで快楽を逃がそうとしていた。

 もちろん、そんなことで逃がせるわけがない。
 俺はぷにぷにとしたティアの陰裂の感触を楽しみながら、時折割れ目の中をほじくるようにしてティアを喘がせる。

「あ♡ もっ……ああッ♡ ぁああああ♡♡」
「いいぞ。もっと気持ちよくしてやるからな」
「も”っ♡ 許してぇ♡♡ 殿下ぁッ♡」
「これが終わったら入れてやる。ほら、だからイけッ、外でみっともない姿見せながらイッてしまえ!」
「あっ……♡ も、もぅ、だめ♡ あっ、イくっ、イッちゃ……う♡ あっ♡ やぁあああッ♡♡♡」

 俺の上に座るティアは目をギュッと閉じて、その眦から涙を浮かばせて絶頂の言葉を叫んだ。
 腕の中で脱力したティアが背中をもたれかけて来て、俺とティアの心音が重なった。ドクン、ドクンと共鳴して溶け合うように稼働する心地よさを受けて、俺は胸を揉んでいた手を離して顔を隠している乱れた桃髪を持ち上げた。
下着に滑り込ませた方の指も抜くと、ティアの愛液で濡れた指が空気に触れる。
 俺はそれを洗い息を繰り返すティアの前で指を擦るようにして見せつけた。

「ほら、ティアもこんなに感じたんだな」
「はぁ……はぁ、はぁ……っ」
「そろそろ俺も限界だし……もう挿入れるか?」
「はぁ……はぁっ…………ん……はぁ」

 息も落ち着いてきたところで俺はティアを立たせて着ている服をすべて丁寧に脱がした。
 俺もズボンを脱ぎ、もう一度座椅子に浅く腰掛けてティアの目を見つめる。

「来い」
「……ッ、はい」

 唾を飲み込んで、ティアが俺の正面から跨ってくる。
 だが、俺の肉棒はまだ外にあり、ティアの腹にひっついていた。

「自分で入れられるな?」
「……」

 ティアからの返事はなかった。だが、ティアはゆっくりと腰を上げて、先端目掛けて腰を動かした。

「ん」

 ぷにっと、限界まで膨れた鬼頭がティアの入り口に押し当てられる。くちゅりと音を出しながら、やがてティアの蜜壺が強く押し当てられ、にゅぷっとナカに飲み込まれた。

「あの……殿下」
「どうした?」
「最後は、その、殿下が……」

 亀頭だけで繋がりながら、ティアがそんなことを願い出てきた。これが焦らしというやつか。
 はやくティアの奥まで貫きたい。その衝動のまま動くのは簡単だった。なぜならティアの腰を掴んで落とすだけで良いのだから。

 だが、それではつまらない。

「最後までティアがやるんだ」
「……っ」

 俺はティアから逃げ道を塞ぐ。
 すると、ティアは一筋だけ涙を流して、他にどうもしようがなくて腰を落としてくる。

「あっ……あぁぁぁッ!」

 そして、ーーズプッっと俺の肉棒をティアが膣で受け止めた。

「偉いぞ、ティア。感じるか? 俺の肉棒を飲み込んだお前の膣が子種を欲しがって締め付けてるぞ」
「……言わないで、くださいっ」

 肉棒に伝わる膣の触感を楽しみながら、ティアの背中に手を回す。
 極上の歓待に一度精を吐き出してみても良かったが、今だけはティアを労ってやることにした。

「ありがとう、ティア」
「んッ……んッ、ちゅ……」

 頭を撫でて、そのまま顔を近寄せる。そして、俺たちが大人になってから毎日続けているキスをして、舌を差し込む。
 もう慣れたようで、入れた直後は目を驚いたように開いていたがやがて目も細められティアの方からも舌が絡められるようになる。

 ぢゅる、ぢゅぱっと音を立てながら、俺たちは変わりゆく外の風景の中で互いを求めるように抱き合った。

「ん……はぁ、はぁ……はぁ……」

 とろんと蕩けた目だ。この目をしている時、ティアは俺の全てを受け入れる準備を整えている。

「合わせろ」
「……ぁ」

 俺は一言指示して、ティアの腰を持ち上げるように動かした。そして、すぐに落とす。
 すると先ほどまで触れていた奥の壁を抉る感触があった。

「あッ♡ あッ♡ あんッ♡♡」
「いいぞ、そうやって腰を振るんだ。いっぱい頑張ったらティアの子宮に、精子ぜんぶ出してやるから、なッ!」
「あ!?♡ アッ♡ アッ♡ あんッ♡」
「くっ……ティアッ、俺の子種、子宮で全部受け止めろ!」
「ぁああああああぁあああッ♡♡♡♡」

 俺はティアの腰を密着させ、鬼頭で抉った子宮に直接、ビュルビュルっと溜まっていた子種をすべて吐き出す。

「あっ♡ あぁ……♡♡」

 ティアは俺に強く抱きつき恍惚な笑顔で、俺の射精を受け止めている。もう、この露出の状況には慣れたのだろうか。
 全開の馬車で声も我慢せずに交尾に耽る姿はまるで獣だ。準備したこの空間で、恥ずかしがるティアをここまで落としたことが強い達成感を生んで、いつもよりも射精の時間が伸びてしまった。
 俺はすっかり抱きつき脱力しているティアの頭をなでてやる。

「よしよし、よく頑張ったな」
「……ちゅ♡」

 まだ萎えを知らない肉棒でティアと繋がりながら、口付けを交わして、笑いかけてやる。

「ご褒美に、今日は馬車に乗ってる時間はずっと気持ちよくしてやるからな」
「……♡」

 返事はない。
 ティアはまだ絶頂の余韻にあるのか、熱に浮かされたように頬を赤くし焦点の合わない目で俺を見つめてくるだけだった。

「あ♡」

 俺はそんなティアの様子に、またいいしれぬ興奮を覚えた。
 その後、俺たちは休憩の時間になっても《魔法窓/マジックミラー》の中で散々とまぐわい、日が沈む前になって学園についてからようやく中断することになる。







 体力を使ってバテてしまったティアを俺が着替えさせ、横抱きにして馬車を降りることになった。

「あの……お兄様はなぜメイドをまた抱っこしてるんですか?」
「ああ、どうやら長旅で疲れたようだからな。特に最近は世話になりっぱなしだから、お礼も兼ねてというわけだ」
「はぁ……?」

 不思議そうに聞いてくるネクトの疑問に答えながら、挨拶もなしに先に学園寮へと戻っていったラレスの背中を見る。

「あいつは一体どうしたんだ?」

 今朝から話した記憶がないし露骨に避けている節がある。
 昨日は昨日でネクトが可笑しかったし、何か理由でもあるのだろうか?

「ラレスはその……多分いつか立ち直るので放っておいてあげてください」
「ふーん、そういうものか? まぁ、大事じゃなければそれで良いんだ」

 特に王族にとって不仲というのは内乱の火種になる可能性が出てくる。
 普段から派閥争いをしている貴族らに担がれて良いようにされるのは特に不快だからな。
 だからではないが俺はネクトとラレスをどちらも大切に思っているし、もし相談されるようなことがあれば力になってやりたい気持ちだってある。

「ネクトも何もないのか? 昨日はお前も可笑しかったぞ?」
「ぼく、は……その……これはぼくの問題なので大丈夫です」
「ふーん、ならそれで良いか」

 全く大丈夫に見えないんだがな。
 とにかく俺に思うところがあるのは確かである。全くもって身に覚えがないが、俺が何もしていないとは限らない。
 だけどここ数日で俺がした事といえばティアとエリノーラを抱いてレイチェルとの婚約を了承したくらいだ。
 って、そういえば忘れてたが、ネクトについては思い当たることがあった。ネクトが進めていたグラノース家へ降下する話を取り消したんだった。
 たぶんネクトはそのことで文句を言いたかったのだろう。侯爵以上の家に入ると思っていたが、第二王子がわざわざ伯爵家を選ぶなんて理由がなければおかしい。

 つまり、そこから導き出される答えは一つ。

 ネクトはモテないらしい。
 俺に似て美男なのに不思議なことである。
 でもわざわざ乳兄弟に頼むくらい追い詰められてたのに最後の選択肢を俺が奪ってしまったのか。
 しかし、ネクトと違って俺とエリノーラはもうすでに愛し合った仲であり、たとえ今更そんな話を聞かされたところで、もう遅い。

「あの、会話をお邪魔して申し訳ないのですが……」

 するとそこで、声がかけられた。
 ネクトが驚きで見る彼女は、噂をすればという人物だった。

「エリ姉さん……」
「お久しぶりですね、ネクト王子。それと……」

 ネクトが呼ぶと、金髪碧目の伯爵令嬢エリノーラが挨拶を返すが、それからすぐに俺の方へ笑顔で振り向いた。

「お待ちしておりましたジルクニール様」

 エリノーラは姿勢を正すと、優雅にドレスの裾をつまみ上げるてお辞儀を披露した。

「今日よりジルクニール様の専属メイドになることが決まりましたエリノーラ・バレステッドと申します。ジルクニール様がご卒業されるまでにはなりますが、ご指導ご鞭撻のことよろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしく頼む。エリノーラなら大歓迎だ。……それにしてもあのクソジジイ。追加の専属メイドがエリノーラなら先に言えば良いものを……」
「え、エリ姉さんが、お兄様の……??」

 突然の情報に頭が追いつかないのか、ネクトがエリノーラを見てだいぶ混乱している様子だった。
 いま会話を持ちかけても面倒だったので俺はエリノーラに向かって尋ねてみる。

「そういえばエリノーラもこの学園に通っていなかったか? メイドになるとどうするんだ?」
「学園には籍を残したままです。私が先に卒業するまでは授業などは別になってしまいますが、休憩時間や放課後はティアさんと一緒にお仕事をさせていただくことになってます。……よろしくお願いしますね、ティアさん」

 ふと、俺はエリノーラが下に向かって話しかけたので視線を落としてみれば、そこには顔を真っ赤にしたティアが全く動くことなく手にさっぱりと収まっていた。

「はい……こちらこそ、その……よろしくお願いします」
「なんだ、いたのかティア」
「あの……もう大丈夫なので降ろしてください」
「うん? 無理だ」

 俺はティアに笑顔を向けてから、エリノーラを見る。

「それじゃ、まずは俺の部屋に荷物を運ぶか」
「ティアさんをですか?」
「あの、ほんとうにもう大丈夫ですから、私が荷物を運ぶので降ろしてください」
「だから無理だと言ってるだろうに」
「荷物は運ぶように手配済みなのでお姫様抱っこ楽しんでいても大丈夫ですよティアさん」

 俺はティアを抱えながら、学園寮へ向けて歩いていく。その半歩後ろで並ぶエリノーラを伴っていると、ネクトが来ていないことに気がついた。

 不思議に思い立ち止まってみるも、何かを待っているのかと思い、先に行くことを伝えて学園の敷地内に足を踏み入れた。
 今日から月末の休暇まで、またここで学園生活が始まる。
 以前は女を知らないどころか精通すらまだだったが……帰ってきたぞノクターン魔法学園。
 ジルクニールが大人になって帰ってきたぞ!

 俺は他の貴族の生徒たちに注目されながら、これからの学園生活に思い馳せた。







「…………」

 紫髪のツインテールが振り返った拍子に揺れ動く。
 そして、髪と同じ色の瞳で、注目の的となっている方を見た。

 メイドを抱き抱え、一人の女を侍らせるその男こそ、魔導王の再来とまで呼ばれる学園始まって以来の神童。
 そしてーー

「(あれがレイチェルの、婚約者)」

 ーー未来の国王、ジルクニール・H・リトネカム・ノクターン。







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